春は今
いつかどこかで、
そんな曖昧な約束を
重ねて
日々は過ぎ去り
木の芽の初々しい
きみどりの
鮮やかな季節が
またやって来ました
お元気で、
そう思う気持ちに
嘘はないけれど
いつかも
どこかも
知れぬ日に
あなたの姿は
朧気で
わたしの姿も
霧のよう
春ののどかな一日に
雲は純白
空は清か
見上げる
わたしの首すじに
ひとつ
ふたつと
刻まれた
この皺の示すは
限りある時間
明瞭な
彩りの中で
されど
流れゆく
景色の中で
春は今
春は今──
小さく
心に立つ
さざなみは
輪に輪をかけ
いつかと
どこかを目指し
ついに
走り出したのです