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32:奇襲

蹂躙を繰り返す二人。そして明かされるリークの新事実。


そんな二人に迫る存在が現れる。



「というか、ASの私とPSのアールならアールの方がすごい『ギィイ!!』よ?『ウィングランサー』」

『『『『『グギャァァア!?!?!?!?』』』』』



風の槍がゴブリンの頭を貫きながらその周囲の敵をなぎ払う。



「『ゲイルブレード』『ストームハルバード』『テンペストカラミティア』」



風の槍が威力を増した剣に変わり敵を穿ち、再び槍に姿を変えて敵を巻き上げ切り裂いていく。最終的には周囲一帯に吹き荒れる風の槍が周囲の木々を巻き込みながらゴブリンのみじん切りを作り出していく。



連続詠唱派生魔術とかやばくない?俺この攻撃受けて受けきれる気がしないんだけど?これを見せられた上でそう言われても正直実感がない。それだけ目の前で行われている蹂躙劇はえげつない。



「『ファイアウォール』『レイジングフレイム』『ラーヴァウェイブ』『デセスペランサメテオライト』」



火の壁がゴブリンを包み込み、地面が彼らを蒸し焼きにする煮えたぎる炎に変わり、炎の地面から溶岩の波が次々とゴブリンを飲み込んだと思ったら、溶岩で描かれた魔法陣が真っ赤に燃える隕石を空に吐き出してそのまま大量に降ってくる。



これをノーモーションから何度もやってくるとか絶対に相手にしたくない。



「アールがいるから近距離気にしなくていいから楽しく魔術使えるの。嬉しい」



「その近距離の敵諸共全部巻き込んでるけどな。これも敵味方識別あるし」



「私の魔術で識別できないの一つだけなの。詠唱時間3分必要な大魔術。初めて使った時に緊急メンテナンス入っちゃったから若干修正されたけど」



それだけでどれだけやばい代物か理解できる。エクスゼウスさんなんて魔術創ってるんですか?



「ちなみにどんな『ギィっ』魔術?」



「『ガラクシアグルト』」



星の悲鳴ってお前・・・・そりゃメンテにもなるわ。下手したら星壊す魔術じゃねーか。



なんて魔術創ってやがる。お前もよくそんな魔術使えるな。



「魔術楽しいから頑張って極めた。むふー」



すごいにこやかな笑顔です。可愛い。こいつにエクストラジョブ『星術師』の事教えたら絶対に取りに行くんだろうなきっと。下手したら持ってるまである。



「そういえばリークはモードセレクト何で遊んでるんだ?」



「今日からエクストラに変えてきた。やっぱりアールと同じようにはいかないね、けど動ける」



変えたのかよ・・・・しかも今日からってお前マジか?それでいきなりここまで戦えるの?センス良すぎじゃない?



「無理するなよ?ダメージ受けるとかなり痛いから」



「痛いのは大丈夫。ちょっと久しぶりに『剣聖』起動して慣れてきた」



行動が早いっ

タイミングが合えば『星術師』の条件満たしちまうんじゃねーのこれ?



ってか改めてだけど、初めてのエクストラでここまで動けるのかよ。ここまで結構走ったりしてるのに息一つ上がってないんだけど?かなりアクロバットな動きしてるんだけど?



いや俺もできるけどよ?けど現実で唯はかなり運動神経良いし、フルマラソン余裕で完走する体力持ちだけど、こっちでいきなりここまで動けると流石にちょっと自信無くす。



「頑張ったの。アールとお揃いになるためなら私はどんな努力も困難も乗り越えるよ」



「凄いわリーク。お前なら俺よりもうまく『剣聖』のリアルハードクリアできるんじゃない?」



「無理。私二体目のボスで詰んじゃったから・・・なんなのよあの鋼鉄コウモリ・・他の難易度だと苦戦しないのにリアルハードだと辛すぎるんだもん。」



確かに二体目のボス動き早い上に斬撃ほぼ無効だからリアルハードだとキツいか。他のモードだとステータス補正で結構動ける上に重たい打撃主体の武器持って当てていけば結構簡単に勝てるからな。



ちなみに俺は糸を針穴に通すように鏡雀で僅かに見えた血管斬る、攻撃受け止めて倍返し、姿隠して口の中に剣を突き立て抉るなどの方法で勝ちました。



「それができる時点でアールも大概だよ『ギィ!!』あぁもうしつこい!!『我は汝の血肉を求め喉を鳴らす。我が魂を潤す糧と成れ『ギガブラッドホールストート』』!!」



詠唱込みで放たれた魔術は先程よりも広範囲に広がり、分かるだけで半径50mは下らないくらいある。穴の中心からは無数の蛇が現れて次々とゴブリンに襲い掛かり、白い光を撒き散らしながら穴へと引きずり込んでいく。



「アールごめん!!もう一回『アルマサルヴァトーレ』使うから守って」



「はいよ。守りは任せ・・・伏せろリーク!!『鏡雀』!!」



「ひゃっ!?」



『・・・・・』



一瞬だった。どこからともなく、少なくとも50m以上の距離を瞬き一つする間もなく詰めて武器を振るった奇襲者。



ギリギリのところで鏡雀が間に合いリークに迫っていた刃は防げた。どうやら俺たちが探していた本命が向こうから来てくれたようだ。



それは言うなれば侍ゴブリンというべきだろう。甲冑をまとい腰に差すのは一本の刀。



これだけならば特に警戒する必要はなかった。気配を消すモンスターは存在する。鎧を纏うモンスターだっている。動きの速いモンスターだって無数に存在している。



けど、このゴブリンは俺の『鏡雀』に””対応してみせた””。それだけの相手を警戒するなと言われるのは無理だ。



「リーク周囲は任せる。コイツの相手は俺がする」



「・・・・・・」



「リーク?」



「・・・・ゴメン・・・・斬られ・・・」



「っ!!?」



謝罪とともにポトリと落ちる首、ずり落ちる両腕とともにリークは光となって消えていった。馬鹿なッいつの間に斬りやがった!?ヤバイ。全く見えなかった・・・・・!!!



『・・・・・・』



「お前その構えっ!?」



見覚えがあるってレベルじゃない。それは俺と“”全く同じ構え“”だぞ?!



落ち着け切り替えろっ!!



・・・・・・よし。逆を言えばそういうことだ。気が散れば負ける。リークが斬られたカラクリはなんとなく理解した。そしてこのゴブリンはこの予想が正しければ俺よりも速い可能性がある。



それはつまり俺も斬られていても可笑しくなかったということ。まるでゴブリンは俺とこうなることを望んでいたかのようにただずっと構えている。



上等だ。やってやる。



「『鏡雀』」



『・・』



二匹の雀が交わりながら空を舞う。囀りのように音もない交わりが俺とこのゴブリンの間を駆け巡る。一見お互いに構えているだけのようだがそれは違う。



『鏡雀』は一閃必殺の抜刀術。相手の動きに合わせてその抜刀速度は微妙に変化する。



その為同じ流派での戦いでは手の読み合いをする。手の確認を行い、相手が使うであろう手を考察して検証、それが本当に届きうるのかを思考し尽くした上で刃を放つ。



抜刀速度だけじゃない、思考速度と想像力が相手よりも乏しい方が負ける。一瞬で既に三度刃を交えた。実力差は思っていたりよりも開いていないように思える。



けどわかる。これは向こうからしたら小手調べだ。まだ””アレ””は使っていない。



あの時リークを斬った技が””アレ””だとすれば『鏡雀』では対応できない。さらに言えば剣ではそれに追いつけない。刀が欲しい。



けれど疑問もある。何故このゴブリンが””アレ””を使える?少なくとも””アレ””は俺が生み出した奥義のはずだ。『剣聖』のシステムとしてでは一切登場しなかった。



考えるのは後だ。少なくとも、このゴブリンが””アレ””を使う前に倒す必要がある。少なくとも今の俺では””アレ””に追いつけない。せめてギルファーの刃があれば・・・



「・・・・・フゥ・・・!!!」



『・・・・・・』



けどそんな無いものを強請り、無かったから負けたなどとそんな事を理由にして負けるわけにはいかない。侍ゴブリンはそれを待つかのように刃を抜かず静かに目を瞑っている。



「・・・・・・・フゥー・・・・」



呼吸を整え再び神経を研ぎ澄ませる。少なくともまだ””あれ””を使わない可能性はある。なら鏡雀ではこれ以上打ち合うのはマズイ。



あの奥義は打ち合えば打ち合うほど、衝撃を受けるほど速度を増す。それを目的としているなら決めるとすれば次の一回。四度目の一閃は光速へと達する前にその腕をもら・っ!?。



「ガッ・・・・・・・・ハッ・・・!?!!?」



『グガギャァ!!!!!』



脳みそをど真ん中から貫かれた感覚とともに俺は意識を手放した。まさか・・・・・後ろから伏兵かよ・・・・・意識を向けてなかったとは言え・・・・・・ここまで立ち会いやる流れを作っておいてそれはないだろうよ侍ゴブリン・・・・














『グギャガヤ!!』


『・・・・・・』


『グギャ?』


『・・・・・・・シネ』


『ギャ――――』



――――グチャリ



『・・・・・アー・・・ル・・・・・・・・カガ・・・・ミ・・・・スズメ・・・・・・・・オ・・・ナジ・・・・・ケ・・・ン・・・・・・・ムコ・・・ウ・・・カ・・・』












お互いの能力が互角なら、勝負を決めるのはそれぞれが持つ武器の差と時の運である。


アール敗北・・・もとい奇襲に対応できず後頭部を貫かれて戦闘不能。フラグ回収。

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