53話:基礎
Scene清二
俺は、目を醒ました。
「ふぁああ~、よく寝た。……よく寝たのか?」
よく寝たような気がする。疲れが抜けている。俺は、《聖覇にして殺戮切断の剱》を生み出して、その後の記憶がない。
「あら、起きた?」
白羅だ。
「白羅、俺はどの位寝てたんだ?」
「四日間よ」
四日間も。俺は、四日間も寝てしまっていたのか。
「《聖覇にして殺戮切断の剱》は、負担がかかりすぎか……。もっとスムーズに、負担をかけずに使えるようにならないとな」
俺は、基礎体力の向上を目標にすることにした。基礎がなってないと、全然ダメだからな。
腹筋二百五十回、腕立て片腕二百五十回ずつ、背筋二百五十回。雪の中をランニング。これを繰り返すことにする。
二週間ほど、俺と白羅は、寝食を共にした。筋トレだけの毎日も、白羅と言う癒しがあったからこそ二週間続いたのだろう。こればかりは、本当に感謝だ。
自分でも筋肉が付いたのが分かる。しかし、それでもムキムキとはなっていない。まあ、元々肉が付きにくいから仕方ないのだが。
「さて、行くぜ」
ここからは、剣術の修行だ。まだ《聖覇にして殺戮切断の剱》を扱う段階ではないのが自分で分かっているのだ。まずは、《殺戮の剱》と《デュランダル》が自在に扱えるようにならなくてはならない。
だから、振るう。俺は、ひたすら剱を振るう。
――俺は、一本の剱。全てを切り裂く聖と覇を持つものだ……
だから、俺は……!




