42話:親友(?)
一応、女子制服のアーサーだが、実質黒いコートで中が男か女か分かりにくい……つーか、この季節にコートってどうよ。
「ん、金髪君か」
アーサーの口調が変わったのは、篠宮を警戒してのことだろう。
「……ッ!」
篠宮が、アーサーを見て、睨みつける。
「アーサー。キミが編入生だったのか」
無論、恨みではなく、怪しんでの睨みつけだったのだろう。
「まあ、そういうこった。篠宮、そう警戒するな。コイツは、安全だから」
「……青葉君がそう言うなら信じよう」
信じてくれたようだ。
「そう簡単に信じて良いのか?金髪君」
ああ、もう、コイツは、折角信用させたのに、蒸し返すようなことを!
「ああ、信じるさ。青葉君の言葉を」
「フッ、信頼されてるな、セイジ」
「まあな」
案外照れくさかった俺である。
「それにしても、金髪が二人も揃うと、なかなかに絵になるな」
照れ隠しに、お返ししてやる。
「ん?そうかな」
「金髪ってだけでは絵にはならないんじゃないかな」
まあ、そりゃあそうだが、まあ、美形の金髪だからな。
「なら、美形が二人並ぶと、に言い換えるぜ」
「おや、それならキミも入れて三人並ぶと、に僕が言い換えるよ」
まったく、また、嫌味か?俺は、お前みたいな美形じゃねェんだよ。
「金髪君とセイジは、仲がいいな」
「ん?まあ」
「そうだね」
俺と篠宮は、顔を見合わせながら答えた。
「これが親友と言うやつか?」
日本語に少々疎いアーサーは興味があったのだろう。……おそらく親友と友人の違いについてあたりだろうが。
「ふむ、日本語は、使い分けが難しそうだ」
「ん?英語でも、親友はベストフレンドとか言うんじゃなかったか?」
英語が出来ない俺でも知っている……はず。あってるよな?
「ベストは最もなんだから、一番中いいやつだけだろ?」
あ、あれ、ベストフレンズとか、複数形にすりゃあ、いいんじゃね?
「それに比べて、日本は、『俺たち親友だろ?』みたいなことをよく言うらしいし」
「何で、金借りるときの高木みたいになってんだよ!」
高木は、金がなくなると、俺をはじめ、クラスメイトに「俺たち親友だろ?」と言って金を借りるのだ。ぶっちゃけ、アイツの場合、情報屋でもやれば儲かると思うのだが。
「ははっ、日本語は、難しいね」
篠宮は苦笑いをした。無論、俺も同じ。




