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27:鐘の音の正体

久しぶりの一日に連続投稿です。

よくあるイベントだけどイベントにならない出来事。


修正

ガラン=ガンテツさんの奥さんです。



「ちょっとなんだいこの鐘の音は!?」



「私ちょっと見てきます!アールはここにいて!」



「わかった。頼む、ギルファー、お前もリークと行ってくれ」



『仕方がない。小娘乗せてやるから乗れ』



「小娘言うな犬」



ギルファーの背中に乗りリークは店を飛び出した。残った俺は神経を研ぎ澄ませ周囲に何か妙な気配がないか確認する。



近くには特に妙な気配はない。だが街の外からモンスターが湧き出るような気配を感じる。



「ガラン、ギルドに行くぞ。おいボンクラ。お前もついてこい」



「ギルド!?ちょっとあんたどうしたんだい?」



奥さんガランって名前だったのか、そういえば名前を聞いてなかったか。しかも俺まで連れてく気かよ。



「俺は一応リークに待っててくれって言われてるんだけど?」



「あの嬢ちゃんならすぐに追いつく。黙ってついてこい」



奥さんの手を取り店から出るガンテツさん。俺も拒否権は認められなかったので素直に付いて行く事にする。リークには戻ってきた時にわかるように置き手紙を置いていく。



店の外に限らず、街中が鐘の音に驚いておりあたふたしている。こんなことは今まで起きたことがないのだろうか?



「おいボンクラ。お前モンスターについてどこまで知ってる?」



「一般常識程度には知ってるよ」



モンスター

この世界中に生息している生命体でその種は500を超えるという。いつどこで生まれたのかは分かっていないが、魔力によって誕生する個体もいれば、他の動物と同じように繁殖することで生まれる個体も存在する。

 その生態も種によって全く異なり、現在も調査が進められている。希に一つの種が大量発生して生態系が崩れ村一つを滅ぼしてしまうこともあるらしく、時代人に限らず、王国の騎士団や傭兵稼業を営むNPCが定期的に数を減らすべく討伐を繰り返している。



「ならそこからこの状態の原因もわかるんじゃねえのか?」



「もしかして大量発生か?」



「どうせそうだろう。お前も時代人ならさっさと片付けてこい」



「最初からそういえよ・・・・」



「この程度すぐに理解しろ」



無茶言うな。しかも解決させる気満々かよ。いやするけどよ。それから特に言葉を交わすことなくギルドまで足を進める。



ギルドに入ると中は慌ただしく動いており人を捕まえるのも一筋縄ではいかないだろう。



「え?アール!?それにガンテツさんにガランさんまで!!」



「やっぱりいたか嬢ちゃん」



なんとか職員を捕まえ状況の確認をしていたであろうリークがこちらに気づいた。ギルファーは足元でリークのだと思われるブドウを食べていた。



「それでどうなってる?」



「ガンテツさん!!ちょうど良かった!!あなたにもギルドから依頼をしたい!!」



「あぁ?こんな時に依頼だァ?」



「はい。今だからこそなんです」



「皆さん!!聞いてください!!」



カウンターに立ち上がり声を張り上げたのは個性が強かった職員の男だった。彼の声に皆が黙り耳を傾ける。



「現在エルスフィア大森林にてゴブリンの大量発生が確認できました!!ゴブリンの軍団は森を越えてエーテリアにも進行しています!!私たちエーテリアギルド支部から正式な依頼を出します!!突如大量発生したゴブリンを全て討伐してください!!報酬は後ほど用意させていただきます!!」



ゴブリンの大量発生か。ということは初心者のためのイベント的ななにかだろうか?だけど妙に気になる。



確かに大量討伐系のイベントは参加しやすく受けやすい。だがそれをあえてゴブリンでやる必要はない。



ゴブリンの素材はいいものではない。入手できる武器も壊れやすく売れても端金程度にしかならない。そのくせにアーチャーやビショップ、マジシャンといったちょっとめんどくさい種もいるわけで嫌われているモンスターだ。



「・・・どうする?」



「無視無視。参加するなら海岸でヤドカリ倒してる方がマシ」



「街まで来たら誰か適当に相手するでしょきっと」



「弱いし誰でもできるべさ。初心者に任せていいんじゃね?」



となればプレイヤーがこの事態を軽視するのは予想できないわけもない。特に初心者から抜け出したと勘違いしているプレイヤーならば尚更だ。



経験値も入手アイテムもお金も多くない。良くない。倒すのが面倒。この三拍子が揃っていれば受ける理由がない。それを確定付けるように誰かの言葉が聞こえた。



「運営からイベント情報ないしアナウンスもないみたい」



「マジで?なら意味ないじゃん」



仮想現実といえど所詮はゲーム。そしてこれが公式で組み込まれたイベントでもなく、シナリオでもなければ受ける理由は完全になくなってしまう。



興味を失った大半のプレイヤーたちが次々とギルドを後にしていく。話は伝わっていきプレイヤーたちの興味はそれぞれ別の門へと移っていく。



「お願いします!!!!誰か!!!誰かこの依頼を受けてください!!私たちを助けてください!!」



「おい兄ちゃん!!受けるのは構わねぇが金はキッチリ出るんだろうな!!」



見てくれは傭兵そのものの装備をした中年の無精ひげの男。おそらくNPCだろう。彼の周りには先程まで酒を飲んでいたらしき男たちがジョッキを持って控えている。



「勿論です!!これはギルドからの依頼です!!」



「なら一匹100Dだせ。それで受けてやる」



「なっ!?一匹100Dなんて何言ってるんですか!?」



ちなみにゴブリンの素材は高くてもせいぜい50D。討伐依頼があったとしても5匹で100Dがいいところだ。一匹につき100Dだとボッタクリもいいところだ。そんな値段で吹っかけるとか巻き上げる気満々じゃないかこの中年オヤジ連中。



「お前らこそ何言ってる。ゴブリン相手だぞ、そんな奴相手に時代人動かすにしても俺ら傭兵動かすにしても必要になるに決まってるじゃねぇか?なぁおい?」



残っていたプレイヤーに聞こえるように中年の声がギルド内に広がる。それに答えるようにプレイヤーも中年オヤジの仲間たちも相づちを打っている。



「おいキサマら!!それでも時代人か!!それでも傭兵か!!」



「あ?なんだお前」



声を張り上げて怒鳴ったのはガンテツさんだった。額には血管が浮かび今にも切れてしまいそうだ。ガランさんが宥めるのも聞かずガンテツさんは酒を飲む傭兵の男のもとへ向かっていく。



「時代人の役割は時代を進めるため!!俺たちにとっての道しるべだ!!それなのに金だのなんだの恥ずかしくはないのか!!キサマら傭兵もそうだ!!困っている奴を助けて信頼を得ることで報酬をもらうのが傭兵としての矜持ではないのか!!」



「うるせぇぞジジイ!!お前の価値観を俺らに!!時代人にも押し付けるんじゃねえ!!失せろ!!酒がまずくなる!!」



「そうだそうだ。俺らにだって選ぶ権利くらいある!!」



「ゴブリン程度なら初心者でも倒せるのに『恨血の木』倒した俺らが相手する必要ないっしょ?」



「そうそう、時代人だってたくさんいるし誰かやるよきっと」



「このボンクラどもが!!!!」



「アンタ止めて!!お願いだから!!」



喧嘩になりそうなガンテツさんたちと興味を失ったプレイヤーたち。リークはどうしたらいいのか判断がつかずオロオロとして俺の手を握る。





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アホらし。

ゴブリン大量発生

それを無下にする彼らの行動に、その発言に対してアールの感情が動き出す。

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