3:始まりの街ニルスフィアにて
20200718 一年越しに修正しました。
プロローグが終わり、光が収まるとそこは異世界だった。レンガ造りの建物が目立つ中世の都会的な感じだろうか。
後ろには巨大な噴水が有りその噴水を中心に東西南北へと道が続いていた。どこもかしこも人で溢れており露店も多く見える。プレイヤー・・・ここでいう時代人と思われる姿をした者も多くいるし、エルフや魚人などの有名どころの亜人種の他にも見たことない種族が街を歩いている。
おっとそうだ。ステータスの確認をしておこう。ステータスに限らずそういうナビ的なものはそれを意識して瞬きをすればいいんだったな。けどエクストラモードでも適用されているのだろうか?
とか考えていたが意外にあっさりとシステムウィンドウが出てきた。ステータス確認とログアウト、持ち物確認しかなかったけど。
――――◇――――
『アール』
Lv1
HP 100
MP 20
攻撃力 11 防御力 14
魔力 5 素早さ 19
命中率 5 幸運 10
メイン職種・ サブ職種・
称号 なし
所持金 1000D
装備
武器 新人の剣(攻撃+5)
頭 なし
胴 スティールアーマー(防御+3)
腕 なし
腰 スティールコート(防御+3)
足 旅人の靴(防御+3 スキル[旅人の心得Lv1])
その他 木製の盾(スキル[ガード Lv1])
アクセサリー なし
[アクティブスキル]
・旅人の心得Lv1:レベル10以下の相手に与えるダメージが(スキルレベル×1.2)倍になる。
・ガード Lv1:攻撃を盾で受けると(スキルレベル×10秒間)、物防と魔防が+10される
所持品
・HP回復のブドウ(小)×5
・MP回復のリンゴ(小)×3
・スキル習得の書[旅人の心得Lv1] ×1
・スキル習得の書[復活Lv1] ×1
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ほうほうなるほど、最初の装備としてはこんな感じか。目を凝らすように装備の文字を見てみると効果説明のみが表示され、それ以外の武器の説明とかは表示されない。流石にそのあたりは出てこないか。さすがエクストラモード。
他にもいくつか何かないか調べてみたが特に目立ったものは見つからない。あ、ステータス表示の所に公開非公開の設定だけはあった。一応非公開にしておこう。
「おやや?これはもしかして新しい時代人かな?」
「ん?どちら様?」
設定しようとしたらどこからともなく目の前に現れたのは中学生くらいの女の子だった。
バトルドレスに身を包んだなんとも可愛らしい少女だ。
「いやーごめんね。見たときにもしかしたらそうかなー? って思ってたんだけど動かなかったから違うのかと思ったんだよ、ごめんね」
「いやいや気にしないでいいさ。俺はアール。君の言うように新しい時代人だ」
時代人、新しく誕生した特別な命を持っておりその種族は多岐に渡る。人間だけでなく獣人やエルフとして生まれた者でも、その命を持って生まれれば時代人と呼ばれるという設定だったはずだ。
「アール君ね、私はこの先の職業ギルドで働いてるミールって言うんだ。よろしくアール。早速だけど君のジョブは何かな? 見たところ剣士に見えるけど」
「ジョブか・・・今は無職だな。浮世人とも言う」
「へ?ないの?」
「おう。ない」
設定画面では職業選択の項目はなかったしてっきりゲーム内で取得するんだと思ってたんだが違うのだろうか。ミールはなんというか気が抜けたような顔をしておりまるで魂でも抜けたかのようだ。
「え・・・えっと・・・あ!! もしかしてこのあと職業を手にするんだね!!?」
「多分な」
そうかそうかと納得しているが、皆そうではないのだろうか? もしかしてあれか? エクストラモードはそういうところも含めてエクストラってか?
ってことはなんかあるな。絶対にある。エクストラモードだけが入手できる何かが絶対ある気がする。だって理由なくジョブなしで放り出すなんてゲーマーだったら怪しく思うだろ?
「それなら善は急げだよ! 私が案内してあげよう! すぐに職業は手に入れたほうが戦いには有効だし!」
「いやごめん、悪いけどギルドには後で顔を出すよ」
「ふぇ!?」
仮に、この状態でしか入手できないアイテムとか装備とかあったら逃すわけにはいかないし、イベントも何かあるかも知れない。いやある。真ルートクリア後に、リアルハードモードクリアを条件とした隠しルート作る頭おかしく素晴らしい企業だし無いわけがない。
「せっかく来たから街の探索してから行くよ」
「え・・・でも・・・危険だよ? 街中だけど時代人同士の決闘もあるし、質の悪い人も紛れ込んでるかも知れないよ?」
PKとかだろう。禁止されてるわけじゃなかったし。質の悪い輩もお約束パターンだな。クリアすると思いもよらない何かが手に入ったりする可能性もある。
それにこっちから絡まなければ基本的にはなんとかなるだろう。ダメだったときはその時考えよう。
「大丈夫だ、なんとかなるさ。んじゃ」
「あうぅ・・・ちょっとまって! せめてこれあげる!」
――――◇――――
・『ミール』から『アクセサリー:ほうき星のお守り』を受け取りました。
――――◇――――
手渡されたのはほうき星がなぞられた小さなお守りだった。
「それはギルドで一部の人に販売してるものなんだけど特別にあげるよ。それがあれば君を少しの間だけ守ってくれるから大事に持っていてね! ギルドは街の南にあるから絶対に来るんだよ! それと! 来たら私の名前出してね!! そうしたら私が対応できるから!!」
そう言ってミールは街中に消えていった。ギルドは街の南ね。覚えておこう。地図の表示なんてないので大事な情報は記憶しよう。もらったお守りはベルトに掛けられそうだったのでかけておく、見た目に合わないが仕方ない。
――――◇――――
・『ほうき星のお守り』を装備しました。
※次回以降も装備時のアナウンスが必要な場合は設定にて変更してください
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ほうき星のお守り
素早さ+5 命中率+5
1度の戦闘に1回だけ自分のHP以上の攻撃を受けたとき、ダメージを無効にする。3回効果が発動すると『ほうき星のお守り』は壊れる。
小さくウィンドウが表示された。これで装備されたようだ。この感じだとほかの装備も自分で着ないと装備されなさそうだ。早速色々解ったこともあったわけだが、改めて街の探索と行こうか。
――――◇――――
武器屋・装備屋・万事屋・アクセサリーショップ、プレイヤー露店にNPC露店。この辺はほかのゲームと大きく変わるものはない。
住民が住む住宅には基本的には入れない訳ではないが、完全に不法侵入になりヘイトを稼ぐ。NPCは同じ話をせずに本当の人間のように対応してくれる。自分の評判はすぐに街に伝わる。
戦い方にASのイロハ、エクストラモードでは基本的にステータス補正は受けられないので自分の体一つでやっていくしかない。スキル発動も完全に自分で行う。解除も同じく。正確には現状スキルはあってないようなものだと認識しているのが一番楽だろう。
他にもNPCにいろいろ聞いて、確認できることは粗方終わった感じだ。しかしエクストラ限定の何かは今のところ確認できていない。絶対に何かあると思うんだが・・・・
現在俺は街の北、住宅街や生活雑貨などを売っているエリアに来ている。この辺はプレイヤーがほとんどおらず、まさにNPCのための街って感じだ。作り込みが細かいなプラクロ。とは言え特に目立つ物は見当たらない。
何かないだろうか。そういえばこっちではもう夕方だ。ちょっと小腹が空いたといえば空いている。
「すみません」
「いらっしゃい。おや? 見ない顔だけどもしかして時代人かい?」
取り敢えずなにか食べようと思ったので気前の良さそうなおばちゃんがいた串焼きの露店で話を聞くついでになにか食べよう。
「ええ、アールといいます。お腹が減ったのでおすすめの串焼きを一つくれませんか」
「あいよ!そういえば時代人のお客さんは初めてだね。よし!自慢の肉串におまけで卵串も付けてあげるよ!お代は120Dだよ」
「ありがとう!ここにしてよかったよ」
受け取った串にかぶりつく。うん美味い。なかなかに肉厚で牛肉とも豚肉とも言えないがジューシーで美味い。ゲーム初の買い物がまさか食物になるとは考えてなかったがとてもいい。
「いやいや美味しそうに食べてくれるのは嬉しいね!ほら!もう一本上げるよ!」
「マジでか!ありがとう!」
これはいい感じだ。3本食っただけだが十分に腹は膨れた。
――――◇――――
・食事によりステータスに変化がありました。攻撃力+5 素早さ+5 持続時間4時間
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お? なにか食えばステータスに補正が掛かるのか。これはいい事を知った。持続時間ありだが結構長い。これ多分食ったものが消化されるまでの時間って感じだろうな。
あ、俺ステータスによる補正はないんだった。設定で次から出ないように変更しとこう。
「いやー美味かった。おばちゃんありがとう!」
「いいってことさ、そういえばアールはどうしてこっちに来たんだい?時代人ならこっちには用件はないんじゃないかい?」
「俺は色々見て回りたかったからな。そのおかげでおばちゃんにも会えたし」
いい事も知れたし上手い食物にも出会えた。これで後はなにか見つけられたらいいんだけどな。
「そうかいそうかい。それは良かった。あ、そうだ! もしまだ行ってないならそこの通りの奥にある『占いの館』に行ってみなよ! そこの占いは元気をくれるからあんたもきっといいことがあるよ!」
「ありがとうおばちゃん!」
よっしゃ、占いの館か、もしかしたらなにかいい情報をもらえるかも知れない。これで何かしら得ることが出来たら儲けものだし、得られなくても特に何もなしと踏ん切りがついてギルドに行く決心が付く。
おばちゃんが教えてくれた道を串を食べながら進んでいく。人通りは少なくなっていき、露店も減ってきた。
まさに住宅地という感じで集合住宅らしく建物が増えてきた。その奥、星を映し出している水晶の看板が見えてきた。建物自体は現実のマンションの下にコンビニがあるような感じで一階部分が全て館になっているような感じだ。
扉を開けると考えていた占い師の館というよりは小さな書斎のような感じの内装だった。その中央、綺麗な水晶球が置いてありその隣には美人の占い師姿をした女性がいた。
「あら、こんにちは、初めての方ね。私はこの館で占い師をしている『プラレア』といいます。占いを希望ですか?」
「初めまして。俺はアールといいます。時代人です。露店のおばちゃんに教えてもらってここに来たんです」
「時代人・・・時代人!? おぉ!! 久しぶりに来たよ時代人! うわっはぁ! 今日私出てて良かったぁ!」
なんか時代人って言った途端テンション上がったな。もしかしてあんまり時代人来ないのだろうか。と言うか素が出とる。
「ムッムン!! 失礼したね。久しぶりの時代人相手の占いなんだよね。私もたまには時代人相手に占いがしたいのにさ」
「初対面で言うのもあれだけど変わってるな、あんた」
いかん、つい素が出てしまった。
「お姉ちゃんにもよく言われるわ。ささ座って座って、あ、もう取り繕うの止めるよ。お代は一回100Dでいいよ」
「思ったより安いな」
キッチリ100Dを渡し水晶の前にある椅子に座る。対面の椅子にプラレアが座り水晶に手をかざすと部屋が一転し暗くなった。
「手を出してくれるかい?」
言われたとおり手を出すとプラレアはその手を握り水晶に近づけた。綺麗だった水晶はゆっくりと光り輝いていた。
「・・・・・・・・」
プラレアの様子に飲まれて俺も静かにその様子を窺っていた。一分、いや二分程度見ていても輝き続ける水晶はとても綺麗で、これだけでもこの館に来てよかったと思える程だ。
「・・・・・・・・そう、そうなんだね。うん」
ようやく声を出したプラレアは先程とは打って変わり、真剣な眼差しで水晶を見続けていた。
「占いの結果が出ました。けれどこの話はとても大事なことです。それを聞く覚悟があなたにありますか? アール」
その声には覚悟を試すような何かが篭っていた。
「勿論だ。例え何があっても俺はその答えを受け止めるさ」
もし時代人が持っていて当たり前のものを俺は使うことができないとか言われる覚悟はある。正直エクストラモードを選択していた時点で覚悟していたし。そんな俺の答えはプラレアにとっては良いものだったのか握っていた手を離し微笑んでいた。
「あなたの覚悟、確かに確認しました。では話しましょう。そして祝福します」
その表情は待ち望んでいた何かに出会えたかのような、やっと見つけた宝物を見るような目をしていた。
「私は今日この時、あなたに会えた運命に感謝します。私たちが太古の昔から受け継ぎし力。『星読み人』の資格があなたにはあります。もし、もしもあなたにその力を受け継いでいく覚悟があるのなら私についてきてください」
――――◇――――
『エクストラシナリオ:『星読み人の資格』を開始しますか?』
――――◇――――
まさかここがその目的地になるとは思わなかった。そして受け継ぐ覚悟ね・・・上等だ。
「俺は言ったことを曲げない。やると決めたら最後までやる男なんだ」
――――◇――――
『エクストラシナリオ:『星読み人の資格』開始します』
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