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308:剣を託せる資格

掲示板にアールを通して国から依頼がありましたとさ。ワールド確定ですね。byアール以外のプレイヤー


実はもうワールド進行中なんだよなぁ byアール



掲示板に依頼の内容の書き込みを終えて、俺は兵士に案内された先の部屋でベッドに身を預けてる。先程予定の確認とかは済ませてきた。問題はない。



掲示板的にはかなりの盛り上がりがあって人数の確保は問題なさそうだ。一応首都だけでなく、人数によっては各街での警備もお願いすることになるとのことだ。



三国の代表がこの国に集まるのだ。警備は万全にしておきたいのだろう。そして皇帝陛下はそれに合わせて俺たちプレイヤーとの友好関係を深め、協力体制を築きやすい環境づくりを一緒にやってしまう魂胆だろう。



ちょっとガバっている感じはするけど、それもまた面白いしいっか。



「なんだ愛弟子。随分と良い笑顔ではないか」



「うっさい師匠」



「ふっふっふ、膝枕されている愛弟子に何を言われても照れ隠しにしか見えんぞ?」



そう。案内された俺の、正確には俺たちの部屋はマリアーデと同室だった。だからといって何かするワケじゃないぞ? 何度も言うがシないからな?



ちなみに、実は寝起きだったりする。ひと眠りしてからログアウト、確認して再度ログインしたのが今現在の状況だ。リークが来るって言ってたから多分こっちじゃなくて現実の方に行くんだろうな。



少ししたらたたき起こされそう。



「〜〜♪」



そんなことを考えている俺の頭を撫ぜているマリアーデの機嫌は大変良い。言うまでもなく、と言うかさっき自分で言っていたが、俺に対する評価とか、思いとかを聞いて大変満足しているという。



余計な事を言って機嫌を悪くすることはないので特には触れないけど。あ、そうだ。それで思い出した。



「マリアーデ。あの姉弟なんだけど」



「む、ミリアスとマクリスのことだな?」



「そうそう。そう呼ばれていた姉弟の事なんだけど」



マリアーデから姉弟に預けられた『ユウダチシグレ』と『ジンツウ』。封印されているとは言え、あそこまで本来の力を発揮させて、平常心を保ち続けていたんだ。興味がないわけがない。



それにあの後直接話すタイミングがなかったので武器もそのまま持っているのだ。このまま俺のものにするとしても、返すとしても、一度話をしないとダメだろう。



「その件なら後で彼奴らから出直すと言っていたぞ。ちょうどお主は寝ていたのでな」



「ゲッ、じゃぁ俺この状態で寝てる姿見られたの?」



「無論だ。あの反応はなかなかに愛いものだった。今の愛弟子ほど顔は赤くないがな?」



「〜〜〜っっっ!!!」



畜生! 黒歴史また作っちまった。しかもNPC相手で、言うならば弟弟子に。うっわ、威厳も糞もねぇな。元から土下座してた俺たちにあってないようなものだとは思うけど。



そんなとき、扉をたたく音がした。



「師匠。ミリアスとマクリスです。入ってもいい?」



「よいぞ。入れ」



「ちょっ!? マリアーデ頭押さえるなし!?」



噂をすればなんとやら。そんな姉弟が来たので起き上がろうとすると、マリアーデに頭をがっちりホールドされて身動き出来なくなった。



抜け出すためにもがくのだが、虚しく、残念ながら無情にも扉があき、その様子を姉弟にバッチリと見られたのである。マリアーデこの・・・いつか絶対仕返ししてやる。



「っ!? だ・・・大胆」



「えっと・・・これからそういうことするつもりでしたか師匠?」



「しても良かったのだがな。それからマクリス。余はお主たちの師ではない。師匠と呼ぶでないといつも言っているではないか。ともかく座れ。そこの椅子で良いだろう」



顔を赤くして、手で覆っているが、隙間からバッチリ見ている姉ミリアス。そして出ていこうとする仕草を見せつつ、マリアーデから師匠呼びを指摘された弟マクリス。



その間も抜け出そうと必死に動くのだが、この野郎。俺の脇に脚入れてホールドしやがった。俺の頭がちょうどマリアーデの腹部でバッチリ固定され、両手も恋人つなぎで身動きをできなくする徹底ぶり。



顔を覗けば『してやったり』と憎たらしいほど満面の笑みであった。



「『血涙雀』を使った罰だ。諦めてこのままでいるが良い。余に心配をかけた罰だ」



「・・・それ持ち出すか普通。はいはいわかったよこんちくしょう」



それを言われるとちょっと弱い。あと悔しいけど、心地がいいのも抵抗力を失わせる要点としてはデカかった。そっちの趣味はないけど、上半身の幸せ指数が急上昇してる。



マジで女性の身体って鍛えてても柔けぇのな。今度これ唯にもやってもらおう。そのまま食われるかもしれないけど。



《《変なこと考えるんじゃないわよ! エッチ!!》》



言葉を返すが人の思考を勝手に読むんじゃない変態ツンデレ娘。いやポンコツンデレ娘か?



「師匠。やっぱり大胆」



「全く、何度言っても直すつもりがないなミリアス」



「当然。私たちより強い。あと色々教えてくれる。師匠。もしくは師」



「見たな愛弟子。此奴らと余の関係はそんな感じだ。余の言うことを全く聞かんのに、師匠と呼ぶのだ。どう思う?」



「俺に振るなよ」



「余の愛弟子なのだ。弟子として正しい模範を聞かせてやれ」



「マリアーデの嫌がることをやってくれてありがとぅぎぎっ!? 締まってる! しまってるって師匠!?」



「全く、愛弟子。お主は可愛いやつだな。褒美に余が首を絞めてやろう。光栄に思えよ?」



足で気管を押しつぶすんじゃねぇよ!? 何げに器用だなおい!?





――――◇――――





数分後、ようやくバカみたいなやりとりも終えて、お互いに自己紹介をすることにした。



「改めてだ。五代目剣聖のアールだ。こんな格好だけどまぁよろしく」



「ミリアス。特務騎士団所属。よろしくです」



「マクリスです。姉上と同じく特務騎士団所属です。こうしてお話できて光栄です剣聖様」



戦闘中は物騒で冷たく冷酷な声だったが、こうして話す姉弟は普通に明るく優しそうな姉弟に見える。現実なら高校生くらいだろうか?



「よろしく。ところで特務騎士団って?」



「特務騎士団。陛下がふたりの王女の為に作った親衛隊。将軍の近衛騎士団と似たようなもの」



「僕と姉上がシルフィア様の、今各地を巡礼してるシルフィア様の姉で第一王女アリア様には別の騎士団が付いています」



なるほど。つまり言ってしまえば王女の護衛的なものか。でもそれなら何で前にシルフィアを助けた時にはいなかったんだろうか?



「シルフィア様。お転婆だから。勝手にどこかの街に行って遊ぶことよくある」



「ですので剣聖様がシルフィア様を助けてくれなければ、僕らの存在意義がなくなる所でした。その節でも、本当にありがとうございます」



お転婆すぎるだろ王女様。と言うか普通に剣もってモンスターと戦ってたぞ。しかも殺る気満々だったし。これは将来、ヴァルキュリアとか呼ばれるようになるんじゃないのか?



「シルフィア様。別名『戦姫君』って呼ばれることもあります。そこそこ強いです」



「あぁ、なんとなくわかるわ」



既に呼ばれていたらしい。ある意味将来安定してるな。



「本当にお転婆。だから特務騎士である私たちも大変」



「そっか・・・お疲れさん」



「褒められると照れる。ありがとう兄弟子様」



「こらミリアス。余の愛弟子に兄弟子はやめよ。他の呼び方にせんか」



「ん。じゃぁお兄様?」



ピシリ、と、マリアーデから聞こえた気がした。そして同時にマクリスにも何かイナズマが走った。



「姉上。それは名案です。剣聖様と呼べばマリアーデさんのことを言ってることにもなります。呼び方はそちらほうが良いでしょう」



「ダメだ!! 兄と呼ぶでない! 愛弟子はお主たちには渡さんぞ!」



「マリアーデは俺の母親かよ」



「師匠が相手でもこれは譲れない。なんか気に入ったから今度からお兄様って呼ぶ」



「姉上。久しぶりに素晴らしい発想です。それとマリアーデさんがそんな顔をすることも驚きです」



そんなバカみたいな会話が10分少々続き、結局ふたりは俺のことをアール兄と呼ぶことで落ち着いた。久しぶりにマリアーデが『ぐぬぬ・・』と悔しそうにしている顔が見れて満足もした。


この姉弟アールの大ファンです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 良いですなぁ。アールくんの黒歴史もっと増えろ。 そして『兄』と慕うNPC。これは・・・ルークくんとの修羅場の予感? もしくは、NPCにお兄様と呼ばせていると噂が流れてエールさんがマナちゃんを…
[一言] 修羅場だひゃっほう
[一言] マリアーデはやっぱりママだママリアーデだ
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