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微睡む未来
認識は茫漠だ
それはまるで早朝の霧のように
それはまるで生活に浮かぶ月のように
それはまるで枯れることを忘れた花のように
不透明な空虚の隅に咲くルピナスは太陽を指していた
真贋のあわい 虚構の最奥で真実を叫ぶのか
孵らない卵にも似て 似ようもない現実と
僕らの隣で 囁くように謡う
秒針の捉える現実と赤線の捉える虚構とが融け合い 模像の現実を作り出す
投げ出されたがらんどうと空に浮かぶ逆三角
定理は像を結ぶ 四次元の彼方 写像のむこう
それは枯れることを知った造花のように
儚く
歴然と
叩きつけるように
未来の背中へ落ちてゆく