6話:会計
「……え?」
そんなことを考えていえると、会長が変な声を上げた。
「何で、スカーレット・コートが緋色の衣だと思ったの?緋色の衣の直訳は《スカーレット・クローズ》になっちゃうから違うと思わなかったの?」
「あ~、そこッスか?昨日のコートの裾が伸びる様子から、天女の衣を連想して、緋色の衣かなって。間違ってました?」
「ううん、正解なの。だからこそビックリしてるのよ」
そこまで驚くことだろうか。
「あ、じゃあ、私の|《刀工の剣製》《スミス・ブレードメイク》は、どんな漢字か分かりますか?」
副会長からの質問。スミス・ブレードメイク。スミスは剣を鍛えるブラックスミスのことだろう。ブレードメイクは剣を作る。すなわち、
「鍛冶の剣製、いえ、刀工の剣製ってところでしょうか」
「正解」
心底驚いたという顔で、会長が正解を告げる。会長が審査員的立ち位置になっているぞ。
「じゃあ、僕の|《魔王の力》《サタン・マジック》は?」
サタン、悪魔?違うな、魔王。マッジク、魔法、手品……この場合は魔法の力。
「魔王の力って感じか?」
「正解」
だから、正解を告げるのが何で会長なんだよ。
「これは、神風が吹いたのかもしれませんね」
「そ、そうかも」
「神風?女怪盗か?」
「英雄の生まれ変わりじゃなくて、幸運が訪れる方」
俺のボケに突っ込みを入れたのは、会長だった。よく分かったな、このボケ。
「で、幸運って?」
「ああ、それ?うち、会計がいないんだけど。青葉君。キミみたいに、理解力のある子なら、何が言いたいか分かるよね」
「分かりたくないけど、分かってしまいました。生徒会に入れって事でしょ?」
「その通り。よろしくね、青葉君。ううん、清二君」
「はいはい」
こうして、俺、青葉清二は、生徒会会計に就任したのだった。