132話:新学期
さて、新学期早々に煉巫が編入してきたため、教室がパニックになった(主に、喧嘩により)のだが、まあ、それは置いておこう。俺は、昼休みに、高木のアホな質問責めにあったり、クラスの女子に色々聞かれたが、まあ、何とかこなし、放課後、アーサーと白羅と煉巫を連れて生徒会室に来ていた。
「オッス、篠宮」
「どうも、青葉君。それに白羅さんとアーサー君と、あれ、キミとは初対面かな?」
篠宮が挨拶をする。俺たちは、それぞれ、適当に腰をかけた。
「今日はちょっと話しが合って、この面子を連れてきた」
俺の言葉に、篠宮は、
「へぇ~そうなのかい?とりあえずお茶を出すよ」
「おう、サンキュー」
「ありがとう」
「Thank you.」
「ありがとうございます」
俺達の三者三様(この場合は四者四様だろうか)の返事で礼を伝える。そしてお茶が出され、飲んで話して、そうこうしている会長と副会長がやってきた。ちなみに煉巫のお茶の飲み方は優雅で気品溢れていて、こう、なんて言うか完全な姫様感が出ていた。
「あら、その方は?」
副会長の問いに、煉巫が答える。
「はい、私、この度、この学園に編入してまいりました。朱野宮煉巫でございます」
「ほぉ~編入生さんが何のよう?」
と言う会長の疑問に被せるように篠宮が反応を示す。
「朱野宮?!君は、《朱野宮》の人間なのかい?」
篠宮の反応が大きすぎたため、皆驚いている。
「そうですが、それがどうかしました?」
「まさか、こうも三人が揃うことになるとは、驚きました。《篠宮》、《蒼刃》、《朱野宮》はやはり、繋がりがあるのかも」
篠宮、青葉、朱野宮?
「どういうことだ?」
「僕は、こないだ神と呼ばれる存在の声を聞いたんだ」
神だ?
「一つは、青葉君によく似た声。もう一つは、雰囲気が青葉君によく似た女の人の声。その二人の神が言っていたんだ。『私の子孫は《篠宮》だし、あんたの子孫は《蒼刃》だし、あの娘の子孫も《朱野宮》と名前を変えているのだから、』と」
つまり、
「俺達は、神の末裔だとで言うのか?」
「僕は、少なくともそうだと思ってるよ」
「それは、私の《朱の》回復力も神の力だということですか?」
そう、俺も煉巫も不思議な力を持っている。
「待った、セイジに似た声、だと?」
アーサーも話しに入ってくる。
「それって、セイジそっくりのくせに、僕とか言う声か?」
「そう、アーサー君も聞いたのかい?」
どうやら篠宮の幻聴ではないらしい。まあ、俺も度々聖の声を聞くしそういうものなのかも知れない。
「オレが手にした《Collbrande.E.X.》だが、その声が力を貸してくれて出来上がったものなんだ」
そうだったのか。つまりは、
「アーサーの聞いた声ってのは、俺にそっくりな子孫が《蒼刃》と名乗っているって奴だな?んで、篠宮だけが聞いたのは、子孫が《篠宮》を名乗っている奴」
「そうだね」
「それが一体なんだというのかしら。特には関係ないと思うわね」
まあ、そうである。
「あっ、それと、青葉君と同じ死古具の使い手に会ったんだ。《刻天滅具》の使い手に」
《刻天滅具》?俺が知る限り、古具は、「○○の○○」と言う、「《事象》の《姿》」もしくは「《姿》の《事象》」の形になっていたはずだ。例えば、「殺戮(と言う事象)の剱(と言う姿)」であるように、「緋色(と言う姿)の衣(と言う事象、性質)」とであるように。しかし、《刻天滅具》、別称 《ジ・エンド》と呼ばれるものは、一体全体、どんな性質なのだろうか。どんな形状かも分からない。
「《刻天滅具》はどの形なんだ?」
「形?ああ、形状は、黄金の槍だよ」
黄金の槍?まさかとは思うが、
「その槍に《古具》は効いたか?」
「え、効果を知っていたのかい?いや、違うね。今ので推理したのか。君の思うとおり、古具は無効化されたよ」
そうか。古具は神関連のものが多いからまさかとは思っていたが、そうか、《刻天滅具》は、そういうことなのか。
「どういうことか教えてくれるかな?」
「まったく何の話か分からないけど、教えてくれるとありがたいわ」
篠宮と会長の言葉に、俺は、先ほどから篠宮と俺のやり取りをメモしていた副会長やわけがわからなそうに見ていたアーサー、白羅、煉巫に話した方がいいか確認して、
「そんじゃ、話しますけど、」
ここで一拍間を空ける。




