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《覇》の古具使い  作者: 桃姫
古具編
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1話:夢

 バッと体を持ち上げる。鼓動が早い。全身から嫌な汗が吹き出ている。

「ここは、どこだ……」

ソファー。机。本棚。窓。普通の部屋。

「あら、気がついたの?ここは、生徒会室よ」

生徒会長?そう、生徒会長の天龍寺カナタ(てんりゅうじかなた)だ。何故、俺は生徒会室に居るんだ。胸に手を当てる。しかし、そこにはナイフで刺されたはずの傷はない。

「あなた、授業中に突然倒れたのよ。それで、保健室に運ばれたんだけど、保健の先生休みで、少しは、医学の知識がある私のいる生徒会室に運ばれた……っていうか、まあ、人が横になれる部屋は、ソファーがあるここだけだったって理由もあるんだけど」

どう考えても、後者が正解な気がする。

「それにしても、青葉清二(あおばせいじ)君。持病とかは無かったわよね?隈も出来てないから睡眠不足って訳でもなさそうだし。顔色も良かったから貧血って訳でもないでしょう」

確かに持病は無い。昨日は、十一時に寝たし……。特に倒れる理由は無い。強いて言うなら、人が倒れていたのを見た心労だろうか。ん?待てよ。そういえば、刺された傷もないし、結局、アレは夢だったということだろうか。

――コンコン

リズムを刻むようなノック。

「どうぞ」

会長の声がかかるとともに、扉が開かれた。そこに立っていたのは、――立原美園。刺されてしまった、生徒会副会長だ。生きている。いや、あの時点で意識不明の重体で死んでいたわけではなかったのだが。十分、元気だ。刺されたとは思えないほど。

「あ、起きたんですか。青葉清二君」

「え?あ、はい」

本当に何が起きているのだろうか。時間が巻き戻った?それとも、もの凄くリアルな夢。どちらにしても、まあ、生きているからいいか。俺も、立原美園副会長も。


 俺は、世話になった生徒会室から出て、家へ向かうことにした。生徒会長には二、三度頭を下げて、心からの感謝を伝えた。ちなみに副会長は、俺が出る前に、急用で、出かけてしまっていた。礼を言いそびれた。そんなことを考えながら、昇降口を出て、家との間にある商店街に差し掛かり、

――そういえば、あそこで副会長が倒れていたんだっけ。

思わず、そちらを見る。ドサッという音とともに、副会長が倒れるところだった。俺は、思わず言葉を失った。息が出来ない。何か分からない感覚が全身を駆け抜ける。男が逃げていき、聞き覚えのあるサイレンが遠くのほうから聞こえてくる。


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