12:改めて
喧嘩するほど・・・・
「さっさと寄越せメス猫」
「うるさいな女狐。ほら」
場面は変わり街の外。あそこまで目立っては街中でまともな話はできないと判断したのでとりあえずフィールドに出た。
プラクロにて最初のフィールド扱いとされているこの『ニルスフィア大森林』のその一角。綺麗な川があったところで抱えていた二人を下ろし、掴んでいたマー坊の手を離した訳だ。
マー坊は特になかったが抱えていた二人から残念そうなオーラが漂っていたのは気にしないことにする。
少し休んでから改めて話をしようとした途端現在のようになった。
リークの手には『星屑の光結晶』が五つあり、宝石でも見るかのようにそれを眺めていた。
「うっわ・・・すごいねこれ。あんたどれだけソロで潜ってたのよ?瀕死して街に戻されたとしてこの数はおかしいでしょ」
「こっちで丸二日位よ。あの洞窟の地下二階にある古い井戸あったでしょ。その奥の方に隠しスポット見つけたの。そこで復活出来たからあとは周回してたのよ」
「嘘本当?あの井戸底見えなかったじゃない・・・・どうやって出たのよ?」
先程までの喧騒は何処へやら、なかなかによさそうな雰囲気じゃないか。とか思ってるとマー坊に肩を叩かれた。そして首を振られ二人を指差していた。
「これ以上は有料よ。対価を寄越しなさい」
「は?アールとパーティー組むの承認したでしょ?」
「それはさっきの結晶でチャラよ。二日で10個見つけてそのうち8個なくなったのよ?十分でしょ?」
「・・・・・・がめついメス猫が」
「黙れ女狐、むしろ今まで流れてなかった隠しスポット情報無償よ?感謝しなさいよ」
またこれだ。本当にこいつら仲悪いな。いや原因俺なんだろうけどさ。
「でもスゲェよな。あの二人がゲームとはいえお前いない状態でも、あの程度で済んでるんだし」
「マジで?」
あの二人現実では顔を合わせれば暴言の嵐。誰にも気づかれない程度の暴行は当たり前のようにやり合うあの二人があの程度・・・・だと?
「マジだって。いつも喧嘩始めたらかなり目立つし。毎回放送コードギリギリの言葉も結構飛び交うし、たまに殺し合いとか始まるぞ?」
現在進行形で罵倒の嵐が吹き荒れている。女性ががそんなセリフ言うんじゃありませんレベルの罵倒が鳴り止まない。
「普段から手が出てない時点で十分だろ」
「その点今後はお前がいるしパーティー戦とかクランとか組むだろうから嫌でも喧嘩は減りそうだな」
人を人柱みたいに言うんじゃねぇ。俺だって好きで人柱になってるわけじゃない。ただなし崩しに二人のストッパーになってるだけだ。恋人と幼馴染が喧嘩してたら止めるだろ。
じゃないと現実でも殺し合いとか始めそうな雰囲気あるし。
「ちっ・・・仕方ない・・・いくらよ?」
「アールがクラン組む時に私も入れてよ。それでいいわ」
「くっ・・・・!!!」
いつの間にか俺がクラン組むの決定してるんだが?いやいつかは組むだろうけどよ?始めたばかりの初心者だぞこっちは。お前らの方が上だろうが
「嫌ならいいわよ?さっきのゴーレさんに高値で売るから」
「・・・・・背に腹は変えられない・・・!!!・・・契約の印書ある?」
「毎度あり。あるわよさっさと書きなさい。でもあんたも馬鹿よね。あたしが嘘情報流してたらどうするのよ?」
「それはない。あんたは気に入らないけどあんたの性格は私が一番知ってる。その辺は疑ってないわ」
「あっそ・・・それで情報だけど・・・・」
やっぱり喧嘩するほど仲がいい。
よく喧嘩したり下手すると殴り合いしてる二人だけど利害が一致するか自分以外の誰かが片方に危害を加えてたらそいつ精神的にも社会的にも二人して潰していくから解らないものだよな。
そういえば前にナンパしてきたヤンキー共どうなったんだろう?生きてるとは思うけど。
「向こうも話まとまったみたいだしそろそろ行くか」
「お?・・・あぁそうだな」
すっかり忘れかけてたが俺のデビュー戦・・・ではないけどプラクロについて色々教えて貰う為に集まったんだった。レイレイは急遽増えたけど
「そういえば見たところアールのジョブなに?剣はあるけど・・・・剣士じゃないよね?」
「腕のそれ篭手装備?ってことは拳士?」
確かに見た目だけだと俺のジョブなんだか分からねぇよな。星読み人は特に。けど武器であるならなんでも使えるみたいだし便利なジョブだということはわかるからジョブ偽装くらいならできるかも。
「ジョブもそうだけどよ?その装備どうした?プレイヤーメイドだよな?」
「それ!私も同じこと思ったの!最初見たときレベルは1なのにプレイヤーメイド装備みたいだったからびっくりしたよ!」
「・・・・・メス猫が話しかけていたのは後でじっくり話すとして、装備どうしたの?」
まぁ気になるよな。初心者がこんな装備してたら普通は驚く。
「あー・・・・話さないとダメか?」
できたら隠しておきたい気持ちはある。けどこいつらには隠し事はあんまり良くないし口止めしとけば広めることもしないでくれると思う。
「いや、お前が言いたくないなら別に俺はいいよ」
「私もいいよ。アールが言いたくないことは言わなくていい」
「アタシも別に気にしないかな?びっくりしただけだし」
あ、いいんだ。ならお言葉に甘えて今は隠しておくことにしよう。
「「「けどジョブはサブでもいいから教えて」」」
ジョブはだめなのか。
喧嘩するほど仲がいい?




