19:VS幼馴染
非ログインユーザーからの感想をもらうのって設定変えておかないと出来ないんですね・・・・見落としていました。
もし感想をいただけると嬉しいです。これからもよろしくお願いします。
ブックマークがついに30を超えてました!皆さんありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
「『何をした』ね・・・それはどういう意味で聞いている?」
「全部だ」
全部か・・・・俺がチートを使ったと考えられる疑いと、何かしらのギミックを解いた結果倒したのか、それとも別の何かがあるのかという三つだと思う。
「マー坊。一つ確認する。アホ犬もとい『鋼牙ノ獣』に弱点はない。もしくは報告がない。それは確かだな?」
「ああ。間違いない。俺個人で少なくても50戦はやってる。有効打は与えたことがない。それどころかさっきこいつが見せた攻撃速度を俺は初めて見た」
『ふん。今までは見せるほどの実力を感じなかったのでな』
「煽るなアホ犬。それで?マー坊、何から聞きたい」
「・・・・・・いや、やっぱり言葉はいい。アール。俺と戦え」
――――プレイヤー『俺はマー坊』から対戦を申し込まれました。
「戦って理解する。正直言葉で聞いても理解も納得できないと思うし」
「なるほど・・・子供の時より丸くなってもやっぱりこういうところはお前らしいよ」
小さい頃。俺がまだマー坊もとい裕二と出会ってまだ時間が経ってなかった時。気に食わないことに対してはとことん食いつき、大人だろうと子供だろうと年齢関係なく喧嘩を押し付けていた裕二。
特に家の権力を盾にするやつ。年齢で偉そうにする奴。自分が気に食わない奴にはすぐに手を出していた危ない裕二の子供時代。
中学に入る前までに矯正しなければ今もきっとすぐに喧嘩をしていただろう。いろいろぶつかり合って話をして、現在のようにゴリラゴリラと言われる程には丸くなったがこういう時は心の中の本能がむき出しになる。
本当にほっとけない幼馴染だよ。
「・・・・ねぇマー坊。せめて・・・・」
「いいよレイレイ。止めるな」
「っ!?まさか励久!?」
「リーク。名前」
「そんなのいい!!!だって今怪我を!!」
「もう動く。痛みはない。それをわかった上でマー坊も挑んできてるんだよ。だから、な?」
「・・・・・何かあったら乱入するからね」
理解してくれて助かる。流石幼馴染で恋人だ。
「ちょっと女狐アンタ!!」
「なによメス猫・・・・・・っ」
「・・・・っ・・・・・・あぁもう!!アール!!あたしも乱入するかもだからね!!」
リークの表情から何かを悟ったのだろう。俺からはその表情は見えないがきっとそういう顔をしていたんだろう。それで同じように認めてくれたのは幼馴染補正があるからこそだ。本当にいい幼馴染だ。
「あいよ。マー坊もそれでいいか?」
「構わねぇよ。むしろ止めれるつもりなら止めてみろや。『愛殺者』と『闇夜忍』と戦えるならそれはそれで憂さ晴らしができる」
憂さ晴らし言いやがったよ。何に対する憂さ晴らしなのかは本人だけが知る。
両手を握っていた二人が離れ俺とマー坊二人が向かい合うように構える。マー坊は槍を、俺は剣を。
――――承認。プレイヤー『俺はマー坊』との決闘を開始します。
――――決闘開始まで30秒。
「全力で行くぞマー坊。後で泣くなよ?」
「泣かねーよ。逆に泣かせてやるよ」
―――――20秒
「・・・・・・・・アール」
「なんだ?」
―――――10秒
「わがまま付き合ってくれてありがとよ」
「気にすんな。いつものことだ。」
―――――5
――――4
―――3
「一つ言わせろアール」
「聞いてやるけど言おうとしてること言ったら多分キレるぞ?」
――2
「いいよ。怒らせるつもりで言うから」
「あっそ、なら遠慮なくキレるわ」
―1
「潰すぞチート疑惑者!!!!」
「やってみろや脳筋ゴリラ!!」
最初にぶつかるのはマー坊からだった。やはりリーチは最大の武器だ。左手に持つのは自分の身長の倍はある槍、いやこれは『方天戟』だな。刃が穂先から柄の半分までを覆っている部分を除けばよく見たことがある方天戟。
それを軽々と片手で振るうマー坊。空いているもう一方の手には既に別の武器が握られていた。
「二刀流ならぬ二槍流ってか!?」
「使いやすいからな!!」
握られたのは1mないくらいの長さの槍、通常盾と一緒に持つことが一般的によく知られるランス。それもかなり重そうな見た目のそれを同じく片手で軽々と持っている。
心臓めがけてまっすぐ伸びる方天戟を体の軸を動かし擦れながら回避、さらに距離を詰める。
さらけ出してあった脇めがけて剣を振るうが、マー坊はあろう事か突き出していた腕を急速に反転、なぎ払いへと変更し迎撃してきた。
「今のを避けるか!!」
「””視えた””からな!!」
目が言っていた。そう動くと。相手の目を見れば動きくらいはわかる。それを見破れないとまともに戦えない世界で戦ってたからこの程度は出来て当然。
体を捻り上半身を反ることで回避して右足の腱を落とすつもりで振るった剣は確実にマー坊の足へと当たった。だがダメージは全くないようでピンピンしている。
「””見えた””ってか!!面白い冗談だよっ!!」
なぎ払いの勢いそのままにランスを振るい俺へと迫る。ランスは先端にさえ気をつければ傷を負うことはない。
両足を地面から離し、なぎ払いを手で受け止めて自ら吹き飛ぶ。
「っ」
「どうした?動きが止まったぞ?」
励久もといアールがあの『鋼牙ノ獣』を倒した。それは間違いない。それは私にもわかる。アールを残してやられた私たち。
急いで戻っている途中、押し付けられたスキルが消えたことを知らせるテロップが現れた。
合流してみればアールはボロボロで、見たことない犬、バラバラに引き裂かれた木々を見ればここで誰かが戦っていたことはバカでもわかる。
その戦っていたのがアールだってこともあんな姿でいれば見るも明らかだった。
そんなことはどうでもよかった。アールがボロボロだった。私にとってはそれを治すのが最優先だしそのためなら高価なアイテムを使うことも構わない。
気にはなるけど後でいい。少なくとも私とメス猫はそれでよかった。けど、ゴリラは違う。
私だって幼馴染の一人だ。励久と私とメス猫とゴリラ。励久がいたからこそ私たちの縁は今もこうして繋がっている。
私は自分でもわかるくらいにはおかしい精神をしている。自分以外の知らない女が励久の近くにいるのが気に食わない。励久が止めるから我慢しているけど正直言えば消してしまいたい。
メス猫も同じくおかしな精神。自分はいなくても良いとか、いらない存在だとか言うくせに近づく女には容赦がない上に、励久にぺったりとくっ付くメス猫。いなくてもいいとか言うならいなくなればいい。その時の後処理は協力してやる。
けど励久が悲しむからいなくなれとは言えない。
私もきっと、いないといないでつまらないし、メス猫との言い争いはムカツクけど嫌いじゃない。
それくらいには幼馴染のことは理解している。だからゴリラの今回の行動も予想は出来た。
気に食わなければなんでも噛み付く。表立って見えない所では絶対に表に出せないような事も沢山している。
もみ消しているのが私の家の知り合いだから情報は嫌でも入ってくる。そんな凶暴な動物だったのがゴリラ。
中学に入る前に励久と大喧嘩して殴り合いをしたときは殺意が湧いた。メス猫はカッター持って今にも刺しそうだったし。けど励久は痛いはずなのにそんな素振り見せずにただただずっとゴリラと殴り合いをしていた。
やがてゴリラが泣きながら殴り、聞いてもない本音を垂れ流しながら殴っていた。今までやっていたこと、やらかしたこと。全部全部言ってて私でも縁を切りたいと思うほどの事件が口から出てきたのに、励久は何も言わずに喧嘩していた。
『だからどうした。そんなもんでお前から離れる俺じゃない』
たしかあの時言った言葉はそんな感じだった。そう言って顔面にめり込んだ励久の拳。それを受けてゴリラは地面に沈み気持ち悪いくらい大泣きしてた。
それからだ。このゴリラが丸くなり始めた。近づく奴はみんな潰す感じたった雰囲気は幾分か丸くなり始め、元から運動神経は良かったしガタイもよく、それなりに女にモテるようになった。とてもどうでもいい。
ともかくその凶暴性はナリを潜めていたけど、一線を越えれば昔と同じように凶暴になる。それは励久を陥れようとするゴミの存在を始末するときと、励久とするバカみたいな喧嘩の時。
現実で励久と喧嘩をするのはまぁいい。励久相手に一度もこのゴリラは勝ったことがない。高校に入ってからも何度かバカみたいな理由で喧嘩していたけど勝ったのを見たことがない。
でもゲーム内での喧嘩では話が違う。今日始めたばかりのアールとベテランの域にいるゴリラ。スキルの性能差、レベル差、装備の差。どれを取っても励久じゃ太刀打ちできない。
ゴリラが励久をボコボコにするなら私もメス猫も全力でゴリラの首を落としに行くつもりだった。戦闘狂相手に後衛と援護を主とする私たちがどこまでやれるかは知らないけどとにかく首を落とす。
そのつもりだったのに。
「またかよっ!!どうしたらそうなるんだよ!!」
「知りたかったら最後まで考えてみろよ脳筋ゴリラ!!」
「洒落臭せぇ!!」
目の前で起こる現象を私は理解できなかった。どうして全プレイヤー中最高物理火力と言われているゴリラの攻撃を受けてあんなふうにふわっと受け止められるんだろうか?
初の対人戦。
能力差は実力差で埋められる。
けれど実力差は能力差では超えることはできない。
持論です




