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異世界トランプ  作者: 32バチ
第一章
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4.最初の出合い

 目が覚めたら目の前には可愛いお姉さんがいた。

 お姉さんは、濡れている。

 どうしたんだろう。

 あっ、僕も濡れてる。

 そういえば、あのとき意識が遠のいて……。


「あっ、目は覚めた?」


 お姉さんから声をかけられた。

 どうやら言葉は解るらしい。

 ちょっとした不安が1つ解消した。

 まだ、ここが異世界と決まったわけふではないのだが……。


「気分は大丈夫?」


 意識していなかったがこれって膝枕ってやつだよな。

 そういえば誰かから膝枕をしてもらったのは初めてではないだろうか?

 心地いいものだな~。

 このまま寝てしまいた……、じゃない。

 お姉さんに膝枕とか僕は何様なんだ!

 早くどかなくてはいけないでではないか!


 そう思い頭をあげる。


「もう大丈夫です。ありがとうございました。」


 僕は、微笑みながらお姉さんに笑いかけた。

 するとお姉さんから頭を押さえられた。

 また膝枕の形に戻ってします。


「あのね、ぼく。無理をしたらいけないよ。だからもうしばらくお姉さんの膝の上で寝てなさい。」


 お姉さんは僕に優しくしてくれた。


「でも、お姉さん。僕は、する。」


 そこまで言うと、お姉さんが僕の唇に人差し指をあてた。


「疲れた体を休める前にすることってなにかな?それにほく。びしょ濡れなんだから服も乾かさないと。」


 あれ、そういえば僕なんで濡れてるんだろう。

 転生って濡れるものなのかな?


「お姉さん、何で僕は濡れてるんですか?」


「それは、そこの湖にぼくが浮かんでたからだよ。死んでるんじゃないかと思ったけど…生きててなによりだ。あと、君の荷物も一緒に浮いてたから拾っといたよ。」


 その荷物を見てみるとそこには、リュックとトランプがあった。


「この紙切れは、君のかな?君の回り沢山浮いてたから拾っといたけど。」


「はい。それも、僕のです。色々とご迷惑をかけました。」


「それは、私も拾い集めたかいがあったよ。ところで君はなんてお名前?」


「はい、僕の名前は雫って言います。お姉さんは?」


 流れにあわせて聞いておく。

 相手の名前が解らないと不便でならないからだ。


「雫くんか!いい名前だね。私の名前は、ストレルカ。ストレルカって読んでね。」


「あの、いゃ、年上の人に対して呼び捨ては僕が気が引けるのでストレルカさんで。」


「まぁ、それでもいいかな。」


 どうやら納得してもらったようだ。

 そして、僕はあることにきずいた。

 聖火はどこ?

 ストレルカさんに聞こうと思い、ストレルカさんのほうを向く。

 ストレルカさんは、僕をのぞきこんでいる。


「ストレルカさん、1つ質問いいですか?」


「なにかな?シズ君」


 どうやら僕の名前は、シズ君になったらしい。

 まあ、あだ名は嫌いじゃないから指摘しないが。


「僕の他にももう一人いませんでしたか?」


「いや、いないよ。私が見たのはシズ君だけだよ。」


「そうですか。聖火の奴。どこに行ったんだか。」


「聖火君と言うのは、シズ君の友達かい?」


「はい、聖火は僕の友達です。」


 僕はストレルカさんを信じていいのだろうか。

 ストレルカさんを信じて僕の今の状況を話したらストレルカさんは何と言ってくれるだろうか。

 よく考えてみれば今は頼る相手がいないのだ。

 ならストレルカさんを頼るのも1つの手段ではないだろうか?

 よし、ストレルカさんに相談しよう。


「その、僕の話を聞いてもらっていいですか?」


「いいよ。何かな、シズ君。」


 それから僕は、全てのことをストレルカさんに話した。

 聖火のこと。

 転生のこと。

 その他にも色々と。


「なるほど。大変だったね。」


 ストレルカさんが優しく僕を撫でてくれた。

 ストレルカさんの手は、スベスベしていてとても気持ち良かった。


「それてシズ君は、これからどうするの?」


 ストレルカさんが聞いてきた。

 できれば僕は、聖火と再開したいと思っている。

 だけど僕には情報がたりない。

 先ほど回りを見回してみたがここは湖の畔だ。

 せめて、大きい町までストレルカさんについていくのが一番ではないだろうか?

 色々な考えが頭のなかで交差する。

 そして、1つの結論にたどり着いた。


「出来ればでいいですが、ストレルカさんとご一緒してよろしいですか?次の町まででもいいので…。」


 これが、今僕が出来る最高の一手だと思う。

 さあ、ストレルカさんはどうでるのか……。


「あれ、聖火君を探さなくていいの?」


 まさかのお言葉。

 ありがたい。


「出来れば探したいですが、探す手段がありませんので。」


「なら、聖火君が見つかるまでずっと私についてこない?私こう見えても旅の音楽家なの。旅しながら世界を回ってるのよ。だからもし聖火君がこっちの世界に来てるのならいづれ会えるんじゃないかしら。」


 いいご提案だ。

 これは乗る以外無いだろう。


「もしもよろしいんだったら、お願いします。」


「うん、素直な子は私大好きだよ。」


 こうして聖火と会えるかもしれない切符を手に入れた。

 だが、これからどうする?

 ストレルカさんについて行くとしてもお金はどうやって稼ごう。

 流石に連れていってもらって尚且つお金の負担までかけるのは忍びない。

 なら、ここはストレルカさんにこのことについて質問しよう。


「ストレルカさん、聞いてもいいですか?」


「ん?どうしたの?」


「こっちの世界は、どうやってお金を稼ぐんですか?」


「なんだい?シズ君はお金のことを心配してくれるのかい?」


「だって、連れていってもらうだけでもありがたいのに。その上お金まで面倒見てもらえるなんて……。」


「大丈夫よ♪私に任せなさい。私は、こう見えても結構稼ぐのよ。」


「確か、音楽家ですよね?いったい、何をしているんですか?」


「シズ君には、ただで聞かせてあげるね。」


 そう言うとストレルカさんは、ストレルカさんのだろうと思われるリュックからオカリナを取り出した。


「オカリナ……、ですか?」


「そうよ、オカリナ。よく知ってるね。オカリナはいいよ~。凄くいい音がでるの。」


 しみじみに言われてしまった。

 余りオカリナを知らない僕は、生返事しかできなかった。


「じゃあ、聞いててね。」


 ストレルカさんは、オカリナに口をつける。

 口をつけるといっても、ぎりぎり唇がつくかつかないかの所をキープしている。

 オカリナの音がなり始めた。

 オカリナの響きはとても心地よかった。

 しばらく聞いていたいと思えるぐらいの音だ。

 そんなオカリナの音は、僕を睡眠に誘った。

 最後に僕が見たものは、一枚絵になるぐらい綺麗なストレルカさんの顔だった。


 なんて美しいんだろう。

 僕は、これからこんな人と一緒に旅に出るんだな。

 僕も頑張らないと!


 微睡みのなか僕は、こんなことを考えていた。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




「起きて!シズ君!起きてよ!」


 僕が次に目覚た時も、場所は変わらずストレルカさんの膝の上だった。

 ストレルカさんは、焦っているようにみえる。

 いったい、どうしたというのだ。

 そして、僕を必死に起こそうとしているストレルカさんの髪は既に乾いていた。

 ずいぶんと寝てしまったようだ。

 僕の着ている服も半渇きくらいにはなっている。


「あっ、起きてくれたね!シズ君。目覚めたばかりで悪いんだけどちょっと話を聞いてももらっていいかな?」


 話の展開が読めない。

 単にまだ僕の頭が起きていないだけかも知れないが……。

 話ぐらいなら聞けるだろう。

 そう思い僕は、上半身を上げた。


「シズ君、落ち着いて聞いてね。今私たちは、サイレントベアに狙われているの。」


「サイレントベア?」


 サイレントベア。

 なんのことだ。

 まだ話についていけない。

 頭はどんどん働きだしている。

 早く現状を理解しなくては。


「そう、サイレントベアよ。この森では1位2位を争うほどにたちの悪いモンスターよ。シズ君には、解らないかもしれないけどこのまま2人ともここにいたら1流間後にはサイレントベアのお腹のなかよ!」


 なるほど。

 今の話の一連でようやく理解が追いついた。

 つまるところ、あれだ。

 絶体絶命ってやつた。

 何か対抗策はないのだろうか?


「なるほど。わかりました。そして、サイレントベアをどうするんですか?返り討つんですか?それとも、逃げます?」


「サイレントベアはね、凄く足が速いの。だから逃げるかどうかは疑問ね。だけど、私たちが闘えるような相手じゃないのよ。さっきも言ったけどサイレントベアは、この森で凄くたちの悪いモンスターなの。そう、サイレントベアの討伐ランクはCランクよ。私が全力で相手しても1・2分しかもたないわ。」


 えっ!

 それってヤバくない?


「わかりました。なら、すぐに逃げましょう。」


 すぐに僕は、逃げることを選択する。


「でも、追い付かれるかも知れないからシズ君は先に逃げて。私は、少し足止めしてから行くから。」


 はっ。

 なに言ってんの?

 ストレルカさんは、馬鹿なのかな?

 ストレルカさんがどれくらい強いかは知らないけれどさっき言ったことによると相当ヤバイ相手ではないだろうか。

 なら、二人ではじめから逃げるのが最善である。


「ストレルカさん。それはストレルカさんが危険すぎる。だから早く逃げよう。」


 ストレルカさんの手を握る。


「ストレルカさん、早く!」


「わかったわよ。シズ君が言うならそれでもいいけど死んでも知らないかなね。」


「大丈夫。もしも死にそうになったら僕の命に変えてでもストレルカさんだけは逃がすから。もしも僕がここでストレルカさんの変わりに死ぬなら本望だよ。こっちの世界に来て初めて会った優しく優しくストレルカさんのかわりにならね!」


 そう言うとともに僕は片手に自分の荷物、リュックとトランプを持ってそして、もう一方の手でストレルカさんの手を握り走りはじめた。


 トランプは、邪魔だ。ポケットにでも入れとこう。


「ストレルカさん、サイレントベアってどの辺りにいますか?」


「えぇっと。あっちのあそこらへんだよ。」


 ストレルカさんは、右後ろ辺りを指で指した。


「わかった。なら、逆に逃げよう。」


「もぉ~、本当にサイレントベア速いんだから。逃げられるかわからないんだからね。本当に私が足止めしなくていいの?」


「くどいです。ほら、早く逃げますよ。」


 僕らは、さっきストレルカさんが指差したほうと真逆の方に走り始めた。


 すると後ろの茂みがガサゴソと揺れはじめた。

 茂みのほうを見てみるとそこには、真っ白い熊がいた。


 サイレントベアって白熊かよ。

 でも、あれだ。

 目が赤い。

 どこからどうみても危険すぎる!


 《グァァァァァ 》


 サイレントベアの叫び声がやばすぎるぐらい耳に響く。

 しかも、僕たちの方に走り出してきやがった。

 ストレルカさんが奏でていたオカリナが懐かしい。

 また、このピンチを乗り越えたら吹いてもらおう。


 よし。

 どうにかしてこのピンチを乗り越えるぞ!

いきなりのピンチです。

さぁ、どうなることやら。

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