水の中に友がいる
私の友達、ナツコはとても海が似合う子だ。
肌は日焼けで黒く、笑った顔はひまわりのように明るい。
私は夏休みにナツコと海に行った。
お盆前の海はかなり混んでいた。
私はナツコと海の家でかき氷を食べたり、浮き輪を抱えて海に浮かんだり、砂でお城を作ったりした。
楽しかった。
「また明日も海で死ぬほど遊びたい」とナツコは言った。
「ダメだよ。お盆は家で大人しくしないと!」と私は強く言った。
この村には古くから言い伝えがある。
お盆は絶対に海に入っては行けない。
お盆に海に行った人は行方不明のまま帰ってこないと言われている。
嘘か本当かはわからない。
ただ私はなんとなく言い伝えを信じている。
お盆に嫌な予感がしてナツコの家に行ってみた。
昨日から行方不明になっていると聞いた時には頭が真っ白になった。
もしかして海に行ったの?
私は海に向かった。
「ナツコに会いたい」
海に近づいて波打ち際を見た。
波の中にナツコがいた気がした。
気のせいだろうか。
ナツコが波に映っていたような。
村のあちこちを歩き回ったが、ナツコはいなかった。
家に帰り、夜お風呂に入ろうとした時、お風呂のお湯の水面にナツコが映っていた。
えっ?
水の中にナツコがいる…?
私は怖くて「もう出てこないで!」と強く言ってしまった。
それからは水の中にナツコを見ることはなくなった。
大人になって知ったのだが、この村にお盆の期間だけ言霊を集める霊が来るという。
◇◇◇
お盆の海に来たナツコは「死ぬほど楽しい〜」と誰もいない海に叫んだ。
死ぬほど、死んでもいいんだ?言霊を集める霊がナツコをどこかへ連れて行った。
そして私が「ナツコに会いたい」という言霊がナツコを水に映して「もう出てこないで!」という言霊でナツコは消えていったのだった。
夏も海も大好きですが、お盆は怖くて海に行きません。




