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天使の国のシャイニー  作者: 悠月かな(ゆづきかな)
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双子の天使と第2の学び

「お前達、何やってるんだよ。シャイニーが嫌がってるだろ!」


フレームは、双子をシャイニーから引き剥がすとラフィを見た。


「ラフィ先生も、どうしてシャイニーを助けないんだよ!」

「ごめん、ごめん。本当は助けるつもりだったけど、見ていたらおかしくなってきちゃって…」


ラフィは、笑いを抑え呼吸を整えた。


「それに、フレームが必ず助けに来ると分かっていたしね。」

「全く…ラフィ先生にはかなわねぇ…」


フレームは、照れ臭そうにポリポリと頭を掻いた。


「あはは、これでも僕は教師だからね。君達よりは一枚上手だよ。」


ラフィは、フレームの頭を優しく撫でるとスッと表情を引き締めた。


「さて…本題に入ろう。ストラ、マトラ、ここに来なさい。」

「はい…」


ストラとマトラが、バツが悪そうにラフィの前に並んだ。


「君達が呼び寄せたドラゴンは、グリーンドラゴンの子供だった。とても大人しい草食のドラゴンだ。会いたいからといって勝手に呼び寄せてはいけない。母親と引き離され、見知らぬ場所に連れて来られて心細かったはずだ。君達は母親と言う存在は知らないと思うけど、母親が愛情を注ぎ子供を育てている生き物はたくさんいるんだ。ドラゴンの母親も泣きながら子供を探していた。好奇心は大切にしてもらいたいけど、身勝手な行動はいけないよ。」


ラフィの口調は優しさの中に厳しさがあった。


「それから、ドラゴンを呼び寄せたのはストラだけど…さっきは、マトラが部屋を迷路にしていたね。その迷路から2人とも出られなくなって、僕を呼んだよね」

「はい…」


ストラとマトラは、うなだれながら返事をした。


「いいかい。僕は君達に快適な部屋を作るように言ったんだ。君達の作った部屋は快適とは言えないよ。この部屋で生活出来るように作るんだ。分かったね。」

「はい…分かりました。」


2人は、反省し最初から部屋づくりを始めた。


「それから、シャイニー…良く頑張ったね。ドラゴンを元の世界に戻す事は、なかなか難しいんだ。まずドラゴンが心を開かないと返すことはできない。君は簡単に心を開かせていたけど…実は、とても難しい事なんだ。」


ラフィは、ニッコリ笑って言った。


「そして、フレーム。君は、優しい子だね。心の中にある炎が君の優しさの証でもあるんだ。暖かい炎を心に宿している事は、とても素晴らしい事だよ。でも、心の炎のバランスを取る事は難しいんだ。僕は、フレームならバランスを取れると思っているよ。」


「そうか?俺もまんざらでもないって事か…」


フレームは、ニカッと笑い頭を書いた。

そんなフレームを見てラフィは穏やかに笑っている。


「ラフィ先生、部屋が出来上がりました。」


ストラがおずおずとラフィに報告をしてきた。


「おや、ずいぶん早かったね。部屋は1部屋にしたんだ。うん。シンプルだけど過ごしやすそうな部屋だ。」


2人の部屋は木目を基調にしており、大きな特徴はないが安らぎを感じる温かな部屋だった。

ストラとマトラはラフィの言葉にホッとし、お互い顔を見合わせると笑顔になった。


「僕達もやれば出来るのさ。」

「そうよね。ストラ。」


2人はラフィに褒められ気を良くし胸を張った。


「まったく、調子いいぜ。」


フレームが半分呆れた顔で言うと、ストラとマトラは肩をすくめおどけた表情をした。


「あはは。これで全員が部屋を作り終えたみたいだ。次はサビィの部屋に移動するよ。」

「え!サビィ様の部屋ですか?」

「サビィ様の部屋で何をするんだ?」

「キャー!サビィ様の部屋に行けるなんて素敵過ぎる…」

「サビィ様の部屋…何だか面白い物がたくさんあったような…」


4人の子供達は、思い思いに話し様々な反応をしている。


「君達は本当に面白いね。それぞれ、全く違う反応をしているよ。サビィの部屋で何が行われるかは、行ってからのお楽しみだよ。さぁ、手を繋ぐよ。」


ラフィが、両手を差し出し促す。

全員が手を繋ぎ円になるとラフィは頷いた。


「では、サビィの部屋に向かうよ。意識をサビィの部屋へ向けて」


4人が目を瞑り、サビィの部屋に意識を向けた瞬間、ラフィと4人の子供達はフッと消えた。


「さぁ、もう目を開けてもいいよ。」


4人が目を開けると、サビィの部屋の前だった。

とても大きな扉には8枚の翼が描かれている。


「サビィ様の部屋…嬉しいけど緊張するわ…」

「うん…僕達は天使長であるサビィ様には滅多に会えないからね。」


ストラとマトラがコソコソ話していると、ラフィが2人をからかうように言った。


「おや?さっき、あんなに大胆な事をしたのに尻込みしてどうしたんだい?」

「サビィ様の部屋は、やっぱり緊張します…」

「マトラ、君はサビィの部屋に行く事を喜んでいたよね?」

「はい!とても嬉しいです!サビィ様は美しくて気品があるし、優しいし…素晴らしい力をお持ちだし…それから…教養もあるし…とにかく素敵…」


マトラはフーッと溜め息をつきウットリした。


「私をそれほどまで褒めてくれるとは、嬉しい限りだ。」


ウットリするマトラの後方から優雅な声が聞こえてきた。

マトラはビクッと肩を震わせ、恐る恐る振り返ると視線の先に美しく微笑むサビィの姿があった。


「サ、サビィ様!」


マトラは、サビィの姿を目にするやいなや、慌ててラフィの後ろに隠れた。


「どうしたんだい?マトラ?」


ラフィが振り返り覗き込むと、マトラは両手で顔を隠していた。


「は、恥ずかしい…」


マトラは耳まで真っ赤にし、蚊の鳴くような小さな声で答えた。


「マトラ、驚かせて悪かった。ラフィと君達がなかなか入って来ないから気になってね。気を悪くしないでくれないか。」


サビィは、白く美しい手でマトラの頭を優しく撫でた。


「気を悪くなんて…していません。大丈夫です…い、今…サ、サビィ様が私の頭を…頭を撫でた…そ、そんな勿体ない…」


マトラは、動転しながら答えると突然スーッと倒れた。

慌ててラフィが抱き止めると気を失っていた。


「マトラは、とてつもなく驚くと気を失うんです。滅多にこうなる事はないけど…驚きが自分の許容範囲を超えると、スイッチが切れたかのように倒れるんです。」


ストラの説明にシャイニーは驚いた。


「え!ストラがドラゴンを呼び寄せたときは大丈夫だったのに?」

「うん。あの時は全く平気だったよ。僕はマトラに凄く怒られたけどね。」

「なるほど…サビィの登場は、ドラゴン以上の驚きだったのか…」


ラフィは、目を覚さないマトラを見ながら呟いた。


「ラフィ…それは、どのような意味だ。」


サビィはラフィを軽く睨んだ。


「いやぁ…サビィ、それは言葉のままだよ。」


ラフィは、サビィの反応を楽しんでいるかのようにニコニコしている。


「ラフィ!」


サビィが再び睨むと、ラフィは楽しくて仕方がないというように笑いながら謝った。


「あはは、ごめん、ごめん。」

「全く君は、久し振りに神殿に姿を見せたと思ったら…君は相変わらず変わらないな…」


ラフィはフッと笑うと、その瞳に一瞬悲しみを宿し俯いた。


「僕は変わらないよ。今も…これからもね。サビィ、中に入ってもいいかい?マトラを寝かせてあげたいんだ。」

「もちろんだ。他の子供達は、すでに集まっている。マトラは、私のソファに寝かせるといい。」

「それじゃ、みんなサビィの部屋に入ろう。」


ラフィは、マトラを抱き上げサビィの部屋へと入っていった。


(ラフィ先生は、本当に不思議な天使だな…あのサビィ様をからかうなんて…でも、また一瞬悲しそうな表情になっていた…前に見た表情と一緒だ…)


シャイニーが考え込んでいると、フレームの声が聞こえてきた。


「シャイニー、何ボーッとしてるんだ?行くぞ!」

「フレーム、ごめん。今行くよ。」


シャイニーは、慌てて部屋の中に入った。


「あれ?サビィ様の部屋が殺風景になっている。それに、前より広くなっているような…。」


シャイニーは、以前来た時と様子が変わっているサビィの部屋をキョロキョロと見渡した。

部屋には子供達全員が集まり楽しそうに談笑していた。

そして、部屋の隅にはソファに寝かされたマトラがいる。


「ねぇ、フレーム…サビィ様の部屋だけど様子がだいぶ変わっているよね?」

「あぁ、シャイニー。殺風景だし部屋も広くなってる。」


2人が首を傾げながら話していると、サビィの澄んだ声が響き渡った。


「私の部屋へようこそ。君達は、いよいよ天使としての学びが本日から始まった。まずは部屋づくりを学んだようだね。ちょっとしたトラブルもあったようだが、スムーズに終了したとラフィから聞いている。」


トラブルと聞いてストラが軽く肩をすくめ、シャイニーとフレームを見た。


「さて、私の部屋に集まってもらった理由だが、これから第二の学びを行う事とする。」


サビィの言葉を聞き、子供達はざわめき始めた。


(第二の学び…一体何をするのかな?僕に出来る事だといいけど…サビィ様も見てるから緊張する…)


シャイニーは不安を感じながら、ふとフレームを見た。


「よし!第二の学びか!何だかワクワクするぜ。」


フレームは楽しみで仕方がないといった様子で、前のめりになって、サビィの次の言葉を今か今かと待っていた。

その様子がおかしくて、シャイニーはたまらず吹き出した。


「ん?シャイニー、何がおかしいんだ?」

「だって、フレーム…その格好、今にも走り出しそうだよ。」

「そうか?楽しみで、ついついこんなポーズになったよ。」

「あはは。フレームらしいや。僕は、ちょっと不安だな…」

「何が不安なんだ?さっきは、あんな見事な部屋を作ったし、ドラゴンだって帰したじゃないか。ブランカ城に来てからのシャイニーの成長は凄いぜ。前は、俺の後ろからチョコチョコついて来てたのに、今は俺の前を歩いている気がするよ。だから大丈夫だ。楽しみながら頑張った方がいいぜ。」


フレームは、シャイニーの頭をクシャクシャと撫でた。


「うん!ありがとう。元気が出たよ。」


フレームの励ましに心が軽くなったシャイニーは、前方にいるサビィ達を見た。

サビィの右隣にはライルとマロンが立ち、左隣にはラフィが立っている。

シャイニーの視線に気付いたラフィが、ニッコリ笑いウィンクをした。


「では、第二の学びだが…今からこの部屋でパーティーをとり行う。私の愛用している家具は、別の部屋に移動させた。だが、パーティーを行うにしては、この部屋はあまりにも殺風景だ。この部屋をパーティー会場らしく飾り付けて欲しい。どのような会場にするかは君達の自由だ。ここにいる全員が楽しめるような会場にする事が私からの課題だ。くれぐれもドラゴンを呼び寄せたり、迷路にする事だけは避けるように。」

「キャー!サビィ様が迷路の事を知ってる!恥ずかしい…」


いつの間にかマトラが起き出してきて顔を真っ赤にしていた。


「うんうん。ドラゴンも迷路も強烈なだからな。」


フレームが腕を組み頷いている。


「それから、ユニコーンを50頭作る事も控えるように。」


サビィは、そう付け加えるとフレームを見てニヤッと笑った。


「チェッ!そんな事言われたら作れないよな。」


「え!フレーム、また何か作るつもりだったの?」


シャイニーが驚いてフレームを見た。


「ああ、ユニコーンがダメならペガサス…」

「ペガサスでも一緒だから…」

「えへへ。」


シャイニーがたしなめると、フレームはバツが悪そうに笑った。


「フレームだって、僕達と変わらないじゃないか。ね!マトラ。」

「そうよ!ユニコーン50頭なんて大事件だったじゃない、」

「でも、ペガサス50頭は僕も見たいな…」

「たよな!ストラ。何ならちょっとだけ作ろうか?」

「うん、フレーム…ちょっとだけなら…」

「ストラ!」

「フレーム!」

「あはは…冗談だよ。な!ストラ!」

「そ、そうだよ。な!フレーム。」


シャイニーとマトラに咎められたフレームとストラは、頭を掻きながら笑った。


「やぁ!君達、楽しそうだね。何を話しているんだい?マトラは目が覚めたんだね。良かったよ。」


ラフィがニコニコしながら、4人の所にやって来た。


「それで…盛り上がってるところ悪いんだけど…他の子達は、会場作り始めてるよ。」

「本当だ!ラフィ先生、気付かなくてごめんなさい。」


シャイニーがペコッと頭を下げた。


「さぁ、会場を作っておいで。楽しみながら作るんだよ。」


ラフィは笑顔で4人に軽く手を振った。


「よし!みんな会場作ろうぜ!」


フレームの掛け声で4人は、すでに会場作りを始めている子供達に合流した。

ラフィは、その様子を優しい笑顔で見守るのだった。



お読み下さりありがとうございます。


ご感想やレビューなど頂けると嬉しいです。


長編小説となりますが、よろしくお願いします。

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