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儚げな逆三角形
逆三角の夢を見た
わたしは起き上がってゆるやかな世界の片隅に佇む
不調和の中の秩序が 仮構された現実としてそこにある
ささやかな安寧を胸に 多分わたしは生きていく
縛られない自由と
縛られるこころよさが
混ざり合って同居して 今ここで脈打つのに
どちらでもない幻想が 重なり合ってそびえ立つ
狂おしい衝動が消え失せ
儚げな夢に溺れそうになる身体が
腐り落ち行く菊花にも似て
読み取れない醜さに歯噛みする
水面の耽溺は遠い死人の夢
鏡面の平静は衝動の残響
残り香のように漂うわたしの命が
投げ出された快楽の上で果てる
(2022/01/10)