133話:古具と因子と死古具
ロンギヌス。それは神を処刑するため(生死を確認するためとも言われているが)使われた槍である。アーサー王伝説にも登場しており、そのときは白い槍と表されていたが、まあ、伝承である。確かとは言えない。このロンギヌスに関しては、一度神を殺した槍であるとされる。もっとも恐ろしい武器である。
「……と、言うのが、おそらく《刻天滅具》の正体だろうな」
「そうか、神の造った古具は、神を殺す槍の前には無効化されるということ、であってるのかな?」
篠宮の疑問に、俺は、
「まあ、そう言うことなんだろうが、だとしたらおかしな点が出てくるだろ?」
「ええ、神は自分を殺すための道具を造ったということですね」
副会長が即答する。それに対して、煉巫が、
「少しいいかしら?アーティファクトとその《こくてん何とか》は、同じ集まりに集まらないのではないかしら?」
と、興味深いことを言った。そういえば、古具を造ったのが神だというのであれば、おかしな点がある。白らとの修行の時、《殺戮の剱》は言った。《殺戮の剱》と《切断の剱》は別の存在が、《デュランダル》を模して造ったと。そして、聖剱は《神》が造った。それはすなわち、《殺戮の剱》は神以外の存在が造ったことになる。
「まさか、《死古具》は、神が造ったものではないということか」
俺の呟きに皆が唖然とする。だが、俺は続ける。
「だとすれば、古具使いが継げないはずの聖剱の《因子》を俺が持っているのも納得できる。確か、龍神は、血と力と言っていた。それも、アーサーと篠宮を見て。それは、アーサーが血。篠宮が力を示している」
なるほど、
「つまり、聖剱の因子を持つものは、《神の血》を継ぐもの。古具を持つものは、《神の力》を継ぐもの。と言うわけ方になるに違いない」
「なるほど、その説は説得力がありますね」




