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輪廻の外より生まれし者よ  作者: ベネト
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始まりの記憶

僕が最初にみたのは視界いっぱいに広がっている冷たい悪意の空気や見ただけで身体が固まり身震いする事しか出来なくなる程の負の感情を周りに放っている黒いモヤを纏っている人型の何か。



そして僕は微睡んでいた意識が徐々にはっきりとしてきていると共に恐怖の感情が襲って来ていた。



「っ!」


僕はとっさに口を両手で塞いだ。そうしないと声が出て、僕がいる事が知られてしまうと考えなくてもわかったから。だから僕はバレていない内に少しでも早く遠くへ行きたいという感情に流される様に後ろを向いた。


「バァ」

「ひっ!」



振り向いた先には目が痛くなる程カラフルな服と奇怪な形の帽子にくつ。その中でも特に目に付いたのは本来なら顔が見えるはずの所には左目に星、右目には涙を表すデザインの笑っている仮面がついていた。

その仮面を見た瞬間、僕は思わず声を出してしまっていた。


「キャハハハハハハハハハハハハハっ!!!」

「っ!…っんぐ、いやだ、来ないでぇ!」



僕の思わずあげてしまった声を聞いたからなのか聞いているだけで気が狂ってしまいそうな狂笑をあげていた。両手で痛くて堪らない胸を押さえ僕は気づかず泣いていた。またその姿が面白かったのかさらに仮面の口角を上げて笑っていた。



「っ!ひっ!なにがっ…あっ……かっ…!」

「…………」



すると、突然背後から首を絞められていた。驚いて掴まれている為思うように動かせる事が出来ない中。

なんとか後ろを見ると最初に見た人型のモヤが僕の眼を覗いていた。



顔には眼の部分しかなく、それさえも眼の役割を果たしているのか疑わしい空虚な穴がポッカリ空いているだけだった。




しかし、相手を観察している余裕は徐々にだが無くなっていた。最初は苦しいが抵抗出来るぐらいだったが今では必死にもがいていないと苦しくて怖いのを我慢出来ない程の力で首を締め上げられていた。



「……や……めで……はな…じで…」

「……………………」



もう抵抗する気力も沸かず眼も霞み、あれだけ狂笑していた仮面が居なくなっている事にも気づかないなか、覚束ない言葉でただ懇願し続けたが、聞き入れられる様子もなく僕の中で何かが壊れようとした時。モヤの手がいきなり離れた。地面に投げ出され這いつくばりながら肺が破れてしまう程の冷たい空気を吸い、咳をしながらもなんとか落ち着いた。




後ろを見てみると人型のモヤがその指先についた透明な液体をその空虚な眼で呆然と見ていたが、こちらを向き、何かを求める様に手を伸ばしてきた。僕はまだ力が入らない身体で逃げようとしたが足が地面に縫い付けられたかの様に動かず、モヤの手が僕の首に触れかけ、身体がバラバラになっている様な感覚に陥り、諦めようとしたその時。



「………………っ…………!?」

「どけええぇぇぇぇぇぇ!!!!」



突然、モヤの頭から縦まで白い光が一瞬見えたかと思った途端。今度は首が跳ね飛ばされその衝撃でなのか

モヤが頭と体でそれぞれ半分に切られ吹き飛ばされていた。



モヤが目の前から消えその先を見ると、そこには黒く艶やかな輝くような髪を一つに束ね格好は青を基調にしたスカートの丈を短くしたお姫様のドレスに鎧を肩と手、腰や足に付けたのを着た美しく凛々しい雰囲気も相まって、このまま何年かすれば誰をも魅了する美少女が剣を鞘に納めすぐ目の前に立ち、気づけば抱き抱えられていた。




「っ!」

「すまない!だが時間が無いんだ!」



違う、僕は怯えて、怖くて泣いているんじゃない。

ただ彼女の腕の中がとても安心しているずなのに、

彼女に包まれていると思うだけで嬉しいはずなのに、

何故なのかあれだけ流し、もう出なくなった涙が止めどなく流れ。涙のせいでボヤける視界の中、僕は少女が焦った様子で僕に向かって何事か叫んでいるのを疑問に思いながら薄れゆく意識の中、気を失った。





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