147話:《第四階層:無双神殿》
Scene清二
この無双と言う人物、化け物だ。まるで、《精霊》よりも上位な、そう、まさしく、神の如き圧力。そして、なんだろうか、この雰囲気。まるでいつも感じているものが、目の前に現れた雰囲気。
「ほんで?誰が戦うの?深紅?アリスちゃん?それとも私の子孫」
そして、最後に俺の方を向く。
「それとも、《蒼天》の馬鹿の子孫?」
俺は、即座に、《殺戮の剱》と《切断の剱》を構える。
「反応良しね。あんたは、私に似てるし、いっちょ本気でやったりますか」
無双と言う人物は二本の刀を振るう。
――ドォオオオオオオン!!!!
白い閃光の後、爆音が鳴り響く。塔は余程の強度なのか、傷一つ無いが床はズタボロだった。
「無双流泉鷲天」
「あっぶねぇな!《蒼天の覇者の剱》!」
二刀でぶつかり合うから《殺戮の剱》と《切断の剱》を構えたのに、これは、二刀とか関係ねェ!
「《蒼刻》!!」
俺は《蒼刻》を発動する。しかし、《蒼刻》だけでは無理。しかし、聖の力を借りるのは、まだ無理だろう。なら、
「神様とやら、力を貸してくれよな……!」
トクン。《蒼き力》が呼応する。
「|《蒼刻―淵爛》《ブルー・アビス》!」
《蒼き力》が体中から噴出し、地面すらオーラに包まれる。まるで、世界を蒼に塗り替えるかのような力。
「へぇ、おもろいわね。無双流奥義蘭天抜犀」
俺のオーラを突き破るように刀で突っ込んでくる。俺は、右手に握る《蒼天の覇者の剱》を床に突き刺し一本目の刀をガードする。しかし、女性は、跳ね返ったと同時にそのまま回転し、別の方向から、二撃目を仕掛けてくる。
「くッ」
寸での所で躱すが、避けきれず右肩に鋭い痛みがはしる。
「痛ェ!」
鮮血が勢いよく噴出す。こりゃ、右肩はしばらく使えないかも知れねぇな。
「無双流天儀双劉牙」
二閃の斬撃が俺の間近で生まれる。ヤバイ。咄嗟に俺は、左腕にオーラを集め、そして、解き放つ。
――ドォオオゥン!
まるで雷が落ちたかのような音が鳴る。巻き起こる砂煙。いや、正確には、あたりの床の大理石が、衝撃によって細かくなり巻き上がっているのだが。
砂煙が晴れる。
「あちゃ~、力使いすぎたわねぇ」
薄っすら輪郭のぼけた彼女の姿を見て、俺は、
「強いな、あんた」
そう言った。
「ハッ、最強の武神だからね。あ~、消えちまう前にちょろとヒント。次の階に、ラスボスはいるわよ。この塔は五階建てだから」
彼女が消えきるのを見てから、俺たちは、階段を登る。




