319:久しぶりの幼馴染対決 Ⅱ
ここまで読んでくれている皆様はご存知だと思いますが、この作品の主人公アールはあくまでも最強クラスの実力者です。従って『俺TEEEEE』がない場合が多々あります。寧ろ『傲慢せずして何が剣聖か!』とか言い出す感じです。
それを踏まえたうえで本編をどうぞ
「ッ!!?」
「ルラァ!!」
叩き込まれるフックを避けるが、マー坊の攻撃は終わらない。デンプシーロールの様にも見える動きで絶え間なく拳を叩き込んでくる。
払い落とし、受け止め、また払い落としを繰り返していくが、その速度は落ちることなく、逆に加速しているようにも思えた。
「死ねよやぁ!!!」
右手に現れた方天戟が容赦なく横薙ぎに振るわれるが、こっちも充電は出来た。が、何か嫌な予感がしたので応戦するのではなく、後ろに下がりつつ『十六夜天雷』で衝撃を体中に循環させる。
その直感は正しかった。飛ぶ斬撃とまでは行かずとも、その一閃が振るわれた空間が僅かに歪んでいた。『白月』で受け止めてでのカウンターを狙っていたら片腕を持って行かれた可能性は十分にある。
「逃がしゃしねぇぞ!!」
「んだその動き!?」
まるで遠心力なんて存在しないことを示すように、マー坊の動きはスムーズ過ぎた。なぎ払ったはずの方天戟は全く同じ速度で、停止することなく突如向きを変えて一歩下がった俺に再び迫る。
即座に『投刀:抛』を抜刀してマー坊目掛けて数本投擲、そして二本は構えて方天戟の一撃に備える。
だがマー坊の行動は俺の予想を超えてきた。投擲した刃を気にすることなく、俺への攻撃に全フリしてきた。なぎ払うひと振りで軌道は逸れたものの、刃は確かにマー坊を貫いた。
ダメージだって少なくないし、多少の痛みは感じるはずだ。しかしマー坊の一撃を迎え撃った両手に持つ『投刀:抛』から響く一撃の重さは衰えない。いや、受け止めきれないっ!?
「チィッ!!」
受け止めから即座に勢いに身を任せることに切り替える。それと同時に両手に持つ『投刀:抛』が砕け散る。方天戟はそのまま俺の胸部を真っ二つに引き裂かんと迫ってきた。
身体に無理がかかるのを承知で背を大きく反り、薄皮一枚の差で回避に成功。マー坊のヤツマジで強くなってるじゃんかよっ!!???!
「死に晒せや!!」
「テメェに慣性はねぇのかよ糞が!!」
その言葉のとおりとしか言えない現象が目の前で起こっている。凄まじい勢いだったにも関わらず、なぎ払いは突きに変わり、マトリックス回避をしたにも関わらず、さらに追撃が襲いかかってきた。
背に腹は変えられない。より大きく身体に負荷がかかるのを覚悟でより深く、より鋭利に背中を逸らして回避に徹した。けどダメだ。まだ足りない。
『風瓶エリシオン』で体をさらに吹き飛ばし、雑巾がけのように地面を転がりながら態勢を整える。だがマー坊はそれにも対応してみせた。
離したはずの距離はまた埋まり、再度攻撃が始まる。回避したと思えば全く違う動きへ変わり、その一撃一撃を受けてはいけないと俺の第六感が叫びをあげている。
そしてなにより、その攻撃変化にパターンは全く存在せず、理論上最強の追撃、最適の追撃、最悪の追撃と、全く異なるパターンで攻めてくる。
目を見ても視えない。まるで理性ではなく、本能的に攻撃を繰り返している獣のような連続攻撃。先手を譲ったことを既に後悔しているくらいには状況は最悪だ。
だからこそ、俺も想像外の動きで対処して虚を突く。
「片腕くれてやる!!」
振るわれた方天戟の刃に自ら右腕を突っ込み、刃を肉に埋める。凄まじく痛いが切り落とされることはなかった。そして同時に荒れ狂う勢いを全て吸収したことで、マー坊の動きが止まる。
「『天翔サジット』!」
その隙は逃さない。右腕を支点に俺の間合いへと半ば強制的にマー坊を引き込み、左手に持っていた『投刀:抛』を心臓へと突き刺した。
「がっ!!」
突き抜ける衝撃はマー坊の分厚い身体を突き抜けて、背後に白い花を大きく咲かせた。急所貫いたんだ。そう簡単に動けるようなじょうt
『ギィ!!』
『『LAaaaaa!!!!』』
――――◇――――
『艶姫鳳戦刀:コンゴウ』特殊能力『想愛』発動
『慧眼ノ眼装』特殊能力『超回復』発動。全回復残り3回
――――◇――――
「ガァッ!!!?」
右腕と鎖骨から上を一直線上に、前から後ろ、そして内部までを襲ったのは激痛だった。この距離はまずいと判断した次の瞬間には、格好など気にせず無様と言えるような転がり方でその場から離れていた。
「ちきしょう・・・イテェよこの野郎・・・!!」
「こっちの・・・セリフだ・・・ボケ・・・!!」
状況確認。俺は確かにマー坊の心臓を穿った。そしてマー坊も俺を輪切りにした。あの状況にも関わらずだ。確かにひるんだ。目を見開いて上を向いていた。それなのに、マー坊は即死せず、反撃してみせた。
切られた箇所から流れている血と、全身に走る激痛に顔を歪ませる俺と、大きく穴の空いた心臓部を抑えるマー坊。どちらも致命傷にも関わらずまだ生きている。
自分のことはまだわかる。スキルと特殊能力で事実上の復活をしたのと同じだ。でもマー坊はなんだ? 復活では今の動きは出来るはずはない。
わからないことしかないが、ただ一つわかるのは、目の前の相手は化物だってことくらいだ。既に穿った心臓部は光で塞がり元通りになりかけている。俺も同じく切断部が接合した結果、元に戻っている。
「どうだこのやろう。後悔したかよ」
「あぁバッチリした。なんだテメェその能力。化物だろ」
「そういうお前もなんだその再生能力。バケモンじゃねぇか」
「「化物で結構だよ!!!」」
『艶姫鳳戦刀:コンゴウ』、抜刀。『投刀:抛』では荷が克ちすぎる。そして完全治癒が済んでいないこの状況。使うのはコイツ一択であった。
再び俺たちの距離が0になる。だけどさっきと違い、今度はお互いが攻撃を繰り返す。マー坊のクソ軌道攻撃を撃ち落として、そのまま体を突き刺す。撃ち落とした方天戟は軌道を変えて俺の足を切り裂く。
そしてお互いそれぞれのスキルで傷が瞬時に回復。同時に再攻撃を開始。突き刺した刃をそのまま抉り斜め下へと大きく切り裂いた俺。マー坊はそれに答えるように、俺の肩ごと左腕を切り飛ばす。
それをお互い気にせずに互いの武器を衝突させ、その勢いで距離を取る。俺は吹き飛んだ腕取り、マー坊は傾いた体を抑えて即座に回復する。
身体から大量の血液が無くなったため一瞬立ち眩みを起こすが、それも『帰回愛』の効果で補っていく。それも大量に。その量が多すぎて視界が赤く染まるが、気にしてられない。
お互いに合わせたかのようなタイミングで距離を詰め、俺たちはまた獲物を振るう。今度は防御を捨てずに武器と武器が激しく火花を散らす。
手数が足りない。だからもう一本。『痛撃真剣:ジンツウ』抜刀。大振りの『艶姫鳳戦刀:コンゴウ』と、その隙間を埋める『痛撃真剣:ジンツウ』による攻撃。マー坊はそれを的確にさばいていく。
慣性の法則ガン無視のその動きは怪物という以外には言葉にできない。衝撃を全身に駆け巡らせて、身体強化を行ってるとは言え、そんな怪物相手に立ち回っていれば、身体も悲鳴を上げる。
全身から聞こえる嫌な音。時折血管が切れて、皮膚を貫き血が飛散する。それすらも癒して癒し尽くす『艶姫鳳戦刀:コンゴウ』の『帰回愛』。だが痛みは消えない。
と言うか既に全身痛すぎて感覚がマヒり始めている。少し動くだけで全身が悲鳴を上げるかのような感覚だ。でも、ここでペースを崩したほうが一方的に殺られる。
だからこそ、この感覚。命をかけた全力勝負。たまんねぇ。全力をかけてもいい相手がこんなに身近にいた。
「は・・・はは・・・・ハハハ・・・!!!」
「く・・・・くくく・・・・・ククククク・・・!!!」
「なぁ!! 楽しいぜマー坊!! まさかお前が俺をここまで熱くするとは思いもしなかったぞォォ!!!!!」
「おいアール!! 楽しくなってきたぞ!!! こんな気持ちは久しぶりだぜェェェェ!!!!」
「「だから俺が勝つッ!!」」
だからこの勝負。絶対勝ってやる。
幼馴染が強くならないと誰も決めていない。エクストラとエキスパートでは強くなる方法が別物なんです。忘れがちかもですが、このゴリラも最強クラスの怪物です。
今更かよと思われるかもしれませんが、皆さん、いつも感想くれて本当にありがとうございます。かなりモチベーションに繋がっているので感謝の気持ちしか出てきません。
なので、これからも感想下さいお願いしますm(_ _)m




