46:占いと新しい継承者誕生の予感
占いの館にやってきた一同。果たして何がみえるのか?
「わかりました。では『天匠流の師範』と言うことで占ってみますね?」
「頼むよ」
プレシアさんが水晶に手をかざすとゆっくりと光輝き始める。室内を星の形をした光がキラキラと動き始めたのでリーク達女性陣は壁に反射して光る光景に見入っている。マー坊は特に興味ないのか横で俺と同じく水晶に目線を向けている。
光る水晶は俺たちからはよくわからないが、姉の横で見ているプラレアさんにはしっかりと見えているようで何度も首を動かしている。
「……視えました。夜空が見えました。それと波の音。そこで暖かく光る焚き火。あとは……お肉でしょうか?焚き火で焼いて食べていました」
結構具体的に出たな。聞く限りでは海岸線のどこかで夜に焚き火をしている人が鍵を握っているという訳か。
「夜で海岸だと……エーテリアの北側の『流星海岸』だと思う。あそこはモンスターが少ないから夜営とかする人が結構いるの」
決まりだな。リークの話を含めればそれで間違いなさそうだ。とんぼ返りにはなるが先を急ごう。
「ありがとうプレシアさん。助かったよ。これお代」
「お仕事ですから。それともし良かったらそちらの方を占ってみたいんですがダメでしょうか?」
話を振られるリークは何故?という表情になったのもののどうせなら占ってもらえと首を振ると、少し考えながらも、リークが水晶の前にゆっくりと座った。
「私あんまり面白い事ないと思いますよ?」
「占い師の直感です。お代は結果を聞いて払ってもいいと思ってくれたらで構いませんから」
「私の持論でこう言う事はやってもらう前に払うようにしてるから先渡しします」
「うふふ、なら頂きます。もし特定の何か気になることがあれば教えてください」
「……なら『エクストラ』……これでお願いします」
………………マジかリーク。
「分かりました。それでは水晶に手を向けてもらえますか?」
「こう?」
プレシアの真似をするようにリークは水晶の前に手を出した。その上からそっと被せるようにプレシアの手が包み込む。
再び水晶は光輝き室内が今度はゆっくりと魔法陣のような光の模様を出しながら彩られていく。占う人と内容によってやっぱり光り方が違うんだな。それもそうだけどまさか占うキーワードに『エクストラ』持ってくるとは思わなかった。
「はい……ありがとうございます。リークさんでお名前よろしかったですよね?」
「うん。何が見えたか教えてもらえます?」
「星が見えました。星の加護を受けた者だけに見える星です。その中でも一番美しく光り輝く魔術の星が貴女を待っています」
「星の加護……?魔術の星?どういうこと?」
もしかしてとは思った。あの資格、今のリークなら達成するとは思っていたが、まさか”変えるだけ”で条件を達成するとは思っていなかった。
「それは私の口からは言えません。それは私だけでなく。星読み人アール、君もです。けど今の貴女なら間違いなくたどり着きます。その星の下へ。あなたが私たちやアール君と同じ場所に来ることを、私は願います」
エクストラジョブ、『星術師』の継承者の誕生は思ったよりも近いのかもしれない。
「アーァルゥ!!教えてよぉ……!!」
「おぉしぃえぇられないんだってだよぉぉ……」
館に迷惑をかけるわけにはいかないので取り敢えず館を出て街の外に移動した。周囲に人気がなくなるとリークが飛びかかってきて体を揺さぶりさっきの話を詳しく聞かせろとせがんで来たのだ。
こうして首がグワングワン揺れてるのはそのせいだ。
「ケチぃぃ、教えてよぉ……そもそも『星読み人』ってなんなのよぉぉぉ」
「揺れる揺れるぅぅ・・・首取れるぞぉ・・?」
「取れないもん!!」
もんって・・・・可愛いかよ。ぐっ・・・俺の心が教えてやれと騒いでる・・!!けどプレシアさんとの約束を破るつもりはないっ・・・けど助けてはやりたい・・・!!
「女狐落ち着けば?アールだって教えたくなくて教えないわけじゃないんだから」
「そうそう、こいつがお前にも俺らにも教えないってことはペラペラ話していい話じゃないってことだろ?」
「占いでもちゃんと会えるとかなんとか言ってたんだし気長に待ちなさいな」
「でも魔術だよ!?今のところ魔法魔術呪術全部マスターしてる私が知らないかもしれない魔術関連の話なんだよ!!知りたいに決まってるよ!!お願いアール教えて!!何でもするからお願い!!アールが望むなら何でもするし誰でも消すからお願い!!もう話聞いて気になって仕方ないのをここまでずっと我慢したんだよ?でもアールの隣に座ったら今まで我慢してきたことも合わせて全部我慢できなくなっちゃったんだよ!!」
「ながいながい・・・落ち着けって・・・」
よくちゃんと聞こえるように息継ぎなしでツラツラ話せるよホント。しかも体揺さぶりながら。色々と物騒なことも言ってるけどそこまでせんでいい。
「ならヒントだけ、ヒントだけ言うからそれで我慢して、な?」
「ううう・・・・ヤダけど我慢する・・・・」
どっちだよ。
「アタシなんとなく予想付いたけどね」
「俺も。アールと同じってことはそういうことだろ?」
そういうことです。多分考えている通りのことだけど改めてしっかりと俺の口から話しておく。こっちは止められてないから多分大丈夫。
「『エクストラジョブ』モード選択で『エクストラ』を選んだ奴にだけ入手できる特殊ジョブで間違いないと思う。俺はそのうちの一つ『星読み人』ってジョブをメインで置いてる。『魔闘士』のジョブを手に入れたのと蓄積経験値があるのは『星読み人』入手のためのダンジョンで戦った『クリスタルゴーレム』とその亜種、あと『星を守護する番人』相手に戦って手に入れた副産物」
ここまで話したら隠す必要はないので手に入れた『星屑の光結晶』と『光結晶の篭手』をテーブルの上に出した。
「お・・・おおおっ!?なんじゃこの篭手っ!?」
「『星屑の光結晶』っ!?しかも見た目かなり大きいっ?!」
案の定レイレイ、マー坊は食いついた。光結晶でできた篭手とレイレイですら数を持っていない『星屑の光結晶』だしこの反応は当然とも言える。
一番のリークはギュッと腕を掴んだままキリっと涙目で俺の方を凝視してるけど。
「それはいいもん・・・私の『エクストラ』について教えて欲しいんだもん」
ユサユサしても流石にこれ以上は教えてやれん。悪いなリーク。それでも納得いかないのは変わらないが、分かってくれたのか目力だけは少し緩くなった。
「なら今後もずっと一緒にいるから覚悟して欲しいんだからね」
「わ・・・わかった」
「チィ!!!」
「いやこうなるってわかりきってたじゃん?何もしない方が「ア゛ア゛ン!?」・・何でもないですはい」
路線変更でお願いではなく、おそらく自主的に話すように持っていくことにしたであろうリークは俺の精神を良い意味で削りに来た。
反するようにSANチェックを失敗して発狂間近のような、般若すら逃げ出すような声を上げるレイレイ。いや怖いって。
魔法・魔術・呪文コンプリートしてる彼女は後ひとつ条件を達成すれば無事あの『エクストラジョブ』を入手します。
皆さんお解りですよね?




