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「(なんでお前は、そう同じような事を言うんだ)」

 


 村長のセベアデに一通りの報告を終えたラインヴァルトとトールは、スクルトリアに帰還するために、村を出発した。

 セベアデには一晩滞在をと引き留められたが、ラインヴァルトとトールやんわりと断りを入れた。

「ご好意には感謝します、セベアデ村長」

 ラインヴァルトは、警戒感を与えない様な笑顔と声で応えた。

 ―――特に急ぎの依頼もなく村から出発したのは、簡単な訳がある。

 2人のいた世界では、全ての街や村といった場所には魔物の襲撃に備えて特殊高度結界が施されている。

 だが、この世界ではそのような結界が村に施されていないため、特殊高度結界が施されていた世界で生活をしている2人には、どうしても安心して睡眠をとれないからだ。

 スクルトリアの様に城壁に囲まれているなら、まだましかもしれないが・・・。




 二つの太陽がゆっくりと沈みインクをぶちまけたように空が黒く染まる中、ラインヴァルトとトールは、スクルトリアへ向けて移動する。

 もちろん村から離れると高度補助魔術を唱え、約四時間かかる距離を約二時間ほど短縮させてだ。

 移動中には不思議と鬼獣との遭遇もなく、約二時間ほどでスクルトリアへ戻る事が出来た。

 スクルトリアの荘厳な門では、冒険者らしい格好の集団が手続きをしているのが見える。

 2人は最初に来た通りに門番の前に立つ。




 岩の様な肉体の警備兵が手配書を見ながらラインヴァルトとトールの貌を見る。

「2人は冒険者か?」

 と警備兵が尋ねてくる。

「ああ、テオラギ村の依頼を終えて帰ってきた所さ」

 ラインヴァルトはそう応える。

「そいつはご苦労さん」

 岩の様な肉体の警備兵が告げてくる。

 ラインヴァルトとトールは、警備兵にギルドカードを提示すると、街に入っていく。

 岩の様な肉体の警備兵は、2人の背中を見ながら頸を傾げた。

「(本当にランクEなのか?)」

 岩の様な肉体の警備兵には、2人の様子からしてそのようには判断は出来なかった。

 明らかに上位ランクの冒険者を彷彿とさせる空気を醸し出しているからだ。




 街の中は、日も暮れているため昼間の喧騒は嘘の様に静まり返り、行き来する住民の姿もまばらだ。

 冒険者ギルドの建物がある広場へと進んでいけば、同じように夜遅くに冒険者ギルドで手続きを終えた屈強な体格の集団の姿がちらほらと見えてくる。

 冒険者ギルドの建物に近づき、両開きの押し戸を開けて内部に入る。

 左手奥の複数存在している5~6人囲める木製のテーブルとバーカウンターには、今夜は少し多めの屈強な冒険者達が食事をしている姿が見えた。

 ラインヴァルトは特に関わる様な用事も無いので、トールに何か告げようとしたが――――。




「駄目です、来てください」

 その前に拒否をされた。

「・・・・」

 ラインヴァルトは、少し憮然とした表情を浮かべながら受付カウンターに向かう。

 受付嬢は、また違っていた。

 肩まで伸びた黒髪を後頭部で一つに結び、二重瞼で僅かに切れ長、唇、向かって左下に小さな黒子、左耳に二つピアスをつけ、華奢ではなく、引き締まったしなやかな体付きをしている。

 この世界の受付嬢の基準は、一体何なんだろうかとふっとラインヴァルトは思ったが、そのことに付いては考えない事にした。




 ただ、言える事は冒険者達には人気だと言う事は間違いない事だろう。

 その受付嬢にギルドカードを提示して、依頼を受けたランクCの「鬼獣」の群れの調査報告の手続きをした。

 受付嬢は近隣の地図を取り出して、2人の調査結果を聞く。

 もちろん、特殊個体の「鬼獣」との遭遇し排除したことは一言も喋らずに――――。

「依頼達成です、お疲れ様でした」

 受付嬢が営業スマイルを浮かべなが告げながら、銀貨で580ナハルの入った皮袋を手渡してくる。

「どうも」

 ラインヴァルトも何処かそっけなく短く応えると、「鬼獣」の群れの調査報告依頼料580ナハルを受け取る。

 ラインヴァルトは、巨大な掲示板がある方向へは向かわず外に出ようとする。

「(なんでそうそっけないんですか・・・・、もうちょっとこう口説き落としてですね・・・)」

 トールが、小声でそう尋ねてくる。

「(なんでお前は、そう同じような事を言うんだ)」

 ラインヴァルトは、何処かげんなりと表情を浮かべながら応えた。




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