プロローグ
「俺を満足させる最高のギャルゲーはないのか!!!!」
4月。
皆、新たな出会いや門出に心躍る季節。
星空高校2年2組の音崎翼は新たなギャルゲーを入手するために、土曜の早朝からいつも通っている少し古びたゲーム屋に買い物に来ていた。
「やっぱ、見つからないんだろうか」
世の中そう上手くいかないもので、衝撃を覚えるほどのギャルゲーなど、なかなか見つからず困り果てている。
ま、確かに周りから言わせれば、困り果てるぐらいならその辺にあるギャルゲーを買えばいいじゃんと思うだろう。
だが!!
だが!!
そうじゃないんだよ!!
俺はギャルゲーが大好きだ、いや愛してると言ってもいい。そんな大切なものに対して、困り果てたからその辺のでとはならないわけだ。
「いや、絶対見つかるはずだ!!俺は信じて探すぞ!!」
翼は新たに決意しギャルゲー探しに戻った。
……30分後
「ん、なんだこれ?店長の忘れものか?」
翼はタイトルなし表紙イラストなしのゲームソフトを手に取り、その場で店長を呼んだ。
「店長!!忘れものですよ!!」
店長は翼の呼びかけに「今、行くから待ってろ」と返事した。
返事が返ってきてからほどなくして、店長が奥の部屋から出てきた。
「翼、どうかしたか?」
「これ、片付け忘れてますよ」
翼が先ほど見つけたタイトルと表紙なしのゲームソフトを渡すと、ヤクザのボスと間違えられそうな店長の顔が思い悩んだ表情へと変わっていった。
「おめぇもそれ見つけちまったか。それな一応売りもんなんだよ」
店長の発言に、翼は驚きの表情を隠せなかった。
「え!?それ売りもんなの!?」
「あぁ、売りもんさ。裏に出てくるキャラクターの性格が書いてあるし、中身も入ってるからな」
「ちょっと見てもいい?」
「あぁ、いいぞ。俺は会計の所にいっから、読み終わったらきてくれ」
店長はそう言うと翼にゲームソフトを渡し、会計の方に向かった。
翼は店長からソフトを受け取ると、早速裏に書いてある内容を読み始めた。
確かに店長の言う通り裏には性格だけ書いてあった。
一人目が、誰とでも仲良く出来る明るさで少し天然な女の子
二人目がヤンデレ妹キャラ全開の幼馴染
三人目がアニメとギャルゲーお宅で仕事しない女神
面白いのか面白くないのか性格だけじゃ内容まったくわからないけど、俺はこのソフトを買わなければいけない気がする。
「店長!!俺このギャルゲー買います!!」
そう大声でいい翼は会計に向かった。