表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/419

57:狐の返答




「とんでもない人じゃないですか!?」



「だからそう言っておろうに・・・」



お師匠から話を聞いて途端に驚く刀気。



「ならお師匠のそのまたお師匠みたいなものですね!!」



「・・・・何?」



ちょっと待ってそれどうゆう事?いやなんとなく察してはいたけど。



「そうとも言えるの。妾が使うのは天匠流じゃからの」



当たりなのね。ってことはこのギンが俺たち探してた天匠流の継承者?



「あまりこう名乗るのは好きではないのじゃがの。伝説の5代目継承者となれば話は別じゃ。天匠流14代目継承者のギンじゃ。今はもう他の者にその座を譲りこうしてのんびりしておるのじゃ」



「まさかこんなにあっさり見つかるとは・・・・」



占いの的中率半端ないな。今後もヒントなしで困ったら占いに頼ろう。俺は14代目継承者であるギンに今に至るまでの話とこれからの事について話した。



ゴブリンが侵略を開始したこと。彼らの頭であるゴブリンがいること。



そしてこの戦いのカギを握るのが天匠流であること。



その為に、多くの時代人に天匠流を教えることができる人物を探していること。



「凄いことになってるんですね・・・・・ならお師匠!!」



刀気殿は話を聞いてかなり前向きな様子だ。尻尾があればブンブン振り回していること間違いないだろう。だが対するギンは申し訳なさそうに口を開いた。



「なるほど。剣聖殿の言いたいことは良くわかった。じゃがすまぬ。妾は表舞台から身を引いたのじゃ。それに人族でもモンスターでもない半端者じゃ。悪いが他をあたってくれるかの」



「えぇ!?そんな!?お師匠のスゴさを皆に広められるのに!?」



師匠の反応に弟子は何故だと食いつく。だが師匠の口からそれ以上のことが発せられる事はなく、俺の返答を待っているようだった。



「・・・・わかった。すまなかったな」



「随分とあっさり退くのじゃな」



「誰にだって事情はある。それを無理強いして頼むつもりは俺にはないよ」



それにこういう時に無理強いするのを俺は好まない。そして彼女から伝わるこれ以上は関わらないでくれという表情を見たらこれ以上なにか話をするのは難しいだろう。



「すまぬな」



首を横に振り、立ち上がる。彼女が駄目だと言うならまた別の継承者を探す他ない。ギルファーに合図すると同じように立ち上がり家を出る。



「もし気が向けばまた来るがよい。今度は茶請けを用意しておこう」



「ありがとう。なら俺も今度はお土産のひとつくらい用意してくるよ。すまん刀気殿、帰り道を教えてくれるか?」



「はい、こちらです!」



ギン殿へ会釈し、俺は刀気殿に教えてもらい先ほどの海岸の物置小屋へと戻ることができた。



「ありがとうな刀気殿。助かったよ」



「いえ!お気になさらずに!私もアール殿のお力になれず申し訳ない!!」



綺麗に90度曲がった礼を見て思わずにやけてしまう。



「いいよいいよ。ギン殿にも事情はある。知り合えただけでも大きな前進だ」



「アール殿は前向きなのですね!!見習わねばなりません!!」



「刀気殿も修行頑張れよ天匠流の習得は大変だぞ?」



主に抜刀と納刀の繰り返しの修行。適当にやってもダメなのでかなりの集中力を必要とするのだ。簡単に習得できるなら苦労はしない。



「はい!!」



やる気十分の返事を聞いて俺たちは街までの道を歩き始めた。しかし相変わらずこの道歩きにくい。















『随分とあっさり引いたなアール』



街に向かう道中、迫ってくるモンスターの相手をしながら、静かだったギルファーが口を開いた。



「言ったろ。事情がそれぞれあるんだよ」



伸びてくるウツボを輪切りにして本体であるカニまでの距離を詰め真っ二つに切り裂く。剣をそのまま横薙ぎに振るい迫っていたヒトデともう一匹のウツボガニを切り裂く。



「しつこく頼めばもしかしたらがあったかもしれないけどな。でもその行為は俺の流儀に反するから却下だ」



嫌なものは嫌だ。それを無理強いしてまでやって貰うのが俺は嫌いだ。やらなければならないことはあるかもしれないが、今回のことに関してはそうではない。



アナウンスでは世界各地に現れたと言っていたし探せば他の継承者や師範代、更にうまくいけば道場的なものがあるかもしれない。なら今焦って彼女にお願いするのは違うと判断したまでだ。



『そうか・・・・納得しているのならばそれで良い。ほら見ろ。なかなかの大物が出てきたぞ?』



砂の中から飛び出す巨体。大きな鋏と硬そうな甲羅。表面は岩にも見える外郭で覆われた巨大なカニ。



「本当だ。そう言えばこいつとまともに戦いになるの初めてじゃないか?」



ガンドロックキャンサー。通算三回目の遭遇で初めてまともな戦いをすることになりそうだ。



『雑魚は我が喰らう。貴様は大物とやり合うが良い』



ガンドロックキャンサーの登場と同じくしてヤドカリやらウツボガニやらが次々と現れる。そちらはギルファーが相手をしてくれるそうなので任せよう。



「んじゃま、ご相手願おうか?イワガニさん」




―――――レイドモンスター『ガンドロックキャンサー』との戦闘を開始します。

―――――参加者1/8

―――――従者1/4









「『星読み』開始。我に集え。『誓い』と『祈り』を胸に戦場を駆ける」



星読みと魔闘士の誇りを発動し能力を強化、今回は赤と青だったので攻撃力と防御力に補正が掛かるようだ。なら効果が発動中に連続攻撃叩き込むとしましょうかね。



「天匠流抜刀術『鏡雀』」



まず狙うのは巨大な爪と腕の付け根。こいつの攻撃部位を削り取ってやる。抜いた剣は関節部分にまっすぐと向かい、大きく振り上げられていた腕の関節を切り裂く。



だが思った以上に関節が固く、切ることは出来たものの切断するまではいかなかったようだ。



『ギィィィィ』



ダメージを受けた方とは反対側のハサミを横薙ぎに俺へと向けて放つ。いつもなら白月で受け止めて反撃するのだが今日はちょっと修行がてら戦い方を『天匠流』に限定していこうと思う。



鋏を地面スレスレ回避して剣が体に届く距離を詰める。カニもそうはさせまいと動き出し俺との距離を保とうとする。口元に泡が出てきているのでおそらく泡攻撃の類はしてくると見た。



それでも真正面に入るのは変わらない。前後左右に動くカニに合わせ体を捻り絶妙の距離を確保するため詰めていく。



振るわれる鋏を回避して時に狙えるようなら再び関節へ切り込む。そのタイミングを狙ったかのように泡攻撃が来るが即座に腕を走り抜けながら回避。



それを何度も繰り返し確実にダメージを与えていく。単純作業にも見えるだろうが敵は固く剣は簡単に通らない。



なら同じ場所を連続して攻撃する修行を兼ねて戦えば『鏡雀』の精度を上げるきっかけを掴めるかもしれない。



鏡雀が強くなればその合体技である『天津雀』も並行して強くなる。その為にまずはこいつで修行させてもらおうか。


















20を超えたくらいだろうか、カニの様子に変化が生じた。



『ギギギィィ』



鋏が鎌の様に変化し、狙い続けていた関節を覆うように見事な刃が生えてきた。綺麗な赤い体は毒々しい紫へと色を変え、口元の泡は白から赤へと変化した。



よく見れば甲羅表面にトゲが生えている。触れたら毒状態になりそうだ。



そしてなによりも、先程とは大きく変わったのはその体つきだ。先程はふっくらとした蟹だったのが、全身がスリムになり動きが早そうだ。



そして変化した爪も相当な長さがあり、攻撃範囲は先ほどの倍はあるだろう。




―――――特殊条件『刃のある武器で関節の同じ位置へのダメージ一定以上』を達成

―――――レイドモンスター『ガンドロックキャンサー』が突然変異

―――――特殊変異レイドモンスター『ブレイドキャンサー』への進化

―――――強制サブシナリオ『刀蟹』開始します。

―――――現在地から一定距離の全プレイヤー、ある条件を満たした場合は特定NPCに『ブレイドキャンサー』出現の報告が流れます。




へぇ、突然変異なんてするのか。確かにコイツは通常のそれとは全く違うみたいだ。目に見える覇気がまず違う。



先程までは餌を食らおうとする捕食者のようだったのに、今は強敵と対峙する戦士のようなものがある。

強敵だな。



進化したカニは真っ直ぐに俺を捉え好戦的な瞳を向けている。面白いじゃないか。その勝負受けてたとうじゃないか。








※特殊サブイベント※

イベント中にのみ発生する特別なサブシナリオ。モンスターとの戦闘やNPCとの会話により発生し、イベントに様々な恩恵を与える。


特殊サブシナリオが発生した場合、一定距離にいるプレイヤーとシナリオに関連するNPCがシナリオ発生地点を特定できる。


過去のイベントではクリアすると特別な称号やイベントにて優位に立てるアイテムなどが入手できた。

例)イベントモンスターに与えるダメージ量増加


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ