14:現れた強敵
こんばんわ。ブックマークが前回より増えてて嬉しいです。
「ニルスフィア大森林のボスの情報いる?」
「いらん」
「じゃぁボス戦に関するプレイヤー関係の情報は?」
「それは聞きたい」
「女狐ザマァ!!」
「こんのぉメス猫がァ!!!」
「落ち着け馬鹿ども」
「「・・・・・・馬鹿は女狐だけよ/メス猫だもん」」
「やっぱお前飼い主だわ」
喧嘩ばかりの二人に挟まれながら歩き、五月蝿くなったらとりあえず止める。時々出てくるゴブリンは斬り捨ててボスが居るというエリアまで向かっている。
意外と遠いボスエリア。かれこれ30分程度だろうか、森の中を歩いているが一向にボスが居るような場所にはたどり着かない。
そもそも獣道すらない樹海みたいな場所を歩いている時点でまぁなんとなくこのルートが正規ルートではないことはわかるんだがそれでも遠い。樹海に対する作り込みが凄すぎだろ。
あ、ゴブリンアーチャーらしき気配発見。先手必勝だ。
「レイr「はいナイフ」・早いy「毒薬塗っといたよ」・・・・お前ら対応早すぎるって」
気が付けば綺麗な青色のドロっとした何かが塗られたナイフが手元にあった。確かにナイフか何かないかとは聞こうとしたけどここまでとはいってない。
何度も戦ってわかったが、実は臆病なゴブリンアーチャー。敵が接近しているのに気づくと距離を取られてしまう。なので一般的に一度投げナイフなどの遠距離攻撃で攻撃し動けなくしてから接近戦に持ち込むのが一番手っ取り早い。
生憎投げられるアイテムは持っていないからまた石ころで代用しようとすると『私たくさんあるからあげる』とレイレイから如何にも高級品感漂う刃が蒼い光沢を放つ自称”投げナイフ”をダース単位で渡そうとしてきたのでさすがに断った。
使い捨てのものでいいといえば今度はリークが『じゃあこれで』とか言ってこれまた今度は緑色に光り輝く刃のついた自称”投げ槍”を渡してきたので丁重に断った。だから俺そういう特注品とか身の丈に合わない武器が欲しいんじゃないんだって。
最終的に『使い捨ての上粗悪品』と言っていた普通の(?)投げナイフになんとか落ち着けたが毒薬を毎回塗ってあるのはどうかと思うんです。マー坊の奴はそれを見て笑ってるし。
「ふっ」
『ギャッ・・・・・!!』
投擲したナイフは吸い込まれるようにゴブリンアーチャーへ向かい、木の上でバランスを崩し地面に落下してきた。首と胴体がお別れをして、切り口からは絶対に吸ってはいけない青紫色の煙が立ち込めていたがな。
『ゴブリンアーチャーを倒しました』
『称号:[ゴブリンを蹂躙する者]を取得しました』
『レベルアップ!アールLv10になりました』
『SP15を取得しました』
これで幾度か繰り返した戦闘・・・・だよな?一方的過ぎるけど戦闘扱いにしとこう。ゴーレム相手に稼いでいた経験値が飽和しているようで一戦闘1レベル上がっている。
おかげでSPが150も溜まってる。
普通だったら1レベルでSP5だから30レベル上げないと手に入らないSPをたった11戦で入手してるんだから、序盤で持ってるジョブスキルじゃねぇわ『魔闘士の契約』
魔闘士の契約:レベルアップに必要な経験値が3倍になる。ただしレベルアップ時の取得ポイントが全て3倍になる。
称号:ゴブリンを蹂躙するもの
ゴブリン種モンスターを無傷で討伐する者に与えられる名。ゴブリン種との戦闘でアイテムがドロップする確率が上昇する。
称号に関しては今のところはいらん。この先にゴブリン系でいいアイテムドロップがあるなら話は別だが多分ないだろう。ゴブリンだし。
「うわまさかのレベルアップしたし・・・・称号『傍観者』・・・・いやマジで?」
「え?マー坊も?『傍観者』・・・・うわなにこれ便利じゃない?」
「えぇ・・・じゃぁ三人揃って取ったの?」
「三人って・・・お前ら全員同じ称号取ったのかよ・・・」
名前からして寄生プレイしてたら取れる称号だろうなきっと。こいつら俺の戦闘に手出ししてなかったし。
「傍観者の効果が『自分より50以上レベルの低いパーティーメンバーの獲得EXPが上昇』だってさ」
「なにそのパワーレベリング専用の称号」
「つけとこうか?」
「いらん。むしろつけるな」
「「「了解」」」
「そういえばアールはレベル上がったの?」
げ、その話振ってくるなよ。流石に簡単に上がりすぎだから正直に答えたらチート疑われるかもしれないじゃないか。けどまぁこいつらならそんなことは言わんか。
「ちょい色々あってな?蓄積経験値あったみたいでレベル10まで上がってる」
「お?もしかしてお前も訓練場篭って蓄積してから出てきた口か?」
確か訓練場ってレベル上がらない代わりに特殊な武器とかで指定されたモンスターと戦う場所だっけか?まさかそこでも経験値の蓄積あるとは知らんかった。
「もしかしてアール・・・三時間くらいやってた?」
「まぁそんくらいかな?」
「呼んでくれたらレベル上げでいいなら手伝ったのに・・・」
残念そうにするリーク。実際は違うから悪いんだけど呼べないんだわ。あそこ少なくとも今は一人用だし。
「練習がてらやってたんだよ。思った以上に面白くてな」
「あたし訓練場を面白いって言えるのきっとアールくらいだと思う。あたしはあんなのやりたくない」
「それに関してはメス猫に同意する。無限湧きのモンスターハウスとか地獄でしかない」
「そうか?俺は結構楽しいと思ったけど」
「「戦闘狂紛いは黙って」」
「ひでぇや」
雄二のやつ格ゲーでも百人抜きとか突発的にやり始めるしそういうのは大好物なんだろう。戦闘狂呼ばわりされてるのに若干照れくさそうにしてるのはちょっと引く。
「お?」
「ん?」
「あ」
「嘘」
上からマー坊、俺、リーク、レイレイ。
突然感じる奇妙な気配。ねっとりとした視線で見られている感覚。蛇に睨まれたカエル。ライオンを目の前にしたシマウマ。つまりあれだ。実力差がはっきりしている相手に狙われた感覚。
「うっわこの感じ・・・・マジでか・・・」
「こんな時に出てきやがって・・・・あの犬っころっ・・・・・!!」
「アールごめん。多分これあたしたちと一緒のせいだ」
三人はどうやらこの感覚の正体に覚えがあるようだ。それに自分たちのせいだと言ってるし。もしかして因縁つけられたプレイヤー絡みの何かなのか?
「言っても仕方ないし俺らで相手するしかねぇ。アール、隙見て全力で逃げろ。悪いけど今のお前じゃ足でまといにしかならん」
「ゴリラ後で首狩るよ?ついでに女狐消す」
「おいゴリラお前後でリスキルしてやるから覚えてろ。メス猫は毒殺でおとす」
「「あ゛ぁ゛!?」」
「いやこの場合はアールいても仕方ないじゃん?」
言い方に難はあるがそれだけの相手なんだろう。わざわざこんな初心者が沸く森でそんな強い奴来ること無いじゃん。それはそれとしてもゴリラの言い方には少しムカッとする。
「なぁ?何が出てくるの?ヤバイ奴なんはなんとなくわかるけど」
「クロニクルモンスター『鋼牙ノ獣』って文字通り化物並に強いモンスター」
「分身するし早いし強すぎる。弱点報告は今のところ無し」
「バグを疑うレベルで強い」
クロニクルモンスター
確か世界に何匹かいる特別なモンスターで『プラネットクロニクル』発売から今に至るまで一匹として討伐報告が上がっていないめちゃくちゃ強いモンスターのことだったはずだ。
そんな化物がなんでこんな初心者フィールドに出てくるんだよ・・・
「鋼牙ノ獣はランダムエンカウントなんだけど俺らあいつに傷跡されてるからなぁ」
「は?マーキング?」
「一定以上のダメージを与えるとつけられるスキルがあるの。『AS:鋼牙の傷』って言うんだけどそのスキルのせいで結構遭うの」
「は?」
「めんどくさいんだよね。普通はランダムエンカウントなんだけど、この傷跡残されると一定時間ごとにエンカウント。運悪いとボス戦中でも乱入してくるんだよね」
「へ?」
「ちなみに俺らが基本ソロでやってる理由の一つがコイツのせいだったりするんだよなこれが」
「臨時パーティー組んでボス戦やってる時にボス以上の強さ持ってる化物がどこでも関係なく出てくるから本当に迷惑」
「しかもアイテム盗めないから相手にしたくない」
嘘だろおい?お前らそんな化け物相手に何時も戯れついてるのかよ。どんだけやりこんでるんだよこのゲーム。
しかもボス戦にも乱入してくるとかストレスしかないじゃないか。素材集める為に狩ってたら乱入してくる強敵とかキレそう。
「じゃぁ何?俺らここで一回全滅確定?」
「「「かもしれない」」」
「マジか・・・」
うわぁ・・・萎える。そんな奴が今からこっち来てるとか正直嫌だ。まぁ三人が相手してくれるらしいから今回はそれに甘えて逃げるとしよう。勇気と無謀は全く違う。
前に言ったこと?時と場合によるんだよそういうのは。トップが勝てない相手に挑むほど俺はアホじゃない。特にレベル制度があるゲームだとそのレベル差が顕著なほど力の差が出てしまう。
そういう意味では剣聖にはレベルの概念がなかったから楽だった。修行して技使えるようになればどんな相手でもなんとか相手できないことはなかったし。リアルハードモード除く。
というか名前的になんとなくやな予感するんだよね。牙で獣だろ?それって限りなく狼連想するじゃん?俺が知ってる狼ってあの犬なんだけど・・・・
『逃げずに待ち構えたか。流石は我が認めた者どもよ』
「・・・・・・」
あれー?やっぱり俺こいつどっかで見たことあるぞ?すごく見覚えあるぞ?嫌なほど見覚えあるぞ?さらに言えばちょっと前に話題に出した気もするんだが?
『さぁ死合おうか、我に傷をつけられるか試させてもらおう』
現れそう語るのは全身を鋼の様な光沢を放つ牙のような毛皮で覆われている巨大な狼。口元で鋭く光る傷つきながらも立派に生える牙、相手を射殺さんと言わんばかりの眼光がコイツの強さを象徴している。
尻尾はノコギリのようにギザついておりなぎ払いでも喰らえば真っ二つにされることは間違いない。
いや、実際真っ二つにされるし毛に触れるだけでも割と危険だけどなこいつ。
『まぁ我が鋼剣すら未だ壊せぬキサマらには無理だとは思うがな』
鋼牙ノ獣は俺に目線を合わせもせず、傷跡を付けてある三人へと挑戦状のように視線を投げかけ煽る。この性格全く変わってないんだがこのアホ犬。
「ほざけ糞犬がっ!!この前食われた借りを返してやる!!」
「今日こそボロ牙へし折ってあげる!!」
「上等!!こいやぁコラァ!!!」
さっきまでのあいつらは何処へやら?表情が露骨にめんどくさいとかいやだぁ的なことを言ってたのにいざ対峙すれば敵意丸出しやる気満々殺意マシマシじゃないか。確かにムカツクけど。
ゴールデンウィーク長すぎて体がなまりそうですね。




