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40:傍から見た彼の様子

リーク視点です。



正直目の前で起きてることに理解不能。アールの装備は完全に初期装備で、対するうるさい奴は完全装備。



確かにアールは強い。私は瞬殺されたけど、アールは侍ゴブリンを相手にして片腕を奪ってみせたし。それでもこの決闘は不利過ぎる。



だから最初、アールの目的は取り敢えずボコられてあげてその後少し情報流してうまく終わらせるんだとばかり思ってた



けど・・・・けどこんなに一方的な戦いになるなんて思うわけないよね?



「超越月光流十二宮奥義『重恋爪リオンキャンサー』」



多分名前的にはさっき使った月光滅流の奥義『恋爪レオ』『重腕キャンサード』の合体奥義で間違いない。



少し後ろに跳んだと思ったらまだ見えるレベルの速度で急接近しながら大きく棍棒を下から振り抜く。その手の先には大きく開かれた巨大な蟹の爪の幻影もとい風を受けて見えるようになった衝撃の鋏爪。



まるで電動鋸に巻き込まれたように大きく体を振動させながらうるさい奴は体が真っ二つに切り裂かれ、追い打ちを掛けるように出現した””三つの鋏爪””によってさらに細かく切られていく。



「ほらどうした?俺の不正を暴くんだろ?頑張れよリュウオウ君?」



見る人間全員を引き込み、その戦意を喪失させる戦い方をさも当然のように繰り出してくるアールは恐ろしくも引き込まれるような笑みを浮かべている。



あの笑顔を私は知っている。””魔剣聖””が強敵、主に主人公相手に向ける好戦的で楽しんでいる時に見せていた笑顔。



笑顔でこちらの心と体をガリガリ削ってくる二つの奥義『重腕キャンサード』と『恋爪レオ』の攻撃は私を含め””多くの主人公””を苦しめた。



「ば・・・ばけもn」



「話す余裕が有るなら攻撃してこないと駄目じゃないか?じゃないとこんなふうに蹴られるぞ?『星波ピスケス』」



顔面にそれを受けて、うるさい奴は空高く打ち上がる。片目が潰れ、鼻は曲がっているが即座に元に戻っていく。けど衝撃は消えず両腕はあらぬ方向へとうねりを上げる。



「ほーれ懐かしいお手玉だぞー?」



「ヒギィッ」



意識を失うことを許さず、アールは地面に当たるスレスレで顔面に足をねじ込んでまた打ち上げた。奴の体は地味に光っているからHP自動回復のスキルが発動している。それを今ほど後悔した事はないだろうね。



多分だけどアールはこれまでの攻撃でうるさい奴の実力を把握してる。だから戦闘不能にならない程度の力加減で蹴り上げてお手玉にして遊んでいる。正確には肉体ではなく心を折りにかかっている。



「ソーレもういっちょ」



助けを求める奴だが取り巻きである奴らは誰ひとり動かない。地面に顔を向けて目を逸らす。ただプルプル震えてる。



数回お手玉を繰り返しアールは奴でのお手玉をやめた。



「グギィッ!?」



数十秒ぶりに地面に落ちた奴は既に満身創痍。



この光景を見慣れないプレイヤーにとっては恐怖そのものだ。でも、ある一部のプレイヤーからしたらそうでもない。



それは『剣聖物語』のハードモード以上の経験者、もしくはプラクロである程度の場所まで攻略したプレイヤー。

プラクロをある程度進めていると今アールがしている攻撃に似たような攻撃をモンスターが繰り出してくる。



下手をすれば体中を食われて戦闘不能になることもある。もっと言えば生きたまま体内焼かれて戦闘不能にしてくるドラゴンとかいるし。



そしてもう一つ。『剣聖物語』ハードモード経験者。



『ビギニング』『イージー』『ノーマル』『ハード』『ハザード』『ルナティウス』『リアルハード』と言うように難易度が存在しており、『ノーマル』までは比較的誰でもクリアできる。けど『ハード』以上になると一気に敵の強さが跳ね上がる。



敵の攻撃パターンが撤廃されて本当に生きているように自分で考えて行動してくるため無闇矢鱈に攻撃するだけでは防がれるし反撃を受ける。『ハザード』では攻撃力がさらに上がり、『ルナティウス』ではもはや次元が変わる。けど、ここまでクリアした人間にはそれ相応のPSと引継ぎができた能力値のおかげで無理難題レベルではない。



考えて繰り返し、ひたすらやり込めばクリアできる。無茶でありながら程よいレベルのむちゃくちゃだった。



ちょっと話がそれたけど、『ハード』以上では『魔剣聖』である幼馴染はかなりえげつない攻撃を結構な頻度で行ってくる。顔面お手玉に人体ダルマ作成、関節ねじりに締め上げに首吊し上げ。



そのせいで一部界隈から苦情が殺到したが、『ハード』以上の難易度選択者には『リアルハード』選択時にもあった誓約への署名が求められる。



『このモードでは冷酷無慈悲で残虐な表現や行為が描写・実行されます』みたいな感じで大きく書かれた注意書きを見た上で選択しているので苦情を入れても自分で判断して選んだのだから文句は言えない。



なのでこの程度の光景は割と見慣れている。



うるさい奴の体は損失する度に即座に再生している。多分AS『欠損状態回復』の効果で失っても即座に再生している。



ちなみに感じる痛みとかはカットできるし、受傷した際の感度も自分で好きに選べる。これで現実の体に全く影響がないんだから本当に『エクスゼウス』は変態技術者の集まりだって思う。



そんな訳で、うるさい奴が今までどれだけ生ぬるい相手としか戦ってきてないか露見する。どうせ攻略サイトとかで攻略方法全部見て勉強してから挑んできたからそういう恐怖を味わったことないんだろうね。



決闘とか言っても、いつも囲んでボコるかそもそも突きつけないかのどっちかだから自分たちのプレイヤースキルもそこまでじゃない。



そういう意味ではアールとの決闘はいい薬になる。仮想の現実を思い知る、いい機会だ。だからそれなりに楽しんできたプレイヤーは文句も悲鳴も上げないし、やってなくても似たような経験をしたことがあるプレイヤーは苦い顔程度で文句や罵倒はない。



私はよくメス猫相手に””血闘””しているからかなり見慣れてる。あのメス猫血管引き抜いても這い上がるから、どうしたら二度と這い上がらないか今も検証中。アールなら何かいいアイデアくれないかな?





剣聖であり魔剣聖。主に剣聖だけどキレると魔剣聖になります。

彼は聖人じゃないので。

あくまでRPの範疇ではありますけどね。


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