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待たれない詩
不可視の息苦しさに追い立てられ
現実の足下が突き崩されたとき
夢の足音が消えかけて
世界が牙の先にある錯覚がする
小気味良い雑音が錨となって機構にまとわりつき
やわらかな翼が腕と世界を縫い付ける
言葉が消えかけて
未来が瞳をすり抜ける
窓の外の冷気は現実の終わり
水槽の仮構は夢の始まり
世界が消えかけて
二重のぼくが溶け込んでいく
蠕動する肺が 脈動する空間が
作り物めいた指が 鉛めいた足が
静謐の光の先で
時だけを待っている
2022/01/04、18:17の作品。