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「こうなるのが嫌だから、あんまり関わりたくはなかったんだよ」

 

 冒険者達が呻き、悲鳴を上げていた。

 原因は、四台のうち一台の荷馬車が、鬼獣の襲撃の犠牲になっていたからだ。

 路面には補給物資が散乱し、血の臭いが濃く漂っている。

 周囲では、鬼獣の群れとの戦闘が続いている。

 四台の荷馬車は、アーシラ村へと向かうために最短の道を辿った。

 ラインヴァルトとトールは、この緊急討伐に参加する冒険者の数が少ない事に疑問を覚えた。

 一攫千金を求める冒険者なら、こぞって参加するもんじゃないのかと思っていた。

 ――――その疑問が晴れたのはまもなくの事だった。

 アーシラ村へと向かう道中で、鬼獣の群れが姿を現したからだ。

 幾ら報酬が良くても、一攫千金を求める冒険者も臆病風に吹かれたのだろう。

 ほとんどは無視して先に突き進んだが一刻ごとに、群れの数が増え続けて荷馬車に次々と押し寄せてきた。




 そして、ついにアーシラ村が望める丘に辿り着く同時に四台のうち一台の荷馬車が、鬼獣の襲撃の犠牲になった。

 アーシラ村を蹂躙中の一部の鬼獣の群れは、無謀な新たな獲物の存在に気づき、

 人外の甲高い耳障りな雄叫びを上げ、鼓膜を震わせる。

「なんて数だ・・・」

 村一つを蹂躙するほどの鬼獣の群れを見て、救援に随行していた冒険者ギルド職員は、恐ろしくて歯をガチガチ言わせながら呟いた。

「俺とその連れが、あれを何とかするから体制を整えてくれ」

 ギルド職員の右肩をポンッと叩きながら、ラインヴァルトが気さくな声で告げる。

「今何と――――」

 ギルド職員が尋ねようとしたが、そこにはすでに姿はなかった。




「こうなるのが嫌だから、あんまり関わりたくはなかったんだよ」

 横一列に整然と並み、不気味な足並みを揃えながらやってくる鬼獣の一群を見据えながら、ラインヴァルトは獰猛に吐き捨てる様に告げる。

 背中に背負っていた漆黒の片手剣は鞘から抜いている。

 その貌の表情は、この状況に呆れてた様な笑み浮かべていた。

「何を言っているんですか、異世界と言えばこれが醍醐味ですよ」

 トールは、幅の広い片刃の短刀を抜きながら応える。

 その会話が終わると同時に――――ラインヴァルトが地面を蹴り、鬼獣の一群に突き進む。

 超高速移動からの、眼にも留まらぬ斬撃の連打、斬り落とし、突き入れ、横薙ぎ払い・・・。

 それまさしく一陣の烈風のように鬼獣の一群に襲いかかった。

 鬼獣の一群は、次々と叩き斬られていく。

 ラインヴァルトの振った斬撃が、二体の鬼獣の頸をまとめて叩き斬った所で、

 第一群の鬼獣の群れは息絶えていた。




 もちろんラインヴァルトが1人で屠ったわけではない。

 トールも、幅の広い片刃の短刀で、鬼獣の頬が裂き、背中が引き裂き、脇腹に幅の広い片刃の短刀が沈め、返す勢いで両目を引き裂き、さらには頸を切り裂くという

 戦闘を行っていた。

 その凄まじいまでの剣戟を目撃した、冒険者やギルド職員は言葉を失った。

 その光景は信じられず、ただ、ただ、驚愕の一言に尽きた。

 その光景を目の当たりにした冒険者やギルド職員は、想像も出来ないだろう。

 この二人が、元の世界ではどれほどの修羅場を潜り抜けてきたかを・・・・。

地面には夥しい鬼獣の死骸が転がっているが、また、次の鬼獣が甲高い雄叫びを

 発して向かって来るのが視界に見えた。

「トール、俺はさっさとあの村に行って生存者がいないか確認してくる」

 ラインヴァルトは、そう告げる。

「異世界に来ても、美味しい所は取っていくんですね」

 トールは、何処かおどける様に応えた。








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