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「柊南天」  作者: 大月櫂音
第壱花弁
2/16

叫ばれた正気

 すべてが音素へと還元されてゆく

 詩が意味を失い 叫喚のごとき音素へと還元されてゆく

 攪拌された世界 分断された言葉たち 今 現実が狂気へと変わってゆく

 人形たちの行き着く先は 虚しい自我の空洞

 濡れて震えるさえずりが 耳元よりも奥で聞こえるような


 言葉がなければ死を恐れることもない

 思いの輪郭が 邪魔者ばかりの大気に代替される

 ぼくはここにはいない

 ぼくはここにはいない

 ただ 病質のように 蠢き 憂い 方舟の夢に溺れる


 近い

 近く

 ひどく

 喚んでいる


 あれはきっと 空を漂う難破船のように ぼくらを縛り付けるもの

 あれはきっと 地を這う鳥のように ぼくらを急かすもの

 あれはきっと このぼくのように 君たちを突き放すもの


 さようならの断片も いずれ音素と消えゆく

(2021/08/08)

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