51:取り巻き処理
ボスにはよくいる取り巻きモンスターとの戦闘
数件ご意見がありましたので、こちらで改めて説明をさせていただきます。
エクストラモードは『ステータス』による『身体能力』への補正が一切ない状態であり、現実で自分が出来ない動きはゲーム内でも出来ないモードです。
例えば、素早さが上がり、ノーマル、エキスパートモードなら100mを5秒で走ることが出来るとします。
しかし、エクストラモードではステータス補正がないので、いくら素早さが上がったとしても現実で100m12秒で走るとしたら、ゲーム内でも12秒でしか走れません。
私の表現力不足で皆さんに間違った認識をさせてしまい申し訳ありません。
後日、その部分を改めて修正して分かりやすく、正しく認識してもらえるようにしていきますので少々お待ち下さい。
では、本編をどうぞ
ちょっと思いのほか楽しくなってきた。
支援系のジョブというか立ち回りが如何せん初めてなので正直なところどうなのだろうかと思っていたがこれは愉快だ。
敵のヘイトが完全にレイレイに集中していることもあり敵の注意はこちらに向かない。つまりやりたい放だ・・・・いという訳でもなさそうだ。
「リーク、リリカ、敵だ。三時の方向数5。感覚的にはあのアザラシを小さくした奴だ」
「本当によくわかるね。普通の兇波鋭豹こっちに来るよ」
「マー坊!!しばらく支援なしだ!!死なせるなよ!!」
「誰に言ってやがる!!お前こそ死なせんじゃねーぞ!!」
「その言葉返してやるよ!!」
戦闘中は性格がいつもより荒々しくなるなマー坊。それでいて動きと周囲の把握はいつも以上とか隙がねぇ。
この様子ならくっついてる三人がやられることはないだろう。
「『彗星』の神秘よ。光と共に我が身に宿り力となれ」
――――EXジョブ『星読み人』のスキル『彗星』発動
――――アイテム『広域秘薬』の効果でフィールド全ての時代人に効果適応
――――『特殊状態:全反撃』1回付与(累積2回)
――――『星読み人』の専用スキル『流星』『洛星』『彗星』発動可能回数(2回)
一応重ねがけをしておけば万が一の場合もなんとかなる。実際体験したわけではないが、『星読み』の効果を考えれば文字通りの力を発揮してくれるはずだ。
さて、ここからは魔闘士の専用スキルのお試しと行こうか。自動発動していたスキルはあったが、自発的に使うのは今回が初めてだ。
海面より顔を覗かせる五匹の兇波鋭豹。今か今かと攻撃のタイミングを見計らう五匹の視線はまっすぐリリカに集中している。
おそらく一番やり易い相手から倒そうとしているのだろう。おそらく前に出た俺が今の位置から少し動けば即座に攻撃してくるだろう。
それが今回は仇となったわけだがな。忘れたか?こっちの俺以外の二人は後方支援もできる遠距離攻撃持ちだぞ?
「敵を・・・撃ち抜け雷の矢!『サンダーアロー』!!」
「茹で揚げてやる・・・『ボルザードミスト』」
浮かぶ海面が赤く変わり気泡とともに熱さに耐えられなくなった兇波鋭豹たちは海上へ飛び上がる。そこを狙い澄ました雷の矢が的確にその体に突き刺さる。
海面を茹で上げる高温の水と、体の内側を走る電撃に彼らは為す術なくその体力を削られていく。
だが馬鹿ではないようだ。動かなければ死ぬと理解した一匹がその場から悲鳴を上げる体にムチを打ち離脱する。
続くように他の個体もそれぞれ別の位置へと離脱していく中、一匹の兇波鋭豹がこちら目掛けて文字通り海面より飛翔して襲いかかってきた。
「我が『誓い』と『祈り』はこの胸に宿る」
―――『魔闘士』専用スキル『魔闘士の誓い』『魔闘士の祈り』発動
―――残り効果時間30秒
両腕にオーラが宿り、それを伝えるアナウンスによってスキルの発動が確認できた。感覚的には『星読み』のように何かを感じることはなく、本当に発動しているかどうか微妙なところではある。だがアナウンスがそういったのだから発動していると信じよう。
今は目の前に突っ込んでくるアザラシの相手だ。だがまともにやり合うのはなかなかしんどい。下手に動けば後ろ二人が残り4匹に狙い打ちされる可能性があるためあまり動きたくない。生憎こちらはまだレベル24な訳だし、アザラシの強さもまだよくわかっていない。
だがこれはあくまでも俺が全て技を使用しないとしている場合に限る。俺は確かに流派縛りはしているが、”全ての技を縛ったつもりはない”
「一ノ型『白月』」
いつもすぐにカウンターを叩き込むので忘れられているかもしれないが、そもそも『月光真流』は守ることこそ本質なのだ。まさに今この時のようにな。
飛びかかり手前で自身の前ヒレを交差し放った兇波鋭豹に対して俺がとった対応は単純明快。前ヒレが放たれるタイミングに合わせて両方の親指人差し指中指を使った白羽取りをしてやること。篭手が武器でもある装備のため動きに誤差はなく、俺が思い描く通りに指が動く。
前ヒレを止められ衝撃を吸収された兇波鋭豹は首を傾げながらダランとヒレからぶら下がる形になった。思ってたよりも軽いなこのアザラシ。
「『ブラッドホールスロート』」
「キュイィィイイ!?!」
そんな無防備な状態をリークが逃すはずもなく、足元に出現させた真っ赤な蟻地獄がその体を穴の底へと引き込んでいく。必死に抵抗するが既に穴から這い出てきた蛇に体をまき取られ締め上げられていく。
改めて思ったけど蛇か......唯蛇苦手だった気がしたんだけど克服したのか?今度聞いてみよう。
「まず一匹。残り4」
「すごいです・・・・禁術クラスの・・・魔術を無詠唱・・・なんて」
予想はしていたがやはりリークの『ブラッドホールスロート』はトンデモクラスの魔術だったようだ。こんな広範囲殲滅魔術だもん当然といえば当然だよな。
「アール右から来るよ」
「”視えてるよ”『白月』」
余所見しててもこいつらの動きはよくわかる。実際に全体像を見たのは何げに初めてだけどその姿はまんま1mちょいのゴマフアザラシだ。
ちょい違うのは前ヒレが刃のように光っていることと、模様が頭から尾にかけて伸びる黒と灰色のストライプになっていることくらいだ。あと思ったより軽いことだな。
「キュイィ?!」
「私も頑張り・・・ます!!焼き砕け火の牙『フレアファング』!!」
捕まえた兇波鋭豹に放たれた炎の牙はその体に何度も噛み付く。リークのように一撃では流石に無理だったが相当なダメージは与えられたようで俺に捕まったままピクピクと悶え苦しんでいる。
「アール・・さん!!来て・・・ますっ!!」
「おうよ!!目指すは場外ホームランってかっ!!月光真流奥義『夢傷月』!!」
捕まえていた奴を大ぶりで構え突撃に合わせて大きく振り回す。蓄えた衝撃を手から兇波鋭豹の頭に流し込み突撃してきた別個体へと叩きつける。
二匹の頭と頭がぶつかりあった瞬間。衝撃は分散することなく二匹の体内へと駆け巡る。鈍い音と共に吹き飛ぶことも出来なかった二匹は砂浜へと沈む。
次の瞬間、二匹の頭が地面に衝突したことで片方に蓄積されていた衝撃が爆発し、頭を消失した二匹のアザラシは粒子となって消えていく。
月光真流奥義『夢傷月』
衝撃を込めた球体を相手へと送り込み、別の何かが相手に触れた瞬間体内で爆発させる奥義。本来は武器を使用して使うことが一般的なのだが、今回はアザラシを武器兼敵として使ったため二匹とも爆破させた。
「な・・・なにがおきた・・・んですか?」
「アールがやることはとんでもないから気にしないでいいよ」
言いやがる。お前が無詠唱で使う魔術も絶対に俺のこと言えるような代物じゃないことは今さっき証明されたばかりなの忘れるなよこら。
―――『魔闘士』専用スキル『魔闘士の誓い』『魔闘士の誇り』発動時間終了
―――攻撃成功・防御成功により一定時間ステータス上昇&HP・MP回復発動中
丁度30秒経過したらしい。纏っていたオーラが強い輝きを放ちながら俺の全身へ吸収されていく。
体が少し軽くなっていく感じと疲れが抜けていく感じがなんとも心地よい。すぐに再発動は出来ないようだが確か効果持続時間はそれなりに有るはずだ。
「「キュキュイィ!!」」
アザラシ残り二匹はやられた三匹と同じになるまいと海中へと逃げていった。普通なら潜水スキルとか水中対応攻撃を持っていないプレイヤーなら逃げられて終わりだが俺たちは違う。
「私右」
「なら左」
リークはスキルで既に動きは把握できている。俺も気配はバッチリと捉えている。携えている剣に手をかけ必殺の一閃を放つ。
「敵を喰らえ水龍『ラグラドラグーン』」
「超越流派抜刀術『初月雀』3羽」
海上に浮かび上がる魔法陣、次の瞬間、少し離れた海中から海上へ勢いよく出現したのは水の龍。その口にはアザラシが咥えられており、その口はゆっくりと閉じられていく。ブシャァと真っ白な血で水龍の体と海を汚しながらアザラシは消滅していく。
対するこちらは斬撃を飛ばす月光真流七ノ型『初月』を天匠流抜刀術『鏡雀』で放つ奥義。剣から飛び立つ三つの斬撃が海中のアザラシ目掛けて飛び立っていく。見た目はリークのように派手さはないがその斬撃はアザラシの胴体へと命中し体を四つに切り分けたのが気配でわかる。
その証拠に海上の一部が白く濁っていく。
「二人とも・・・すごい・・・です・・・!!」
「アールがタンクだったから殺りやすかったのもあるよ」
「リリカだってなかなかイイ線いってたぞ?一撃は無理だったけどかなりダメージ入ってたじゃないか」
俺相手のHP見えないからはっきりとは言えないけど。これでようやく巨大アザラシ君への攻撃に戻れる。そんな振り向きざまだった。
「悪い!!アール!!そっち行ったっ!!」
「「っ!?」」
猛スピードで突撃してくる巨大アザラシことウェイネスシールが俺達の目の前で前ヒレを振り下ろしていたのはマー坊の声が聞こえた瞬間だった。
別方向を向いていた一瞬の出来事。ボスが勢いよく三人へと迫っていた。




