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「ベルナルドが見たら、咽び泣くかもな」

 

 ラインヴァルトとトールは、高度補助魔術の効果もあって半時間ほどで「スクルトリア」に着いたが、すでに

 二つの太陽は、地平線へと沈みかけている。

 帰還途中、幾つかの「鬼獣」の群れとも遭遇したが、2人は戦端を開くこともなく飛ばし続けた。

 10mほどの城壁で囲まれている「スクルトリア」が視界に見えてくると、ラインヴァルトは高度補助魔術を解除した。

「トール、その「鬼獣」の頸を何処で金と交換するんだ?、ギルドか?」

 少し機嫌を直した様子のトールに視線を向けて尋ねる。

「いえ、あそこですよ」

 トールは、麻袋を持っていない左手で指をさす。

 ラインヴァルトは、指をさされた場所に視線を向ける。

 その先には、警備兵の詰め所の様な建物があったが、そこにはいかにも冒険者らしい姿が見えた。

 装備している防具や武器などを見れば、ラインヴァルトとトールにはいかにも古代冒険者時代の冒険者が装備していたとしか思えなかった。




 新冒険者時代の冒険者は、銃火器類で武装して遺跡や地下深い迷宮へと赴いているからだ。

「ベルナルドが見たら、咽び泣くかもな」

 ラインヴァルトがそう告げながら、その場所へと向かう。

「想像するからやめてくださいよ」

 トールは、露骨に嫌な表情を浮かべながら後に続いていく。

 警備兵の詰め所の様な建物に脚を踏み入れると、この世界の冒険者が数十人ほどがカウンターで手続きを

 しているのがわかった。

 手続きをしていた屈強な冒険者らが、この近辺では見掛けない服装姿のラインヴァルトとトールの姿を興味深そうに見て、一時的に手続きを止める。

 2人は、その雰囲気に慣れているためか、堂々とした態度で空いている手続きカウンターに進む。

 カウンターの向こう側には、黒髪短髪で引締る細身体躯の男性受付がいた。

「ギルドカードを提示してくれ」

 男性受付係が言ってくる。




 ラインヴァルトとトールは、言われたままギルドカードを男性受付係に見せる。

「駆け出しか・・・で、何体倒したんだ?」

 男性受付は、ギルドカードを確認して一瞬だけ怪訝な表情を浮かべながら、尋ねてくる。

 恐らく、ラインヴァルトとトールの醸し出す雰囲気でもっと上位の冒険者だろうと思ったのだろう。

「これです、ざっと三十ですね」

 トールはそう告げながら、黒い表面はやわらかい材質で出来ているカウンターの上に麻袋を乗せる。

「おいおい・・・」

 男性受付係は驚いたとも呆れたとも言える表情を浮かべながら告げる。

「まあ、確認してくれ、あと、麻袋はまだ使うから返してもらえるとありがたいんだが」

 ラインヴァルトは口元に笑みを浮かべながら告げるが、内心は舌打ちをしている。

 この係員の反応からして、新人で「鬼獣」を三十体も倒したのは多かったのかもしれない。

 男性受付係は麻袋を手に取ると、カウンターの奥へと消えていく。




「(三十は多かったのかもしれませんね)」

 トールが小声で言ってくる。

「(かもな・・・)」

 ラインヴァルトは、小声で応える。

 まもなくして、男性受付係が空っぽになった麻袋と皮袋を持って戻ってきた。

「駆け出しにしては、良くあんだけ狩ったな、ほら、これが「鬼獣」の討伐料だ」

 ラインヴァルトが小さな皮袋を、トールが麻袋を受け取る。

 小さな革袋を受け取ると、じゃらりと音が鳴った。

 革袋の中身を確認すると、中には銅貨が入っていた。

「全部で銅貨300ナハルだ」

 男性受付係が告げてくる。

「確認した」

 ラインヴァルトは、念のため銅貨の数を確認を終えるとトールを連れて出ていく。

 銅貨の数を数えている間に、トールはトールで、近くの暇そうに待っている冒険者達とコミュニケーションを

 取っていたのは言うまでもない。



 立ち去って行く2人の姿を見送った男性受付は、何処か納得のいかない表情を浮かべた。

「(あの二人、本当にEランクなのか?)」

 幾多の冒険者の姿を見てきた男性受付係からは、今の2人がEランクの駆け出しの冒険者には見えなかった。

 今の2人は、Eランクの冒険者にしてはあまりにも貫録がありすぎるからだ。

 現に、良く新入りの冒険者などに因縁などをつけようとする連中らも、今の2人に対しては何もしなかった。

「(馬鹿でも本能的にわかったってか?)」

 男性受付係は、そんな事を思いながら次の冒険者との手続きに入る。






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