表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「柊南天」  作者: 大月櫂音
第壱花弁
3/16

世界の重心に指先で触れる

 失われた楽園を放浪すること

 見えない過去は足下にあるのか

 消えない未来は頭上にあるのか

 冴えない現在はここにあるのか


 まだ見えない

 落日のように消える君も

 霧雨のように迫るあなたも

 今ここで 世界のようにひれ伏す僕も


 それはまるで隕石のように

 それはまるで落雷のように

 それはまるで開くことを知らない金庫の扉のように


 叩きつける


 他の何ものでもない 祈りを


 虚空を突いた光が迫る

 闇よりも情報よりも早く

 鼓動に付いたノイズが唸る

 君よりも世界よりも懸命に


 まだ消えない

 瘡蓋のように覆う言葉も

 大気のように乱暴な君も

 今ここで 虚構のように扮する僕も


 それはまるで終わることのない夜のように

 それはまるで死ぬことのない愚者のように

 それはまるで続くことのない血流のように


 突き落とされた絶望の残骸が

 刺し貫かれた希望の断面が


 僕らの友人のように笑って消えてゆく


 友人のように笑って消えてゆく


 笑って消えてゆく


 消えてゆく


 消えて


    

(2021/08/21)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ