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世界の重心に指先で触れる
失われた楽園を放浪すること
見えない過去は足下にあるのか
消えない未来は頭上にあるのか
冴えない現在はここにあるのか
まだ見えない
落日のように消える君も
霧雨のように迫るあなたも
今ここで 世界のようにひれ伏す僕も
それはまるで隕石のように
それはまるで落雷のように
それはまるで開くことを知らない金庫の扉のように
叩きつける
他の何ものでもない 祈りを
虚空を突いた光が迫る
闇よりも情報よりも早く
鼓動に付いたノイズが唸る
君よりも世界よりも懸命に
まだ消えない
瘡蓋のように覆う言葉も
大気のように乱暴な君も
今ここで 虚構のように扮する僕も
それはまるで終わることのない夜のように
それはまるで死ぬことのない愚者のように
それはまるで続くことのない血流のように
突き落とされた絶望の残骸が
刺し貫かれた希望の断面が
僕らの友人のように笑って消えてゆく
友人のように笑って消えてゆく
笑って消えてゆく
消えてゆく
消えて
(2021/08/21)