約束
夢は灯火 我が行く道の道標
隣には友 消えぬ灯火 共に掲げ
果てなき旅へ いざ行かん
◆◇◆◇◆◇◆
暖炉に赤く燃える炎がパチリと爆ぜる。
温かい炎に照らされて、幼い子どもがふたり、ほっぺたを赤くして読み古された本を眺めていた。
「わあ!ここ、すっごく綺麗!」
とある一頁の風景画を指差し、小さな女の子が目を輝かせる。
小さな手が指差す先には、天空に浮かぶ緑の島が描かれていた。女の子と同じ年頃の男の子は、隣の彼女が指差す絵を覗き込み
「本当だ。青くてすごく綺麗だな!」
と目を丸くした。
黄ばんでところどころ擦り切れていてもなお美しい、青く澄み渡る空に浮かぶ幻想的な天空の島に、いとけないふたりの心はすっかり囚われてしまっていた。
「いつか行ってみたいな」
男の子は美しい青をじっと見つめ、ぽつりと呟く。彼の言葉を受けて、女の子はパッと顔を上げ、男の子の方へと向き直った。
「それなら、一緒に行こうよ。」
「え?」
驚いたように目を見開く男の子に、女の子は太陽ように笑ってみせる。
「大きくなったらふたりで一緒に探しに行こう。それで、世界中を冒険しようよ!」
そう言って、女の子は男の子に手を差し伸べる。温かな炎に照らされて微笑んだ女の子に、男の子もまた嬉しそうに笑って手を差し出した。
「うん。約束だぞ!」