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317:三国会合 Ⅳ

剣災は最初から隠れていた二人に気づいていました。



王国サイドの人たちは、突然現れたように見えた俺とマリアーデに驚き、ルシオンたちは『そこにいたんだ』的な表情でこちらを見ている。



「悪いなアルベルト皇帝。バレてたわ」



「気を抜いていたようだな。余も少々驚きを隠せなかったな」



「いいえ、少なくともお二人に守られているとわかっているからこそ、我らはこうしていられるのだ。逆にお二人にこのようなことを頼んでしまって申し訳なかった」



今度はアルベルト皇帝、そしてシルフィア始めとする帝国サイド全員が俺たち二人に頭を下げた。またポカーンとするルシオン一同と、状況が全く掴めてないのか、王国サイドも理解が追いついていない。



「ジキイド公爵、ジルヴァ殿。カイラ女王。隠すような事をしていて申し訳ない。彼ら二人には万が一この場を襲撃しようとするものを排するために待機してもらっていたのだ」



「申し訳ないなこの場にいる皆さん。まぁ危害を加える気はないから安心してくれ」



「こ・・・皇帝陛下!? 彼らは一体?!」



残る思考を総動員して発言したかのような振る舞いを見せる公爵。そしてこれは皇帝陛下のちょっとした仕返しになるのだろうか? 軽い笑みを浮かべていた。



「お前とは会ったことがないが、王国の者からすれば余達の名を聞いて知らぬとは言わせんぞ?」



それに乗るようにマリアーデが笑みを浮かべる。楽しそうだなぁと思いつつも俺も悪乗りをしてみる。



「知らなくても仕方ないんじゃないか? 俺たちはある意味で王国にとっては故人でいないもの扱いっぽいし」



「ッッッ!!?」



顔強ばった。実はちょっと鬱憤溜まってたからスッキリ。カイラのこと俺は絶対に忘れない。



「しかしただ名乗るだけで面白くないな。愛弟子、なにか無いか? 得意であろう? やれ」



「俺に振るのかよ・・・しかもやれってか」



一応これ生中継されてるはずなんだけどな。普通に名乗って穏便に済ませるのが一番いいと思うんだけど。



誰かなんか無いか・・・ってオイチーザールシオンニコニーコ。なにお前らまでワクワクしてんだよ。視線がすごい。『名乗るの? 名乗っちゃうの? 期待していい?』的な視線を向けるの止めなさい。



あぁ何でだろう!? 見えないのに大多数のプレイヤーから期待の視線を向けられてる気がするのは絶対気のせいだと思いたい!



《《主アンタエスパーなの? 何か外凄い盛り上がってるわよ?》》



《《特撮ヒーローみたいなのとかを期待してる声があがってるそうですよ~》》



知りたくなかったよこんちくしょう! えぇいこうなりゃどうなっても知らねえからな。後先考えず名乗り上げてやろうじゃねぇか。



「俺の名はアール。過去より目覚めた古き人。新たなる時代を見届けるために現世へと舞い戻ってきた五代目剣聖の名を冠する剣士だ。俺の名を未来永劫覚えておけ」



「なるほど、良いなそれ。では余も名乗ろう。余はマリアーデである。愛弟子アールの目覚めと共に、世界へと回帰した四代目剣聖を授かりし剣士である。愛弟子共々我らの名をその魂に刻み込んでおけ」



反省も後悔もしていない。マリアーデもかなりノリノリだったので良しとしよう。ちなみにだが、この時掲示板の書き込みはすごかったらしい。



曰く、圧倒的強者感が滲み出ていたとか。





――――◇――――

・限定特殊ワールドシナリオ『皇帝からの招待』:クリア

・クリア報酬:EXジョブ『星読み人:星彩』のスキル強化

・時代は新たな扉を開く。その先に待つのは一体なんなのか。答えは今を生きる者にしかわからない。

――――◇――――

強化前

・『星読み』

対象一人にランダムで3つのステータス『攻撃力・防御力・魔力・命中率・素早さ・HP・MPのいずれか』を自身のステータス数値の15%~26%分ランダムで上昇させる。

※ステータス上昇効果は重複する※

――――◇――――

強化後

・『星読み』

対象一人にランダムで3つのステータス『攻撃力・防御力・魔力・命中率・素早さ・HP・MPのいずれか』を自身の合計ステータス値を平均し、その25%~30%分の数値分ランダムで上昇させる。

※ステータス上昇効果は重複する※

――――◇――――





その後は想像以上に上手く話が進み、あっという間にまとまった。公爵は終始借りてきた猫のように大人しくなり、公爵の代わりにジルヴァが席に着き二人の王に対して全く怖気付くことなく話をしていった。



そしてその翌日。公爵は、アルベルト皇帝の言葉も聞かず、急ぎ今回のことを王様に伝えたいと言って護衛のふたりを連れて早々に国へ帰っていった。



残ったのはこれから交流をすることが本当に唐突に決まった六人の少年少女たちとジルヴァだけだった。



「王国は好かんが、あのジルヴァという女、余は嫌いではない」



「珍しい。マリアーデが好意を口に出すなんて」



「あれほどの者がまだ王国にもいるのだ。余は評価に値する者ならばきちんと評価するぞ?」



「それは知ってるよ」



「しかし好意ではない。嫌いではあるがあくまでも評価出来るだけだ。そこを間違えるなよ?」



それでひと悶着あって、マリアーデは今の王国から出たらしい。そのひと悶着がかなりの規模だったそうで、下手すれば国相手に戦争吹っ掛けられるレベルだったそうだ。本当に何があった?



「わかったよ。気をつける」



時刻は午前7時。ちょうど朝食時。普段人が多い食堂だが、今日はより多い。なんと城の中庭も開放して警護の任についてくれた時代人プレイヤーにも朝食を振舞っているのだ。



俺がポロっと『城の飯うまかったんだよ』と行ったことが広まったらしく、報酬は飯にして欲しいという要望が殺到したらしい。



その為本日は一人一食だけと制限された。ごめんねコックさん。忙しくしたの俺だから謝罪しつつ、特盛にしてもらった焼肉丼を食べ進める。



マリアーデがこの前食べてるの見て俺も食べたくなったんだ。ちなみにマリアーデは海鮮丼。当然特盛だ。



「朝からほんとに食べるね師匠。見てるだけで僕お腹いっぱいなんだけど・・・」



「ルークもそう思うだろ? 俺もこいつとは長いけどほんとに飯食うんだよこいつ」



「マー坊兄ちゃんもカレー大盛り食べてるんだから人のこと言えないと思うよ?」



「それを言ったら小僧もハンバーグではないか。妾達のように軽朝食ではないのじゃから発言権はないのじゃぞ?」



「「男子って本当にふしぎだよね」」



女子の方が神秘でいっぱいだろという言葉は飲み込んで。タレの染みた米をかき込む。うっめぇ〜。



「そう言えばアール。あの『転生者』の子たちってどうしたの?」



野菜ジュースを飲みながらレイレイが聞いてきた。隣にいるリークも気になったのか視線を向けてきた。



今この『プラネットクロニクル』で一番の沸騰ワードは間違いなく『転生者』だ。ファンタジーや二次創作では王道ネタとして定着した『転生者』。それがついにVRMMORPGにも参戦してきたんだ。



それもプレイヤーとしてではなく、NPCとして。言うなれば俺たち時代人は小説で言えば『現地主人公』。そして彼ら転生者は『チート能力持ち主人公』だ。



チートと言えば、俺のEXジョブ『星読み人:星彩』が地味に強化されたんだよな。今まではその対象となるステータス値の15~26%アップだったのが、平均ステータス値の25~30%アップに強化されていた。



普通に超強化である。今度使ってみよ。



それは置いといてだ。時代人は今、とてもワクワクしてる。転生者が一体どんな能力を持っているのか。どんな人柄なのか。今までどんな生活をしてきたのかとか聞きたいことはたくさんあるだろう。



掲示板『剣聖について』でも、みんなが俺に『これ聞いてきて!』と多数の質問が寄せられていた。曰く『プレイヤーの中で一番『転生者』とコンタクトを取れる』からだとか。



それだけじゃなく、既に帝国に『是非彼らとの交流をさせて欲しい』と名を上げる時代人が多数いる。それはもうお祭り騒ぎのように。



「今は用意されてる個室で休んでもらってる。この状況だから下手に表に出したらトラウマ物だからな」



「「「「あぁ〜わかる」」」」



「のじゃ?」



「思考を回せばわかりますよ発情ギン子。みんなが注目してるんです。餌に飢えた獣がごとく時代人が彼らによって集る光景を見て、若者がどうなるか」



「誰が発情ギン子じゃ!? たまにしか発情しにゃむぐ!?」



「ギン今朝。発情とか朝から叫ぶな」



「むぎゅぅ〜!!!!」



真剣勝負ジャンケンの結果、俺の隣を得たギンの口を塞ぐ。塞ぐって言っても手で塞いでるからな? 俺だってゲームの中でまで朝っぱらから盛りはしねぇよ。変な想像したやつ。正直に手を挙げなさい。(* ω)ノ



ちなみにもう反対側はリーク不動の席。こいつ俺がかかったジャンケンの時は絶対王者なんだよな。昔から。



「アールファッキン・・・・・・」



「朝からイチャイチャしやがって・・・モゲロ」



「クソっ・・・!! 俺だって・・・幼馴染がいれば・・・!!!」



「ちくしょう・・・飯は美味いのに口の中がゲロ甘い・・・!!!」



「あれよく見れば逆ハーとも取れる・・・!! マッチョフォーマルショタっ子に獣っ! あの場所にいる女の子誰かと代わってほしい・・・!! けどヤンデレ女子も捨てがたいっ!」



「あんた特殊すぎるでしょっ?! ちょっ!? 掴むな!?」



血の涙を流しそうなプレイヤーの声はうん。なんかごめんね。としか言えない。あと両刀の人。隣の女性プレイヤーが逃げようとしたからって確保するのやめてあげて。悲鳴あげちゃうから。



「でも時間稼ぎにしかならないよね? どうにかしないと暴動おき・・・はしないか。アールを敵には回したくないだろうし」



「俺云々はともかくそれなんだよ。結局どうにかしてプレイヤーの溢れる要望を発散しないと事態は変わらん」



俺が彼らと会って、皆の疑問に答えてもらい、その回答を掲示板に書き込めばいいんだけどずっとは出来ない。それに俺以外のプレイヤーでもいいけど、ルシオンニコニーコチーザー紫以外は多分許可が下りない。



彼らはもう帝国の大事な国賓だ。一般人ポジの時代人を会わせることは出来ないだろう。せめて掲示板に書き込んだ『転生者』関係のことを直接見せられれば話は早いんだけどな。



そうすればプレイヤーがいちいち付いていなくてもなんとかなるし、時間が経てばプレイヤーの疑問という名前の欲望も治まってくる。なんなら転生者が掲示板に参戦してくれると尚良し。



けどそんなにうまい話はない訳で、一体どうしたものか。



「おぉ! みんなおはよう! ここにいたのか!」



「ん、ニコニーコ。オイッス」



「こんにちわ。あれ? こういう時っておはようございます?」



「どちらでも構わないさルーク少年!」



「朝から元気だねニコニーコ。おはよ」



朝は低血圧気味なレイレイは少し鬱陶しそうに返事を返した



「実はアール君に用事があってね! このあと私とルシオン君で『転生者』の少年少女達と話すことになっているんだ! よければ一緒に話を聞かないかい?」



まさにいま考えてた事がやって来た。けど。



「悪いけどパス」



「おや、君のことだから絶対に来ると思っていたんだが」



「興味がないわけじゃないんだけど、なんつうかアレだ」



これから事を決める為には話をしないといけないんだけど、気分がついて来ない。それに俺、小難しいことあんまり好きじゃないんだよな。



あと、悩んでることへの回答が見つからないので今は動きたくないというのもある。そういった意味では口の上手いルシオンや、いると安心感があるニコニーコが、彼らと話したほうがいい答えが出てきそうだし。



「ルシオンいるなら上手いこと話まとめてくれるだろうから任せるよ」



「そうか! わかった! 彼らも君と話したいかもと思ったのだがそういう事情なら仕方がないな!」



それに、こういうのは俺よりも適役がいる訳だしな。



「なぁニコニーコ? レイレイを俺の代理にするのはいいか?」



「えっ? アタシ?」



そう。レイレイが独自に持っている情報網。そこに『転生者』の情報を追加してもらったほうが、俺よりも上手く扱ってくれると思うし。



「おぉ! レイレイ君か! それはいいかもしれないな! 彼らが知りたい話があるときは君の知識が頼りになるだろう! レイレイ君! アールくんの代理でお願いしてもいいかい?」



「わかったよ。あの子達から王国の情報も引き出せそうだし」



「ありがとう! では食後に中庭で合流しようか!」



そっちはニコニーコ達に任せよう。


堂々登場。

プラクロ沸騰ワード『転生者』

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― 新着の感想 ―
[一言] エロ目線でギンの口を塞いだと思ったろって? いやいや、そこはアールくんのパワフルな握力でもってのアイアンクローかと思ってました。 頭蓋骨が陥没するかってくらいのw アールくんって、お仕置き…
[一言] >変な想像したやつ。正直に手を挙げなさい。(* ω)ノ ノ
[一言] 思ってた\(^_^ )
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