古代エジプトの王名表は正しいのか? ④
これはそもそも論ではあるのだが、こうして紀元前3000年に統治した王たちの名を知るだけでも驚きであるのにその即位順まで5000年経った現代の者が把握しているというのは奇跡のようなものだ。
もちろんそれはそれをどうやって伝えてきたか?
たとえば王の記録で考えれば日本の天皇。
日本に文字が入り、それによって文字による記録が始まる前に存在した天皇についての記録はどうやって次の時代に伝えられたのか?
口伝。
現代の人間にとってこの方法は「伝言ゲーム」で笑いの対象でしかないが、過去にこれをおこなっていた者たちの記憶力は想像を超えていたのはまちがいない。
それでも、やはり口伝が情報伝達の手段だった頃の天皇についての記録は文字によって伝えられた期間についてのものより数段落ちる。
では、古代エジプトではどうなのか?
いわゆる王名表のようなものを口伝だけで伝えていたのだろうか?
答えは確実のノーである。
初代王ナルメルの頃にはすでに文字があり、記録することに執着していた古代エジプト人がそれに限って口伝だったということは考えにくい。
公的な王名表が存在した。
これであれば、王名表でしか名前を知ることができないウセルカラーのような王の名をラムセス2世の統治時代の者が知っていた理由になるだろう。
もちろんその証拠となるものは発見されていない。
ただし、それが存在したとしてどこで記録していたかを推測できる証拠がある。
次はその話をしよう。




