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天使の国のシャイニー  作者: 悠月かな(ゆづきかな)
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虹色に輝く羽

シャイニーは、その日から琴を護り始めた。

琴は相変わらず塞ぎ込み、いつも俯いていた。

学校でもずっと俯いたままで、友達が遊びに誘っても首を左右に振るだけだった。


(琴ちゃん…前はあんなに笑っていたのに…)


シャイニーは、どうしたら琴が以前のような笑顔を見せるのか考えたが、全く思い付かなかった。


「フルル…どうしたら琴ちゃんは、笑ってくれるのかな…」


シャイニーの問い掛けに、フルルは髪の中から飛び出し考える素振りを見せたが、やはり思い付かないようで体を左右に振って見せた。


「フルルも分からないか…」


溜め息を吐きながら、ふと右手を見ると、ラフィから渡された指輪がキラリと光った。


「そうだ!ラフィ先生に相談してみよう。」


シャイニーは、指輪を口元に寄せ話しかけた。


「ラフィ先生、聞こえますか?シャイニーです。」


すると、すぐさま指輪からラフィの声が聞こえてきた。


「やぁ!シャイニー。何かあったのかい?」

「はい。実は…」


シャイニーは、琴が事故で両親を亡くし、ずっと塞ぎ込んでいる事や、琴を護り笑顔を取り戻したいと思ってはいるが、どうしたら良いか分からない事を話した。


「なるほど…シャイニーが琴ちゃんに今一番したい事はなんだい?」

「僕が、琴ちゃんに一番したい事…」


シャイニーは少し考えていたが、琴が両親との写真を見ながら言っていた事を思い出した。


『ママ、パパ…どうして琴を置いていったの?琴も一緒に連れて行って欲しかったよ…琴はひとりぼっち…』


(琴ちゃんは、ひとりぼっちなんかじゃない…)


シャイニーは、グッと拳を握り締めながら言った。


「琴ちゃんを安心させてあげたいです。それから、決してひとりぼっちじゃない事を伝えたい…」

「うん。それなら、その事を琴ちゃんに伝えてごらん。」

「え…琴ちゃんには、僕の姿は見えないし声も聞こえないんじゃ…」

「そうだね。人間には、僕達の姿は見えないし声も聞こえない。でも、ちゃんと僕達天使が存在している事をメッセージとして伝える方法はあるんだ。」

「それは、どんな方法なんですか?」

「シャイニー、その方法は自分で考えるんだ。君なら分かるはずだよ。」

「そっか…僕自身で考えないといけないんですね。」

「それも修業の一つだからね。自分で考えて行動する…それが大切だし、大きな学びになるんだ。」

「ラフィ先生、分かりました。ちょっと考えてみますね。」


シャイニーは話し終えると、どうすればメッセージを伝えられるかを考えた。


「う〜ん…どうすればいいのかな…琴ちゃんにメッセージを伝えるには……あ!そうだ!」


シャイニーは、ある方法を思い付き顔をパッと輝かせた。


「うん!まずは、この方法を試してみよう!」


シャイニーは、琴の笑顔を頭に浮かべ頷くのだった。





夜になり、シャイニーは琴が眠るベッドの枕元に立っていた。


「琴ちゃん、良く寝てる。」


シャイニーは、琴の頭を優しく撫でると額に手をかざした。

すると、琴の額から白い雲のようなモヤが現れ、少しずつ大きくなっていった。


「琴ちゃんは、どんな夢を見てるのかな?」


シャイニーがモヤを覗くと、琴が膝を抱えてうずくまっているのが見えた。


「琴ちゃん…」


琴の姿を見た瞬間、胸に痛みが走りシャイニーは思わず胸を押さえた。

そして、白いモヤの中に入ると、琴の近くに寄り声を掛けた。


「琴ちゃん。」


琴は、膝にピッタリと付けていた顔を上げ、シャイニーを見た。


「あなたは誰?」

「僕は天使のシャイニー。そして、この子が…」


シャイニーが頭に手を近づけた時、髪の中から勢いよくフルルが飛び出してきた。


「待ちきれなくて飛び出してきたこの子はフルル。音符なんだよ。」


フルルは、宙に浮きユラユラと揺れている。


「え?天使と音符?」

「うん。僕達は琴ちゃんが寂しそうだったから来たんだよ。」

「そうなんだ…でも、天使って本当にいるの?」

「うん。いるよ。だから、こうやって琴ちゃんに会いに来てるんだ。」

「そのフワフワ飛んでいる音符?は生きてるの?」

「うん。フルルは、ハープが奏でる音色から生まれたんだよ。」


フルルは、様子を伺うように琴の目の前に行くと、ペコリとお辞儀をした。


「フフッ…可愛い。フルルよろしくね。」


琴がソッと手の平を広げると、フルルは恐る恐る手の平に乗った。


「怖がらなくても大丈夫よ。フルル。」


琴が優しく撫でると、フルルは嬉しそうに琴の手にじゃれついた。


「じゃれてる…なんだか猫みたい。」


琴は笑顔でフルルを撫で続けている。


(琴ちゃんが笑ってる!)


シャイニーは、琴の笑顔を見て胸が温かくなっていった。


(やっぱり、琴ちゃんの笑顔は可愛いな〜)


シャイニーは、嬉しくなり笑顔で琴を見つめた。


「シャイニー君は、どこから来たの?」


琴はフルルを手でじゃれつかせながら、シャイニーを見た。


「シャイニーで良いよ。僕は、天使の国から来たんだ。まだ学びの最中で、ここへは修業で来たんだよ。」


「学び?修業?」

 

琴は意味が分からず首を傾げた。


「え〜と…学びは、琴ちゃんが通っている学校みたいな感じだよ、」

「へ〜天使も学校に行くんだ〜」

「琴ちゃんが通っている学校とは、ちょっと雰囲気は違うけどね。それで、僕の修業は琴ちゃんを護る事なんだよ。」

「え!シャイニーが琴を護ってくれるの?」

「うん。そうだよ。」


シャイニーが笑顔で答えると、琴は嬉しそうにニコッと笑った。


「ありがとう。シャイニー。」


(琴ちゃんをもっと笑顔にしてあげたいな…あ!そうだ!)


シャイニーは、羽を1枚抜くと琴に渡した。


「これは僕の羽だよ。光にかざすと虹色に輝くんだ。」


琴は受け取った羽を光にかざすと、キラキラと虹色に輝いた。


「わ〜!凄く綺麗…ありがとう。大切にするね。」


琴は羽をギュッと抱き締めた。


「琴ちゃん、例え僕の姿が見えなくても…声が聞こえなくても、ちゃんと側にいるからね。」

「うん。分かった。シャイニー、ありがとう。」


シャイニーとフルルがスッと姿を消すと、琴はもう一度大切そうに羽を抱き締めるのだった。




「う〜ん…」


琴はカーテンの隙間から差し込む朝日の眩しさで、目を覚ました。


(あれ?シャイニーとフルルはどこ?)


琴はキョロキョロとシャイニーの姿を探したが、どこにも見当たらなかった。


(なんだ…夢か…そうだよね。天使なんているわけないし…)


ガッカリしながらふと手を見ると、1枚の羽がシッカリと握り締められていた。


「え!羽?」


慌ててベッドから出ると、カーテンを開け羽を光にかざしてみた。

すると、羽は虹色にキラキラと輝いたのだった。


「シャイニー…本当に琴を護ってくれてるんだ…」


琴は嬉しくなり、何度も羽を光にかざした。

かざす度に羽は虹色にキラキラと輝き、その美しさに暫く見惚れていた。


「そうだ!じぃじとばぁばにも見せてあげなきゃ!」




1階のリビングでは、祖父が新聞を読み、祖母はテーブルに朝食を並べていた。


「じぃじ!ばぁば!」


琴が2人を呼びながら、ドタドタと階段を下りてくる音が聞こえてきた。

祖父母は、何事かと驚きながら階段の方に目を向けると、パジャマ姿の琴が駆け込んできた。


「琴ちゃん、朝から一体どうしたの?」

「ばぁば!琴、天使から羽を貰ったの!ほら見て。」


琴は、シッカリと握り締めた羽を祖母の前にグイッと突き出した。


「え…羽?天使?」


祖母は訳が分からず琴と羽を交互に見た。


「それで、こうやって羽を光にかざすと…虹色にキラキラ輝くの!」

「あら…本当…綺麗な羽ね〜こんな羽は見た事がないわ。どこで拾ったの?」


祖母は、虹色に輝く羽を不思議そうに見ながら琴に聞いた。


「あのね、天使の夢を見たの。名前はシャイニーって言うの。そのシャイニーが羽をくれたの!」


琴の頬は喜びでピンク色に染まっている。


「夢の中で?その…シャイニーとかいう天使が羽をくれたの?」


琴はウンウンと頷いた。


「琴ちゃん、大丈夫?熱でもあるんじゃない?」


祖母は心配そうに、琴の額に手を当てた。


「熱なんてないよ。じぃじも見て!はい!」


琴はクルリと向きを変えると、新聞を広げたままボカンと口を開けている祖父に羽を突き出した。


「あ、ああ…確かに羽だね〜」

「もう!じぃじったら、ちゃんと見て!ほら!」


琴が羽を握らせると、祖父は光にかざしてみた。

すると、羽は虹色にキラキラと輝きだした。


「いや〜これはまた…随分と綺麗な羽だな〜」

「そうでしょ〜琴の宝物にするんだ。」

「でも…琴ちゃん、天使なんていないでしょ…」


祖母はオロオロしながら、琴の体をペタペタと触っている。


「体調が悪いんじゃないの?それともどこか痛い所でもあるんじゃない?」

「もう!琴は元気だって。」


シャイニーは、3人の側でこのやり取りを見ていた。


「やっぱり、天使はいないと思われてるんだ…どうしたら信じてくれるかな…」


シャイニーは少し考えると天井まで舞い上がり、羽を1枚抜くとテーブルに落ちるように手を離した。


「あ!見て!」


琴が天井を指差すと、羽がヒラヒラと舞いながら、3人が囲むテーブルに落ちた。

琴がすぐさま羽を取り、光にかざすと虹色に輝いた。


「やっぱり、シャイニーの羽だ!」


祖父母は顔を見合わせ、琴の手の中で輝く羽を見た。


「あら…まぁ…不思議な事があるものね…」

「まぁ…琴ちゃんが喜んでいるから良いんじゃないか…」

「そうね…あ!もうこんな時間。琴ちゃん、着替えてきなさい。学校に遅れるわよ。」

「は〜い。」


琴は2枚の羽を嬉しそうに眺めながら、2階に上がっていった。


「じぃじ…琴ちゃんの笑顔、久し振りに見たわ…でも天使なんて言って…心配だわ。」

「う〜ん…天使ねぇ。そもそも天使なんて聖書や物語の中だけのものだよな。」


シャイニーは、2人のやり取りをジッと見ていた。


「なかなか天使の事を理解してもらうのは難しいな…どうしたら理解してもらえるのかな…」


シャイニーは、ソッと溜め息を吐いたのだった。



お読み下さりありがとうございます。


ご感想やレビューなど頂けると嬉しいです。


長編小説となりますが、よろしくお願いします。

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