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30:アールとリーク

ニルスフィア大森林にてゴブリン掃討開始



世界各地で大量発生したゴブリンに対して、各地のギルドマスターは独自の権限にて時代人、傭兵問わずその討伐を依頼した。それを受けた者たちが続々とゴブリン達が巣食うフィールドへと向かう中、あるパーティーが壊滅的被害を受けていた。







突如大量発生したゴブリンに襲われた僕たち駆け出しのパーティーは瓦解寸前だった。回復役の神官は先ほどゴブリンの攻撃を受けて喉をやられて詠唱が唱えられない。



補助の盗賊も足をやられてもう防御だけで精一杯。僕を含む剣士と槍使いもダメージは既に限界で満足に動けない。



今日であのボスを倒すために必死でレベルを上げていたはずなのに、ゴブリンの軍団にこうして僕たちのパーティーは苦しめられている。



やっと倒したのに。あのボスを倒してここまで来たはずなのに。どうして・・・回復アイテムはもう切れてしまったし、復活スキルはもう発動してしまった。スタミナももう限界。



「なんでだよ・・・!!ゴブリンに苦戦なんてしてないのに・・・・!!!」



倒すのは簡単だ。でも終わらない。倒しても倒しても倒しても倒しても終わらない。



一匹、二匹、三匹・・・・もう気が付けば僕らはゴブリンに包囲されていて逃げ場はない。







「何なんだよ・・・・・何なんだよお前ら・・・!!!!」



『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『

            ググアギャギャガヤ!!!!!

               』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』

 


ゴブリンの大合唱。あたりを埋め尽くすそれは絶望としか言いようがない。



弱いのに、単純なのに、倒せるのに・・・・・!!!!



数の差がこんなにも大きなものだなんて思ってなかった。たかがゴブリンなのにこんなにも苦しめられるなんて思わなかった。



今日まで生きてきたのに、死なないようにみんなで考えて、一緒に闘ってきたのに、大群っていう理不尽の前にそれは無力なのだと思い知り、僕たちは死を覚悟した。



「みんな・・・・ごめん・・・・」



「あや・・・まんなって・・・・」



「そうそう・・・・・・みんな・・・頑張った・・・・よ・・・」



「カヒュー・・・・」



「・・・・・うん。ありがとう」



『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『

            グギャギャ!!!!!!!

                』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』



みんなで誓った約束を果たせず、こんなところで終わるなんて考えもしなかった。この考えすら押しつぶし、蹂躙するように、ゴブリン達が一斉に波となって襲いかかってくる。



これはもうダメだ・・・・・・・どう頑張っても、どう考えても死ぬ。



・・・・・・・・せめて

・・・・せめて・・・・・せめて僕以外のみんなは・・・逃がしたかったな・・・・・












死にたくないなぁ・・・・・





死にたくないよ・・・・・!!!!!!




死にたくないよっ!!!!!









誰か・・・・・



誰か・・・・!!!




誰か助けてよっ!!!













「流派超越抜刀術『天翔雀』」



光の雨が僕たちに降り注いだ。聞こえたのは男の人の声。群青色の装備で身を包んだ男の人と綺麗な女の人が僕の前に立っていた。



そして・・・僕たちを囲んでいたはずのゴブリンの軍団が消えていた。



「・・・はへ?」



何が起きたかわからない。けど一つだけわかるのは目の前の男の人が助けてくれたこと。

男の人は回復アイテムのブドウを握りつぶしてその果汁を僕らにかけた。その効果で僕らの傷は完治ではないけど動くには十分なくらい回復した。



それだけじゃなく、男の人はそれとは別のブドウを僕らに一つずつくれた。



「それ食ったら逃げろ。こっからならエーテリア行ったほうが早い。道分かるか?」



「え・・・あ・・・・あの・・・」



「君、アールが聞いてるの。答えなさい」



「あ・・・・えっと・・・ごめんなさい・・・・」



道なんてわからない。僕たちはまだこの森から抜けてすらいないんだから。



「しゃーない。ギルファー、エーテリアまでこいつらの護衛任せるぞ」



『・・・・高いぞ?』



「いいから行け。巻き添えで倒したアザラシの肉食わせてやるから」



『よかろう・・・おいキサマら立て。行くぞ』



喋る狼?が、混乱している僕らにそういった。



「いいか、絶対に街まで送り届けろ。失敗したら肉は無しだ」



『誰に言っている。この程度我に出来ないわけがない。行くぞ小僧ども』



「うわわっ!?」



狼が急かすように僕らの背中を押す。気が付けば体が勝手に動いているような気もした。

そうだ・・せめて・・・名前を・・・・!!?



「危ない!!後ろです!!」



『ギャガヤァア!!!!』



「””視えてるよ””」



『ギャギャ―――』



それはさっき僕が見た光の雨だった。気が付けば後ろに襲いかかってきていたゴブリンウォーリアーが倒されていた。何をしたかよくわからなかったけど、剣を使って攻撃したのだけはかろうじてわかった気がする。



また体が勝手に動く気がする。待ってっせめて・・せめて名前だけでも聞きたい・・・!!!



「あの・・!!!名前を教えてください!!」



「アールだ。また街で会えたら会おう。新人くん」







アール。



僕を・・・・・・・私たちを助けてくれた英雄の名前。おとぎ話の剣士のように思えたその後ろ姿を。僕らは忘れない。

















「あっぶねぇ・・・ギリギリ間に合った」



「急に飛び出したからどうしたのかと思ったよ。あの子達助けたかったんだね」



あの様子だとせっかく『恨血の木』倒したのに町に戻されちゃポッキリ折れちゃうだろう。そうなるとせっかく楽しいものも楽しくなくなってしまう。



まぁそういうトラブルも含めて楽しめるようになったら一人前だけど初心者にはまだ早い。



それにしても予想以上に数が多い。一箇所ずつ倒してたら日が暮れる。



「リーク。ゴブリンだけを倒せる広範囲の魔法あるか?」



「うん。詠唱中守ってくれる?」



「当然」



「一分お願い」



リークがそれに適した攻撃手段があるとのことなので、その広範囲攻撃で仕留めることにする。周囲にまたぞろぞろとゴブリンどもが集まってきた。



俺たちを驚異として認識したか。丁度いい。探す手間が省ける。それにお前らは運がいい。久々に””舞う””つもりだったから間近で見れるぞ?お代はその命で払ってもらうけどな。



「流派超越剣演武『初月ニ鴉舞ウ夜』」




桜華戦流

それは戦場で作り出す舞台にて舞い踊る演武。その本質は誰よりも目立つことでも、誰にも見付からない事でもない。戦場という白紙の紙に己という筆で作品を描くように、望む結末を描くために駆け巡る流派。



『桜奏呼吸』はその為の手段の一つ。

そして己が描く未来を現実にするための演武を作り出すことこそ、桜華戦流の原点である。




『ギャッ!?ギャッ!?ギャッ!?』



「『闇夜に踊る剣はどこへ?』」



『ピギャァ!!?』



「『それは誰もが知っている。けれど誰も見ること叶わず』」



『グゥアァァア!!!!!』



「『それは闇であり剣、一筋の光と共に羽撃く刃』」



『ピギァァアア!!!!!』



「『剣は刻む。悪を断ち切るために。己を悪だと憎む者がいたとしても』」



『ギィィィィィィィィ!!!!!』



「『人と共に生きたいと願う剣は夜空に浮かぶ月に願う』」





『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『『

            ギィィイイイイイイイイギャァァァァァ!!!!???!

                』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』』




認識をずらし視線を奪う。放つ刃は斬撃となり空を飛び、ゴブリンを次々と切り裂いていく。声は聞こえるのに姿は見えず、けれど視線はほかに向けられず。



時に衝撃で頭を潰され、時に斬撃で胴体を切られ絶命し、時に心臓から伸びる剣によって気づかぬうちに死に絶える。



ほかに狙える相手(リーク)は見えているのに、狙えるはずなのに、狙える相手を狙うことができずゴブリンたちの視線はどこにもない何かを探している。



歌へ視覚を持っていき、時に姿を表にし敵を斬り、時に姿を隠して敵を討つ。それが桜華戦流の真髄。

一騎当千の無双を行う英傑であり、味方を逃がすための殿であり、先陣を切り味方の士気を上げる先駆けでもある。



それら全てを己の作品と、舞台とすることこそ、桜花戦流その真髄。本来は複数の武器を持ち替えながら戦うのだが、今回は剣のみでの演武。



月光真流七ノ型、斬撃の衝撃波を生み出す『初月』



天匠流剣術、素早い踏み込みによる突きを行う『血夜鴉』



それらを盛り込み演舞としたこの技『初月ニ鴉舞ウ夜』



姿が見えず、されどそこにいることは理解できる。けれどもそこにはいない。気が付けば己は斬られ地に伏せ消える。



十分過ぎるほどの役割は果たせたようで既にリークの準備は完了していた。



「アールお待たせ・・・行くよ大技・・『救世の刃、我が敵を滅ぼせ『アルマサルヴァトーレ』!!』」




それは森を覆うほどの巨大な魔法陣だった。森の中ではその全体像は見ることは叶わない。それほどに巨大な魔法陣が空から落ちてくる。



美しい光を放ちながら落ちてくる魔法陣から何か聞こえる。それは聖歌のような何かを歌う美しい声。ゴブリンが逃げることすら忘れる程に美しく優しい歌声。



あるゴブリンは武器を落とし空に手を伸ばす。あるゴブリンは祈りを捧げるように膝をつき手を重ねる。

光の魔法陣はそのまま優しく、されど敵を全て滅ぼす美しくも残酷な光で森中を包み込んだ。



「ふぅ」



「何今の?」



光が収まるとあたりにいたゴブリンは破片も残さず、一匹残らずすべて消滅していた。広範囲攻撃とは言ったけどまさかここまでとは思ってなかった。



「魔術女帝の専用スキル『アルマサルヴァトーレ』っていうの。詠唱時間長いけどフィールド全域に私が攻撃対象とする敵に30秒の間魔力×5倍のダメージを毎秒与え続けるスキル」



「えげつなっ!?」



「代わりに詠唱中に攻撃を受けると魔力が暴走して一発で戦闘不能」



なんつうもの使えるんだよお前・・・ってかそのジョブなんだ?



「むふぅ・・!!これが私が持ってる最上級ジョブ『魔術女帝』の力だよ」




ニルスフェア大森林のゴブリン掃討完了。


相手がギルファーだったからあっけなくやられたけど、これが決まっていればギルファー分身体なら一撃で消滅、本体でも第二形態への移行を開始するレベルの威力となります。


わかりやすく言うとフル強化&魂&必中&直撃を発動した敵味方識別のあるのイ〇オ〇砲(MAP)

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