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異世界トランプ  作者: 32バチ
第一章
2/16

1.謎の依頼

「おい、雫。面白い依頼が届いたぞ!とりあえずあとで。いつもの場所な♪」


「はい、はい。いつもの場所な。」


「先行ってるからなー。」


「おう。また後でな。」


 帰りのホームルールが終わった瞬間、僕のもとに駆け寄ってきたのは俺の親友。


 その名は、東 聖火。

 聖火は僕が小学2年生の時に転校してきた。

 聖火は、最初の印象こそ悪かったといえすぐに仲良くなった。

 なぜなら聖火がやろうとしていることがすごく楽しかったからだ。

 そのやろうとしていることが何でも屋である。

 何でも屋といっても僕らの興味を持ったものしか、依頼は受けない。

 しかし依頼というものは余りくるものではなかった。

 なので僕がインターネットを利用した掲示板を立ち上げた。


 それでも余り依頼はこないのだが、数は増えた。

 しかもホームページのほうには一般人からの依頼もくる。

 正直にこちらの依頼のほうが楽しい。

 なので、基本は一般人からの依頼を受けるようになった。


 僕と聖火が、何でも屋《DOUBLE STAR》を立ち上げたのが小学3年生の始め。

 インターネットで掲示板を立ち上げたのが小学3年生の終わり。


 なんだかんだで色々な依頼があったような気がする。


 そういえば初めての依頼はしょうもなかったな……。

 僕らがこんなことを始めたとも知らずに、聖火が先走って依頼を求めたから初依頼は代理じゃんけんだったな。

 確かこんなかんじの内容だったと思う。


「僕のかわりに給食の牛乳をじゃんけんで勝ってもらってきてよ。」


 だったかな?

 それにしてもあの時から聖火は凄かった。

 何が凄いかって?

 それは、瞬発力というか目のよさというか……。

 とりあえず聖火は、尋常じゃないくらい体のできがいい。

 だからじゃんけんは合法的なあとだしになるわけで……。

 まぁ、合法だからいいよね♪


 他に楽しかったのは、あれだ。

「とある近所の川原で河童を見たので探しだして下さい。」

 というやつだ。

 これは、3日間聖火と入れ替わり立ち替わり川原を観察していたが何も出てこなかった。

 だが、2人で川のなかに入って泳ぐのは楽しかったし川原でのキャンプは今でも忘れられない。

 親には互いの家でお泊まり会と言って誤魔化した。

 あの夜の星は、綺麗だったな。


 おっと、こんなことを考えていてはいつまでたっても家に帰る踏ん切りがつかないな。

 いや、いつもの場所に行かなくてはいけなかったのだった。

 ということで、僕はひとまず家に帰ることにした。


 家に帰りつくと速攻でランドセルをおいて家から出ていく。

 母親の声が聞こえた気がしたがそれは無視する。

 どうせいつもの小言だろう。


 家から10分くらいでいつもの場所には着いた。

 いつもの場所とは、簡単に説明するとDOUBLE STARの本拠地だ。

 本拠地と言っても実際は、聖火の兄こと月光さんが借りているアパートの一室を使わせてもらっているだけなのだか、月光さんは基本的にアパートには居らず僕ら 2 人は月光さんのアパートで好き勝手やっているわけである。


 DOUBLE STARの本拠地に入ると、既に聖火は定位置についていた。

 ちなみに、僕の定位置はパソコンの前の椅子だ。

 次いでにいうと、聖火の定位置は簡易ソファーである。


 うん、簡易ソファーのほうが座り心地は良さそうだよね。

 まぁ、気にしないけどね。

 そう、あれだよ。

 あれ。

 パソコンの前のほうが断然パソコンが早く使えるじゃないか。

 うん、そこがいいんだよ。

 そこが。


「おう。遅かったな。なにを待たせてんだよ。こんなに面白い依頼だって言うのによ~。」


 そんなことを聖火が言ってくる。

 いやいやいやいや。

 十分早いと思うんですが。

 と言うかいつもの小言なので無視するに限る。


「おう。すまんな。これでも早く来たつもりだったんだがな。」


「まぁ、それはどうでもいいんだが……。雫、お前はこの依頼どう思う。」


 そう言いながら、おもむろに聖火が手紙を渡してくる。

 それを僕は読み始める。


 封筒には、小さく依頼という文字とDOUBLE STARあてということが書いてあった。


 中を覗いてみると最初に目に飛び込んできたものはトランプだった。


「これ、トランプが入ってるんだが……。これがどうしたら。」


「いや、もう一回ちゃんと確認してみろよ。」


 確認……。

 確認ね~。

 トランプが……、おっとなにやら一緒に便箋も入っているではないか。


「この紙のことか?」


「そうだ。その紙。読んでみろよ!」


「扉を開けたか、か。」


 そこにはこんな文章が書いてあった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  1


  * 扉の開けたか *


  君たちの通ってる学校には


  ある扉が隠されているんだよ♪


  知ってた?知ってた?知らないよね~♪


  扉の開きかた、僕は知ってるんだ


  教えて欲しい?教えて欲しいの?


  え~、ど~しよ~かな~。


  扉の向こう側に行く覚悟がないとね~。


  覚悟かあるならもう片方を開いてね♪


  開いたら引き返せないから


  そこんとこ気を付けてね。


  じゃあ、また。もう片方で♪


  匿名 神より

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 なるほど。

 このイラつく文書をなぜに聖火は僕に読ませたのであろうか?

 まぁ、だいたいの予想はつくんだけどね。


 ほら、だってあの聖火の顔を見てみろよ。

 これ以上ないくらいに目を輝かしているし……。


「で、このイラつく依頼がどうしたの?」


「そりゃ、もちろん受けるに決まってんじゃん。」


 まぁ、だよな。

 予想してましたよ、その言葉。

 めんどくさいことにならなければいいが。


「はいはい。わかったわかった。で、どうすんだよ?」


「取りあえずもう片方を探す。」


「だろうな。そう言うと思ったよ。で、何か心当たりでもあるの?」


「いや、ないぞ。と言うかDOUBLE STARの参謀は雫だろ。なら雫が考えなきゃ。」


 だろうな。

 というより、いつものパターンだ。

 そして、もう片方にはだいたいの検討はついている。


「もうだいたいの検討はついている。」


「おっ、本気か!」


 本気と書いてマジと読む。

 これ、常識!


「おお、本気。本気。大本気だ。」


「で、もう片方にはどこにあるのよ?」


 僕は、おもむろにパソコンを起動させ始めた。


「もう片方はな、手紙じゃないんだよ。ネットだ。ネット。掲示板だよ。きっとそこに届いてるはずだよ。」


「流石、雫。DOUBLE STARの参謀なだけあるぜ。」


「お褒めにあずかり光栄だね。」


 そんな軽口をたたきながら掲示板を開いたら依頼が二件ほど来ていた。


 まず1つ目

 4年2組の教室でイヌモンのストラップをなくしてしまいました。

 探してください。

 楓より


 うん、1つ目は違うな。

 明日にでも探してやらんこともないが、今探してるのはここれじゃない。


 2つ目

 これを開いたらもう後戻りは出来ないよ。


 よし、ビンゴだ。

 多分これだろう。


「聖火、あったぞ。」


「おっ、流石だな。」


 聖火が、パソコンの画面を除きこむ。

 こいつ、さっきよりか目が輝いてないか?

 まぁ、関係ないんだけどね!


「よし、早速この依頼メールをひらこうぜ。」


 馬鹿がいる。

 少しは頭を働かしてくれないだろうか。

 開けたら戻れない。

 もし本当のことならヤバイ気がする。


「ちょっと待てよ、聖火。じっくり考えてみろ。開けたら戻れないんだ。この依頼が言ってることが本当なら色々とやばそうだよ。」


「まぁ、大丈夫だって。」


 僕は、ちゃんと忠告したからな。

 何があってもしらないからな。


「じゃあ、聖火を信じるけど。なら開けてるようか。」


 開くのボタンを、ポチッとな!


 すると、メールの文章が出てきた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

  2


  * 扉の開けかた *


  あ~けちゃった~、あけちゃった~。


  ということでこの世界とはおさらばだね。


  なら、扉の開けかだ!


  聞いてくれ!


  今夜の0時00分前に学校の屋上に行くんだ。


  そして、0時00分


  その場でトランプを夜空に高く投げろ。


  君たちは、扉の向こうに行けるだろう。


  そう、星と星が交差する夜。


  君たちは、扉を開ける。


  期待してるからね♪


  匿名 神様より

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 読み終わった。

 僕らは、とんでもないものに足を踏み入れてしまったのではないだろうか。

 ちょっとした不安があった。

 だが、これは余りにもヤバイのではなかろうか?


 僕がそんな不安の中にいるのに、聖火はまだ目を輝かしていた。


「おい、雫。これって異世界とか、パラレルワールドに行く扉じゃないのか?」


「そうだったら、ここにはもう帰ってこれないのかもしれないな。」


「まあ、他の世界でも2人ならなるとかなるさ。」


 全く、聖火は楽観的すぎる。

 僕も人のことを言えたものでもないが今日の夜は色々と準備してから行こうと決意した。


「そうだな。」


「今日、23時00分くらいに迎えに行くね。」


 時間は妥当なとこだろうが、色々と問題があった。

 他の世界に行くのならば準備に時間がかかる。

 今の時刻が18時00分。

 これから五時間で準備をしなくてはならない。

 よし、そうとなれば善は急げだ!


「わり、今日の0時00分には色んな物を持っていきたいからもう今日は帰るは。」


「あぁ、わかったよ。」


「お前も色々と準備しろよ。それと、これ(パソコン)持っていきたいから借りるね。」


 そう、借りるだけ。

 一生借りるだけだから。


「あぁ、いいぜ。あの兄ちゃんだ。なにも言いゃーしねーよ。」


 聖火は、こちらの本意にきずいてるのか……。

 遠回しに貰ってもいい、と言う風に聞こえる。

 ナイスだ、聖火。


「じゃあ、これは持っていくよ。」


 そう言いながら、パソコンを持つ。


「じゃあな!」


 そう言ってDOUBLE STARの本拠地から出ていき家に帰った。


異世界に行くには、あとちょっとかかります。

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