表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライトノベルの悪役魔獣使いだった俺、現代に転生し新テイム能力で今の世界を突き進む  作者: ありぽん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/38

11話 成功したテイム、久しぶりの喜び

 全ての光が消えて、辺りが元通りになる。そうして周りを確認すれば、姉さんも優也さんも、そしてファインドモルル達も全員、目を瞑ったり、手で目を隠したりしていて。俺と代表を包んでいた光は、全員に見える光だったんだろう。

 俺と代表は、その強い光の中でお互い認識できていたが、姉さん達はどうだったんだろうか? 


 まぁ、それは後で聞くとして、今は俺と代表のことだ。光が消えたばかりで、みんな状況についていけていないが、こちらは進めさせてもらおう。俺は自分の携帯端末を取り出すと、ステータスアプリを立ち上げ、指紋認識の場所に親指を当てる。


 事細かなステータスを確認する場合は、協会へ行って確認しなければいけないけれど。ちょっとした確認、どんなステータスを持っているか、自分が今どんな状態か、そしてテイムしている魔獣はいるのか。


 そういった基本的な事は、携帯端末に入っているステータスアプリを使えば、調べることが出来る。俺の物だけではなく、購入する前から携帯端末に組み込まれているため、全員が使うことが出来るぞ。


「今、確認するから待ってくれ」


『確認? 何を確認するっチュ?』


「……」


『……』


 お互いを見る俺と代表。これは確認しなくても大丈夫みたいだな。が、一応、一応確認しておかないと。……魔獣とこんなにしっかり言葉を交わせるなんて。あの頃の感覚に心が弾む。


『どうしてニヤニヤしてるっチュ?』


 代表にそう言われ、俺は頬をさする。どうやら気づかないうちに笑っていたようだ。


「お前は今、俺の言葉がはっきり分かっているんじゃないか?」


『分かる? オレ、人間の言葉はなんとなく分かるっチュ』


「なんとなくじゃなくて、今はしっかり分かるだろう?」


『だから今までも……、およ? っチュ?』


「俺もお前と同じだ。お前の言葉がしっかり分かるようになった。俺が今しようとしているのは、俺がお前をしっかりテイムできているかの確認作業だ。これだけしっかりお互い言葉が分かるのなら、ちゃんとテイムできているだろうが、一応の確認だな」


『テイムできたっチュ? やったぁーチュウゥゥゥ!!』


 代表が俺の手のひらから腕をつたい、後ろ頭の方から頭の1番上に上がると、俺の頭の上でジャンプする。


「だから、これから確認するところだ。まだテイムできたかは……」


『やったぁーチュウ!! やったぁーチュウ!!』


「……」


 これで出来てなかったら困るぞ。こんなに喜んでるのに。俺はドキドキしながら、話していて離してしまった親指を、再び携帯端末の指紋認識箇所に当てる。


 この辺になって、姉さん達が復活してきた。目を擦りながら、全員が俺と代表の周りに集まってくる。そうして俺の頭の上でジャンプしている代表を見て、ファインドモルル達は万歳をし大喜び。姉さんと優也さんは、俺の端末を覗き込んできた。


「和希、どうなの!? あんなに頭の上で跳ねてるって事は、テイムできたって事よね! ね!!」


「和希君、確認は!?」


「はぁ、まだ確認前だよ。ただ話しは出来るようになったから、テイム出来てるとは思う」


「思うってなによ!! こんなにジャンプして、もう確認終わってるんじゃないの!?」


「……今姉さんが、俺に体当たりして来たから、指が離れて確認のし直しだよ」


「早くやりなさい!!」


 誰のせいで確認をし直しになってると思ってるんだ。俺は3度目の確認作業をする事に。しっかりと親指を指紋認識箇所に付け、認識中の表示が消えるのを待つ。そうしてその認識中の線と文字が消えれば。ホログラムで俺のステータスが表示され。


 みんなが俺の手元を覗き込んできた。代表なんて俺の顔に張り付いて来たよ。


「おい、前が見えないから離れろ」


『これ何でチュ? 時々人間が見てるっチュ』


「早く動かしなさい!」


「だから、顔から離れろ! 姉さんも押すなよ!」


 まったくただ確認するだけなのに、どれだけ時間がかかるのか。俺は2人を離し、スクロールして下の項目を見ていく。

 そして……。最後の箇所に、その表示はあった。【テイム魔獣:ファインドモルル】という表示が。俺が初めてテイムを成功させたという証だった。


 その表示を見た瞬間、姉さんが俺に抱きついて来て、そのままバシバシッと俺の背中を叩いてきた。それからぎゅうぎゅうと抱きしめてきて。俺は思わず呻き声を上げる。

 優也さん、うんうん頷いていないで、姉さんを離してくれないか? このままだとせっかく初テイムに成功したのに、窒息死するんだが。


 そしてそんな俺達を見ていたファインドモルル達は、何故か俺と姉さんの真似をして、それぞれが誰かと抱き合い。

 他の何も知らない人が、今のこの瞬間を見たら、変な集団に見えるだろうな。人間だけじゃなく魔獣達まで抱き合って、歓声を上げているんだから。


「ね、姉さん、頼む、離れて……」


「和希!! 良かったわね!! お姉ちゃん信じてたぞ!! あんたならやれるって!! 絶対にいつか、テイムに成功するって!! 今までよく頑張ったわね!! ……良かった、良かった!!」


 ……姉さん、泣いてるのか? 俺はそっと姉さんの肩に手をかける。これまでどれほど、姉さんに心配をかけてきたのか。もちろん両親にも。俺が不甲斐ないばかりに、家族に迷惑をかけっぱなしだった。俺のせいで馬鹿にされた事もあったし。


 まぁ、その場合、家族はみんな、その場で相手に分からせていたし、それで協会の人達に注意されもしたけど。


 最後まで俺の事を信じていてくれた家族。俺はみんなの家族で幸せだよ。


『なーなー、何で抱き合ってるっチュ? みんな分かんないけど抱き合ってて、何でって言ってるっチュ』


「ああ、これは今、テイムできていると確認できたから、姉さんが喜んでくれているんだよ」


『もうテイムできて、オレ、喜んでたっチュ。みんなも喜んでたっチュ。どうしてまた遅れて喜んでるっチュ?』


「だからさっきはまだ、確認はできていなくて……。はぁ、まぁ良い。姉さんは嬉しいがいっぱいだから、何度も喜んでるんだよ。嬉しい時は何度だって、喜んで良いんだ」


『オレ、木の実いっぱいだと、いっぱい喜ぶっチュ!! それと同じだっチュ? オレ、テイムとっても嬉しいから、オレもいっぱい喜ぶっチュ!!』


 また俺の頭に戻った代表。木の実と同じかよ、と思ったが、それでも今は俺も、みんなと喜びを分かち合おう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ