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70:エンカウントⅡ

いつも誤字報告ありがとうございます。

それと、第一章九話の一部内容を修正させてもらいました。



「ギルファー!ギン!修行行くぞ」



『貴様は本当に飽きないな』



「それでこそ師匠じゃ。お供させてもらうのじゃ」



レイレイとの夜空の海岸デートが終わったあと、一旦ログアウトしてやること済ませてから再びログイン。



時刻はちょうど昼過ぎだろうか。ギンも今日の修行は無事に終わったようでちょうど寝ていた宿に戻ってきていた。風呂にでも入っていたのか肌はツヤツヤしている。



支度を済ませ、いつもアイテムを買い込んでいるギルドへと向かう。街のあちこちには修行終わりのプレイヤーと思われる時代人がおり、みんな露店で買い物をしたり涼んでいる。



皆ギンを見ると一礼したり手を振るなど、なかなか好感度の高いことをしていた。ギンだけじゃなく、俺に対しても同じようなことをしてくる人もいるものだから少し驚いた。



フレンド登録をしようと近寄ってきた人もいた。断る理由もなかったので了承すると大物俳優にでもあったかのような反応をされたのでちょっとひいた。



それを皮切りに次々と希望者が出てきたので流石に判断を間違えたと反省した。めんどくさくなったので自動承認をONにするとわずか数十秒で200人弱のフレンドが一気に増えたのは予想もしなかったよ。



俺ほとんど面識ないから名前覚えれる自信ないと言ったのだが『記念に!!』と押し切られたのでまぁいいかと思う。



流石に全員には伝えきれなかったのでフレンドメールの一斉送信機能で同じような文面を送ったのだか皆返答は同じだった。



そんな有名人になったつもりはないんだけどなぁ。



でも助かった。フレンド機能までエクストラ仕様にされてたら、流石に泣く自信ある。同じ文面何度も書きたくなかったし。



そんなこともあり宿からギルドにつくまでにかかった時間は30分。通常の10倍以上かかってしまった訳だ。人への対応も少し考えないとマズイな。



「おぉ!爆発剣聖の人!!」



「あんた名前覚えてくれないよね」



売店カウンターで対応してくれるのは、もはやオレ専属となったギルド員もといここのギルドマスターであるカーム。俺が来るやいなや元々いた人と代わり俺の対応を始めるのだ。



特別扱いしないで欲しいと言ったのだが、嫌だと断られた。解せぬ。



「今日はアイテムの購入ですか?それとも売却ですか?それとも爆発してくれるんですか?」



もはや爆発が言葉に入るのは伝統美と化している。その辺はもう諦めた。嫌悪されてないなら別にいいかと思うし。



「購入で。HPポーションとブドウをこれに買えるだけ頼むよ。お代はこれで」



「はいはいっと・・・・・内容はポーション多めの方がいいですか?」



「今日はブドウ多めで頼む」



「分かりました!では少々お待ちください!」



『おい人間。我も売りたいものがある。対応せよ』



「了解しました!少し待ってくださいね!」



カームは商品を取りに裏へと向かう。



「ギルファーお前今度は何狩ってきたんだ?」



『羽根虫の羽根を持つ蜥蜴だ。最近騒いでいたから始末してきた。実力差もわからん奴ほど楽な相手はいない』



背中から毛の腕を生やし、器用にリュックから取り出したのは、明らかに龍の鱗と思われる真っ黒な鱗。それもいくつもある。大きさも手を広げたよりもあり、相手の大きさがデカいのだとわかる。



「ギン。これなんの鱗かわかるか?」



「おそらくデビルドラゴンの物であろう。鱗の模様が以前見たものに似ておるし間違いないじゃろうな」



デビルドラゴンとはまた何とも物騒な名前だこと。今の俺じゃどう頑張っても相手にされないレベルの相手だということはわかる。そんな怪物ポンポン狩ってこないで欲しい。



『なんだ?欲しいのか?くれてやらん事もないぞ?』



「いらねーよ。そう言うアイテムは自分で集めたい派なんだよ」



『そうか。こやつの肉は焼いて食えばなかなか美味いと聞いたことがあったのだが、いらんなら我が全て食おう』



「ちょっと待て。食物なら話は別だ」



「師匠・・・・・」



許せギン。こんな師匠で悪かった。だが美味いもの罪はない。そしてそれを食うためなら多少のプライドは汚れたって構わないんだ。食い意地があって結構。美味いモノの前には無力なんだ。



「折れることも時には重要じゃよ」



ギンっ・・・!!!お前・・・・・!!



「っ!!ギン!!」



「目の前に美食があるのに食わぬは恥じゃ!そうであろう?」



「流石俺の弟子!!」



がっしりと固い握手を交わす俺たち。アホ犬の呆れた視線があった気がするがその辺は無視!



「お待たせしました・・・・ってあれ?どうしました爆裂剣の人」



「何でもないよ。美味いものには弱くなるって話だ」



「???」



ギンとの師弟の絆をこんな形で確認した俺たちはその後いつもの岩場へと向かい出発した。















「「「「「「「「「「ギギィィイイイ!!!!」」」」」」」」」」



「超越流派抜刀術『天津雀』」



「天匠流抜刀術『都燕』」



『フン!!』



修行の岩場へと向かう道中。岩場の影から突然現れた無数のゴブリンたちによってその行く手を阻まれた。



いきなりこの辺りでは見かけなかったゴブリンを見たので少し驚いたが、強さは今までと変わらない。天津雀の修行も兼ねながらひたすらに切り裂いている。



しかし、ゴブリンが出たこともそうだが、一度にこんな数を相手にするのは、イベント開始前のゴブリン掃討戦以来だ。



そう言えばイベント開始の際、ゴブリンの侵略は一時的に止まったとアナウンスでは言っていたが、確かにどれだけ止まっているかは言っていなかったから、イベントが進行したと見て間違いなさそうだ。



「チィ!!流石に数が多いの!!面倒じゃ!!」



『根を上げたか狐。その程度か?』



「抜かせ犬!貴様こそその程度か!」



既に戦闘開始から10分以上経過している。数は全然減っている気がしない。無限湧きは流石にないだろうけど、このままではキリがない。



「ギン!ギルファー!!ちょい突っ込むけど気にせず戦え!!」



少し恐怖心植え付けて逃亡させるか、動きを鈍くしてもう少しやりやすくしてみようか。



『言われなくてもそうする』



「了解した!」



剣を収め、右手には最近ちょくちょく使っている『恨血木の破斧』、左手にはレイレイから借りたままの『投刀・抛』を構える。



敵の数が多いのでこの状況を少々利用させてもらう。



「超越桜華戦流演舞『鋼牙』」



イメージするのはギルファーの姿。己を獣へ、武器は牙・そして爪である。俺はこれから人ではなく獣に変わりすべてを蹂躙する。



己の敵を容赦なく切り裂き喰らい尽くす一匹の獣だ。姿勢を落とし、再び寄ってくるゴブリンの集団へと飛び込む。



「ガァアアアアアア!!!!!!!」



咆哮を上げゴブリン達との距離を詰める。驚くゴブリン達が焦り弓や魔法で迎撃しようとするがもう遅い。



右の斧が前衛のゴブリン達の首を撥ね、左手から投擲した抛が魔法を使おうとしたゴブリンの首に突き刺さる。



武器を一つ失ったと見たゴブリン達が空いた左から攻撃を繰り出そうと迫って来るが抛の特性上新しい物が手元に現れる。



そして抛は自分が望めばその数は10にも20にも手元で増える。迫り来るゴブリン達へと増えた抛を投げつけその喉を突き刺す。



運良くキャッチして難を逃れたとしても、刀の毒がゴブリンを苦しめ死に追いやる。



左がダメなら右からと身軽そうな装備をしたゴブリン達が、自慢そうな速度を持って襲いかかる。



それは”視えていた”。斧を再び持ち上げてなぎ払い近くの敵を一掃、少し距離のあるゴブリンには先程と同じように抛を投擲してその命を奪う。



「オオオオオオオオオ!!!!!!」



あとは同じ事の繰り返しだ。斧で敵を切り裂き、抛で命を奪う。



時には斧をブーメランのように投げて道を切り開き、両手に持った抛で敵を切り裂きながら走り抜けていく。



右へ左へと駆け抜けて、前に後ろに動き回り、咆哮と共に敵陣へ穴を空けていく。



俺はここにいるぞと伝えながらゴブリン達へ恐怖を植え込み、逃げるしかない暴力を見せつけながらも、戦わなければ死ぬと強く意識させて逃がさない。



己を強く意識させる『桜華戦蘭流』奥義『我ガ武ハ守ルベキ者ノ為ニ』、



己に対する恐怖を駆り立てるギルファーを彷彿とさせる動きを見せる殲滅流の奥義『再演』



逃げたいが逃げられない。だが逃げなければ死ぬ。しかしここで逃げてはいけない。



相反する二つの感情を植えつけられたゴブリン達の末路はひとつしかない。













『終わったな』



戦闘開始から30分程度だろうか。襲いかかるゴブリンは全て討伐し、あたりに残るのは光となって消えていくゴブリン達の亡骸だけだ。



数は数えていないがこのあと流れるアナウンスが数を伝えてくれるだろう。



「師匠、もしや今のが天匠流に並ぶ流派『桜華戦流』なのかの?突撃してから子鬼共の動きが変わったのじゃ。妾たちには見向きもせず一心不乱に師匠のみを見ておった」



「流石に知っているか。そうだ。あれが天匠流と月光流に続くもうひとつの流派、桜華戦流の流派『桜華戦蘭流』だ。使ったのは久しぶりだったけどな」



本来、一騎当千を前提に組み立てられている流派が『桜華戦流』。以前使った『桜華殲滅流』は暗殺や同士打ちを主体として組み立てている。対して『桜華戦蘭流』は自軍の一武将として戦場で注目を浴び、敵を惹きつける、味方を鼓舞する戦いを魅せることを主としている。



今回はその二つの特徴を合わせた『超越桜華戦流』。


戦いを組み立て、その後の戦況を予測し、自分が望む結果を掴み取る。今回は敵陣、つまりゴブリン達のかく乱を狙って戦ったわけだ。



魅せることで相手に恐怖心を植え付けて惑わせる。恐怖の存在となる奴のイメージと、実際の動きをリンクさせないとそれっぽく見せられないから結構大変である。特に人外に似せるのは大変だ。



参考映像があるなら見直して覚えればなんとかなるが、流石に龍とかファンタジー特有のモンスターに似せるのは骨が折れた。何時間戦ったか覚えてない。



流石にその頃は月光流と天匠流使えるようになってたから死ぬことはなかったけど、動きの研究は大変なんだと身を持って知ったのである。



因みに一番大変だったのはギルファーの動きを真似ることである。コイツだけはマジで年単位で掛かるのを覚悟したくらいだし。



「すごいのじゃ・・・流石伝説の五代目じゃな!」



「よせって、照れるじゃないか」



『我を真似るとは解っているではないか』



「一番こういう戦いに向いてるのはお前だしな。さてと。そろそろ出てこいや」



さて、”雑魚”は片付いた。あとは大将首を取るだけだ。



ずっと気配を消しているがなんとなくわかる。間違いなく何かいる。それが侍なのかどうなのかは分からないがゴブリンがいないはずのこの場所に大量発生したのはそれが理由で間違いない。



声を上げてからしばらくして、ようやく出てくる決心がついたのか、はたまた何か仕掛けをしたのかは分からないが、そいつは俺たちの目の前に現れた。



紫色の忍者装束に身を包んだ一匹のゴブリン。他のゴブリンとは全く違う風格。間違いない。コイツが残り6体のゴブリンのうちの一匹だ。



『侍めが言っていたのは貴様だな』



「へぇ、随分流暢に話すじゃないか」



『我はゴブリン七将が一角、名を忍者ゴブリン。お相手願おうか』



忍者ゴブリン。そのままだな。だけど相手としては油断できない。七将の一角だ。侍があれだけ強かったのだ。こいつも同等の強さがあっても不思議じゃない。



「一応聞くが、ゴブリン共を大人しくさせて人と共生するつもりはあるのか?」



『否、我らは我らの悲願のために戦う。人と馴れ合うつもりはない』



「そうか・・・・なら斬られても文句はないな?」



『然り、ただしその頃には貴様は息絶えているだろうがな』



「どっかで似たようなセリフ聞いたことあるぞおいっ『ヴェルバランス』!!」



イベントボス。忍者ゴブリンとの戦闘の幕が切って落とされた。




ゴブリン七将が一人『忍者ゴブリン』登場。

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