1話「小さな科学者(ただし中身はジジイ)」
目が覚めると知らない天井…てか天井高くないか?それに体軽いような…?
「……………ん?」
声が高い?寝ぼけているのか?てかここどこだ?俺の研究室…じゃないよな?
周りは…何だこれ?
周りを観察するため、ゴロゴロしながら周りを観察していると、何か赤いシミのある水瓶を見つけた。
物語や絵本でしか見たことないぞ?まさか、日本…じゃないよな?
現代日本にはないはずの水瓶、さらに見渡すと木の本棚、ガスコンロなんてない江戸時代にでも使ってそうな薪釜…うん、どう考えてもこのパターンは異世界?だよな?
辺りを見渡すために転がっていると、太陽の光に目を奪われ、顔に手を翳した。その瞬間、手を見て、全身の血液が逆流するような感覚を味わった。
ちっっっっっっっっさ!!!!
なんだこれ!!手が小さすぎだろ!!指なんてマジで枝豆サイズじゃねぇか!!
え、何これ?もしかしてこの前作った縮小装置が暴走したのか!?
「………………はは…」
やべぇ、声まで天使のささやきみたいになってやがる…
俺は、黒谷 雄一、今年で75歳。理系最強の科学者とまで言われた男だぞ?
しかし何でこんなことに………いや、待て?
起き上がり、顎に手を当てここまでの記憶を考えてみた。
俺は4人、水谷、クソババア、遥くんと実験をしていた。
そして休憩の時…………あ…………
思い出した。あ、死んでるわ、俺。
これはあれだ。イマココが異世界と仮定すれば、世に聞く異世界転生ってやつだ。
事故死→異世界→チート能力→無双って感じのやつだ。
もしかしてこれから、俺TUEEEE的なこと始まるのか?
それなら少し楽しそ…うだ……?
目の前の鏡に写った俺を見た瞬間、固まってしまった。
目の前にはもふもふな赤い髪、透き通るような白い肌、赤くウルウルとした大きな瞳…そう、目の前にはまるで、天使のような可愛らしい女の子が立っているのだ。
「な…何で…完全に可愛い、クッッッソ美少女なんだよ!!!!」
流石に叫んだ。せめて男であって欲しかった…
「………しかし、ちょっと可愛すぎるだろ?一体どこのフィギュアメーカーだよ…」
バグか?
ミスか?
それとも神様の趣味か?
ていうか、何で服までピンクのフリル付きワンピースなんだ?
どこぞの「お姫様入門セット」みたいな姿だな…
でもまぁ、俺の科学者人生はそれなりに満足だったし、今更男でも女でも関係ないか?
という感じで第二の人生がスタートした。
ーー
「コノハちゃ〜ん?」
俺は名前を呼ばれたが気がつかなかった。
まだ俺がコノハって名前をちゃんと覚えてない。
転生?とやらをしたここ数日、右も左も分からない状態な俺は情報を集めた。
この美少女の名前は『コノハ』だと言うこと、この子は今年で5歳だということ、今目の前にいる母親は自分の母だということ、転生したあの日、俺…コノハはあの日、ここの当主の娘がいらないと言った、ピンクのワンピースをもらってはしゃいでいた所、頭を水瓶で強く撃ち、気絶したということ。
そして………
この世界は魔法の世界であり、科学を迷信だと思っていること。
あの時考えた異世界(仮定)は本物だった。
本物であって欲しくなかった。
「コノハちゃん?大丈夫?」
コノハは考え事をしていて気づかなかった。
「大丈夫だよ?それで何?」
ママは心配そうに俺を見てきていたが、笑顔を見て安心したのだろう、一息入れて聞いてきた。
「コノハちゃん少し変わったわね?前まで、あれ嫌これ嫌!がなくなってすっかりおねいさんねぇ…えらいえらい」
「二へへ…………(今の俺がえらいのはお行儀やイヤイヤ期じゃなくて、過去にノーベル賞3回辞退した事なんだよなぁ)」
ママはコノハの頭を撫でてくるが、コノハは苦笑いしていた。




