18:再開と疑問
ブックマークしてくれた皆さんありがとうございます。これからも頑張るのでよろしくお願いします。
それと誤字報告ありがとうございます。
「あ゛―・・・・」
『鋼牙ノ獣』撃破。正直もう動けん。アドレナリンの過剰分泌とテンションで今の今まで保っていたが気が抜けるともう動けん。
痛みが引いたとは言っても右足が復活していたわけではないのですごく痛いし、鞘の代わりにしていた両腕はちぎれそうだし指の一本も動かせない。
なので動ける気がしない。
「もしかしなくても襲われたら終わりだわこれ」
『だろうな。逆にまだ生きているとは驚きだ』
「・・・・んだよ。そっくりそのまま返してやるよ」
『馬鹿め・・・殺した程度で我を殺せるとでも思ったか』
光となって消滅したはずのギルファーが傷一つない姿でそこにいた。姿は最終形態のそれよりも小さいが、間違いなくさっきまで戦っていたギルファー・・・・いだだだだっ!!
「いでで!!傷を舐めるな!!」
『人間はよく言うだろう『唾つけておけば治る』と』
「それは度合いによるんだよ!いでででで!!!!バカやめろ!!!」
このアホ犬もしかして負けた腹いせにこのまま俺のこと瀕死まで持ってく気かよっ!そうは行くかこの野郎!!!
『お?なんだまだそんなに動けたのか』
「誰かさんに殺されるわけには行かんからな!!テメェこの野郎!!」
『その傷で我に勝てるとでも?』
「むしろ俺に勝てると思ってるのかよ」
『クックック・・・・!!!ただではすまんだろうな、貴様相手であれば尚更だ』
「・・・・・なら最初から言うな。あとアホ犬に貴様呼ばわりはされたくねぇ」
『”剣聖としての名”は知っているが”今の時代人としての名”は知らん』
あーはいはい。前々から知ってはいたが、完全に『剣聖』の続編コース確定ですねはい。改めて確定した新事実はとりあえず頭の端にでも投げ捨てとけ。
いや、俺としては最高なんだが俺以外のプレイヤーにとっては驚愕で衝撃の真実だから言うのはまずい。
「アールだ。その頭に叩き込んどけ」
『アール・・・良い名だ。ならば改めて我も名乗ろう。我が名は『鋼牙狼ギルファー』。人間どもは我を『鋼牙ノ獣』などと呼んでいたがそれは死んだ。故に好きに呼べ。だが犬呼ばわりだけは許さん』
何でも良いとか言ってるくせに犬ダメなのかよ。見た目は完全に灰色のシェパードのくせn・・・イデデデ!!?
『馬鹿にされた気がしてな?許せ』
「気がしたで足噛むな!!しかも右足!!」
『手加減はしたぞ?甘噛みというやつだ』
「怪我している方噛むのが性格悪いんだよこのアホ犬」
『その態度、懐かしいものだ・・・・』
いつつ・・・・ブドウまだ残ってたよな・・・・二個残ってたか。うんうまい。体に染みる甘さだ。もう一個食えばある程度は・・・・・・
「おいアホ犬。なに人のポーチ漁ってるんだコラ」
『手も使わず食うとは中々器用なものだ。それにしても意外と美味いではないか』
「この野郎アイテム食ってんじゃねぇぞコラ・・・・!!!」
コイツこそ何も変わってない。食物があれば勝手に手を出す食いしん坊。街行ったらまた無銭飲食確定じゃないか。言うこと聞かない癖に食物はいつも強請ってくるめんどくさい従者が仲間になったってか?
「おいアホ犬テメェ・・・・今度こそは無銭飲食するんじゃないぞ。したらひき肉にして捨てるぞ」
『出来るものならやればいい。なんだかんだ我らに甘かった貴様に出来るかはわからんがな?』
ふーん?へぇー?そうか。
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「上等だ!!もう一回蹴り砕いて身を以て教え込んでやる!!!」
『ならば我が勝てば食い放題ということだな!!!!』
再び互いに得物を構える。俺も少しは回復してるし、手は使えずとも体は動く。例え手負いでもお前にだけは負けてやらねぇ。ついでに勝って無銭飲食正当化しようとするところがずる賢い。
「いた!!アール!!」
『む?』
「リーク!!」
きっかけがあれば即座にぶつかり合う俺たちの均衡を崩したのはリークの声だった。街で復活してからここまで全速力で戻ってきてくれたと思われるリーク、その後ろから少し遅れるようにレイレイとマー坊が続いている。
さっき戦闘不能となった時の傷等はなく、砕け散った武器も元通りだった。
「アールっ!?腕がっ!!」
「ああこれか?これは」
「メス猫っ!!」
「わかってるわよっ!!」
ポーチから回復ポーションらしきアイテムを取り出し二人それぞれ俺の両手にかけてくれた。意外と染みるが痛みはそこまででもない。逆に温泉に入ったような心地よさが腕から体中に伝わってくる。
「うっわ・・・なんだよその状態・・・・そんなグロい状態普通なるのかよ・・・」
肘から下が四つに裂けていて血の代わりに光る真っ白な液体がポタポタと地面に落ちているし、なんか肉とか骨とかも見えてる。妙にリアルだから見る人がみればトラウマ確定だ。痛み?相当痛いぞ?
けどこれで痛みで叫んでたら其々の流派を継ぐものとして情けないと言われてしまう。俺はあくまでも剣聖ロールで行くつもりなので其の辺はしっかりやる。
「まぁちょっといろいろやってな?結果こうなった」
こうなった原因となる超越天匠流抜刀術『血涙雀』の欠点は一度使うと腕一本使い物にならなくなる事なんだよな。腕を鞘代わりにして摩擦を減らすことで刃の滑りをよくする『血涙雀』。
その速度は俺が使える剣術・抜刀術・体術含めても最高速度をたたき出せるから連発できないのが残念だ。
「アールちょっと痛いけど我慢して」
「せーのっ!!」
「???」
二人は裂けた腕をくっつけるように一つに合わせながらポーションをかけてくれる。するとどうだろう。さっきの感じとはまた違う心地よさが裂けた腕内部から広がっていき、神経が蘇るような感覚を感じた。
心地よさが体を包み、試しにと両手を動かしてみれば痛みは全く感じることなく、力も入る。体の動きにズレもなく元通りに戻っている。
「おぉ・・・」
「大丈夫?動く・・・よね?」
「うう・・・・えぐ・・・ア゛―ル゛ゥ・・・!!!」
我慢できなくなったのか泣き出してしまったリーク。とりあえず泣き止まそうと背中をさすってやる。レイレイもかなり不安そうに手を握っていたので握り返してやる。
「サンキューサンキュー、おかげですっかり元通りだよ」
「「ア゛―ル゛!!!」」
「わかったから泣くなって」
「いや無理だろ?特にお前がそうなったら二人がそうなるのは」
「死ぬわけじゃないし前線いたらこの程度の傷見慣れないか?」
「いや腕が裂けて中身ずれ落ちてるのなんて見慣れねーよ」
「お前は平気そうだな」
「現実が現実だからな」
流石医者の卵。人体の中身は見慣れているってか?いや見習いの段階で見慣れてるのはそれはそれでどうかとは思うけど。
「それよりアール・・・・悪いんだけど一つ聞きたいこと出来た」
マー坊が視線を向ける先にはギルファーがいた。俺と見比べるように何度も視線を動かし口を開いた。
「お前・・・・なにした?」
「ちょっとゴリラ。今そんなこと」
「黙ってくれリーク。お前に譲れないことがあるように俺にも譲れないことはある」
「・・・・・わかった」
マー坊の言葉は重く鋭い。真面目で本気だ。自分のプライドが目の前の事実を確認し、理解しようと必死ながらも冷静になろうとしている。それが言葉に乗っている。
リークは其の辺に関して鋭いので言葉で言うよりも本人に納得してもらうほうがいと判断したようで言葉を紡がなかった。レイレイも感覚的に理解したのか口を閉じながら手をギュッと握っていた。
「俺の傷が無くなった。俺ら三人がやられてから10分くらいでな。お前のところに戻るために全力疾走して来てみればお前は無事生き残ってた」
「そうだな」
「そしてだ。そこの銀毛のシェパード犬。見てくれは違うけど感覚的にわかった。そいつは『鋼牙ノ獣』だ」
「そうだよ」
「もう一度聞くぞアール。お前何をした?」
腕が裂けたアールの状態は簡単に言うと腕がタコの触手みたいになってました。




