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「のんびりしながら行けるかと思ったんだけどな・・・」


―――――一週間後、ラインヴァルトとトールはスクルトリアを出て、徒歩で北に

向かっていた。

「別世界に来てまで、面倒な事には関わりたくないんだけどな」

不機嫌な表情を浮かべながらラインヴァルトが告げる。

「これが異世界の醍醐味ですよ」

トールは、機嫌がよさそうな表情を浮かべながら応える。




ラインヴァルトとトールが現在向かっている場所は、現在鬼獣の大群により

近隣一帯を包囲されつつある場所で、孤立化が進んでいる一帯だ。

冒険者ギルドに登録しているAランク以上の冒険者達が、冒険者ギルドの計画に

従い、幾度も反撃を試みているが破るには至らずの状況が続いている。

ラインヴァルトとトールの目的場所は、都市「バルドラン」

鬼獣の群れと住民や冒険者が激しく闘っている場所である。




ラインヴァルトにとっては面倒事、トールにとっては異世界の醍醐味を味わえる

としての大歓迎な展開に赴く事になったのは、スクルトリアのギルドマスターから

の立ってのお願いだった。

「その腕を見込んで、ぜひに行ってもらいたい所がある・・・」

緊急討伐の報酬金貨1200ナハルを渡された直後、ギルドマスターが2人に

対して頭を深く下げながら懇願した。

さすがに、ラインヴァルトも頭を下げられながら懇願され、さらにその状況の空気を読めば(?)断わる事は出来なかった。




1週間の準備期間を終えると、スクルトリアから北の都市「バルドラン」に

向けて移動を開始した。

深さは最大で5メートル、川幅は最大500メートルのアルニア川に架かっている

橋を渡ったすぐ後にラインヴァルトとトールは脚を止めた。

「のんびりしながら行けるかと思ったんだけどな・・・」

ラインヴァルトはそう言いかけながら、全身を緊張させて背中に背負っている

漆黒の片手剣を鞘から抜く。




「それはちょっと無理ですよ」

トールは、苦笑いを浮かべながら応え、幅の広い片刃の短刀を抜く。

前方には、幾多の鬼獣の姿があった。

その鬼獣の中には、身の丈6メートルはあろうかという巨体の姿もあった。

岩の様に筋肉が盛り上がり、異常に発達した外骨格となって身を覆い、まるで、

上半身から鋼鉄の板を幾枚も重ね着したような姿の鬼獣が目視で確認できるだけでも、十体ほどいた。




双眸は爛々と赤光を放ち、開かれた口腔には鋭い牙が並んでいる。

その巨体の他には、従来の鬼獣の姿が溢れ返っている。

「さっさと突破するぞっ!!」

そう告げると、ラインヴァルトは地面を蹴り、鬼獣の群れに向かって疾走する。

「はいはい」

トールは、幅の広い片刃の短刀を持っていない手を頸に置きながらコキコキと左右に動かして関節を鳴らした後、同じように地面を蹴って疾走した。





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