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325:裏取引 Ⅰ

前に話していた少しだけブラックな話。



その日の夜。俺は城の地下にある牢屋へと足を運んでいた。付き添いは居ない。



コツコツと足音を響かせて階段を下りていく。まさにファンタジー世界の牢屋への階段というのがしっくりくる。



階段の下には見張りの兵士が5人。階段の上には見張りが4人いた。前回、というか数日前の演習で賊を逃がしたから厳重になってるようだ。



見張りの兵士はこちらを見ると、そのうち一人が駆け寄ってきた。



「お疲れ様ですアール殿。念のため本人か確認させていただきます」



「お疲れ様。これでいいか?」



見せたのは俺が所持する唯一無二の存在である真化武器四種『ズイカク』『コンゴウ』『ユウダチシグレ』『ジンツウ』。帝国では俺が使った武器だから剣聖武器なんてかっこいい呼び方をしてくれている。



「一応本物かどうか確かめさせてもらいます」



「あいよ。じゃぁ・・・コンゴウにするか? 一番わかりやすいし。ほれ」



「では失礼して」



イドル。対応任せた。



《『仕方ナイナ』》





――――◇――――

『艶姫鳳戦刀:コンゴウ』の意思が特殊能力『帰回愛』『艶姫唄』を発動。

――――◇――――





兵士が触れた直後に能力発動。敵味方識別は出来ないが強弱くらいは調整できる。イドル達と融合したからこそ出来る裏技である。



数秒発動を確認してからすぐに解除。兵士の顔が惚けたり狂気に飲まれたりで面白いことになってる。



「・・・はっ!?」



「大丈夫か? これ一応エリクサー渡しとくわ」



「え・・・えぇ、間違いないようです」



なんつう確認方法だと言われそうだが、実はこの確認方法が一番俺の証明になる。なんでも以前マリアーデが武器を貸し与えるために、城中の兵士に真化武器を持たせたらしい。



唯一適合、というか飲み込まれなかったのがあのミリアスマクリス姉弟だった。なので真化武器特有狂気に飲まれず、俺自身がアールと名乗ることで本人の証明になるとのこと。



ガバガバ感あるけど楽でいい。一応オネストカードの確認もしてもらうけどな。



「話は聞いてますが本当によろしいのですか? あの男思った以上に口が堅いです」 



「構わなねぇよ。元々俺がとっ捕まえたんだし。でも追い詰めすぎて逆に開き直っちまったか?」



「わかりません。しかし確かなのはまだ何一つ情報を漏らしていないということです」



「わかった。じゃぁ悪いけどしばらく二人にしてくれるか?」



「えぇ、団長からもそう言われていますので。しかし何かあればすぐに声を上げてください」



「あいよ」



「一番奥の牢にいます。このまま真っ直ぐに進んでもらえばすぐですので」



その他注意事項を説明された後、牢屋までの一本道の扉が開かれた。俺が会いに来た収容者は現在、それも逃げることは出来ず、生活すら一人ではまともに出来ないほどの重傷者。



「それではコチラの腕輪をつけさせていただきます。腕輪に仕込まれた術式が反応して奥の扉が開きます」





――――◇――――

強制装備:アクセサリー『牢獄室の腕輪』

――――◇――――





見張りの兵士が僅かに頭を下げてくれたのでお辞儀で返し、その道を歩いていく。その表情はとても辛そうだった。



両サイドにある牢屋の中には捕まった悪人罪人が放り込まれている。全員腕に手錠が繋がれている。あの手錠にはスキルの発動を無効化する能力があるらしい。



他にも様々な効果があるらしいが、あんまり興味がない。だってNPC専用の拘束アイテムらしいし。一時期時代人が強制的にNPCを従わせようとした事件があったらしいが、現在は運営の素早い対応と、治安を守る正義の象徴がいるため、悪質な事件は起こっていない。



ニコニーコの存在マジパネェ。



「おいおいおいおい!!!? なんだテメェ!!?」



「兄ちゃん、その武器くれよぉ・・・高く売れそうだぁ・・・」



「だせ!! 出しやがれ!!! もっと殺させろぉぉx!!」



牢屋の中から聞こえるのは囚人たちが俺を歓迎する声。何とも汚い歓迎の言葉もあったもんだ。



《『黙ラセルカ?』》



いや別にいい。気にするだけ無駄だ。



《《なんか言いたい放題言ってるわよ? 本当にいいの? アタシなら絶対壊してるわ!》》



こらこら。壊すとか物騒なこと言わないの。気にするだけ労力の無駄。それに相手にしないほうがこういう奴らには効くんだよ。



《《ふーん。よく分かんないわね》》



めんどくさいからな。人間ってさ。そんな会話を心でしつつ目的の場所まで歩いていく。やがて目的地と思われる扉に着いた。すると腕輪が反応し、扉に魔法陣が浮かび上がる。



カチリと鍵の開く音が聞こえると、扉は静かに開く。その奥にはひとつの牢屋。用意されていた寝床に転がっていたのは達磨状態の男。生きているのが不思議なくらいの状態だが、確かに生きている。



「よう。俺のこと覚えてるか?」



「・・・テメェ。そのツラ忘れるわけがねぇ・・・!!!」



ガチャリと扉が閉まり、声をかけると、男は凄まじい憎悪の表情とともにこちらを睨んでくる。当然だろう。四肢を切り落とし、男の尊厳を不能にした張本人だ。憎まない理由がない。



「あぁ、あぁ!! そうだ!! テメェに俺の人生はぶっ壊された!! 殺してやりたいほどになぁ!! 死んでもそのツラ忘れねぇ!!」



「モテる男は辛いねぇ」



寝床の上で失った四肢をばたつかせるように暴れる賊。もしも四肢が健在なら間違いなく牢屋の中は荒れてるだろう。腕もないため首輪をされている賊の男は見ていられないほどに、悲しい姿だ。やった当人が言う事じゃないけど。



「誰が来ても変わらねぇ!! 特にテメェなんぞには絶対に何も話すことなんてねぇ!!!」



当り散らすように男は証言を拒否する。ほかの兵士相手でもこの姿勢を崩さず、かと言って拷問するわけにも行かず兵士たちは困っていた。



一応罪人ではあるけど、こんな状態だ。拷問したくてもできる部位がないのだ。こうして拘留し、心を孤独で蝕むくらいしか出来なかったのだ。



だから俺が来た。こういう姿はあんまり人に見せていい姿じゃない。だからこうして一人でここにいる。



「まぁまぁそう言うな。話してくれや。お前のいる組織とか目的をよ」



「殺してやりたい!! てめぇをズタズタに引き裂いて殺してやりたい!!」



「話聞けよ・・・まぁこうなるとは思ったけど」



「あ゛ぁ゛ん゛!!?」



「真痕を刻め『痛撃信剣:ジンツウ』」





――――◇――――

『痛撃信剣:ジンツウ』の特殊能力『貫通撃』発動。

――――◇――――





「∀†∵‖‡」



ここは完全防音。いくら叫ぼうが外に音は漏れない。そういう場所だ。そして『痛撃信剣ジンツウ』の能力は一度傷つければ永遠に残る。それこそ死ぬまで。



俺が対象を定め、発動させれば、傷がまた疼きだす。言葉が死ぬほどの痛みが体を蝕み続ける。数秒悲鳴をあげ続け、苦しんでから一旦能力を解除。



「俺は別に教えてくれてとお願いしに来たんじゃねぇんだよ。答えろって命令しに来たんだ」



「ざ・・・・ざ・・・・け・・・な・・・!!!」



「口を開くまで何度でも味あわせてやる。この場所には“俺たち以外には誰もいない”し誰も来ない。だから止めて欲しくなったら知ってること話してくれや。真痕を刻め『痛撃信剣:ジンツウ』」



「」





――――◇――――

『痛撃信剣:ジンツウ』の特殊能力『貫通撃』発動。

――――◇――――





――――◇――――





「     」



「心が死んだふりしても無駄だ。多少の加減は効くんだ。お前の状態くらいはコントロールできる」



「     」



「・・・真痕をきざm「や・・・やめてくれぇぇ!!!」・・・真痕を刻め、『痛撃信剣ジンツウ』」



「dfしlkvんkfりおsdf;k!??!?!」



「ほら、加減して話せる程度には抑えてやったぞ。答えな」



ギリギリ人の言葉が話せる程度に加減をし、悲鳴を上げる程度に痛みを与える。ようやく搾り出すように命乞いを始めた賊の男。



「いぃいぃいい?!?!?! いでぇっぇ!?!?!?! あっがぁぁぁ!?!?!?!」



やめてくれ。もうやめてくれと悲鳴を絞り出す男の表情。そろそろ次に移ろうか。能力を解除し、男の息が整うまで待つ。過呼吸から荒れた呼吸になるまで待ち、そろそろいいと思ったので口を開く。



「今更だが勿論ただ話せとは言わん。話してくれれば切り落としたお前の四肢を元に戻してやる」



「は・・・・はぁ・・・!!?」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 良いじゃないの。拷問ができる主人公、良いわよん。 興奮しすぎてカマ口調になっちゃったわ。 四肢を繋いだ後は、また痛めつけるんですね?(ゲス顔) [一言] 『痛み』は良い。人の判断力を鈍ら…
[一言] アール止めたれ、その攻撃は最悪の場合正気度喪失する…………
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