89:忍者ゴブリン対策会議
◇ゴブリン七将◇
双剣を使うゴブリン
道化のような格好をしたゴブリン
重盾ゴブリン
侍ゴブリン
忍者ゴブリン
魔剣士ゴブリン
???ゴブリン
総合PV400万達成しました!!
これも皆さんのお掛けです!本当にありがとうございました!
これからも頑張りますので、是非よろしくお願いします!
それから誤字報告や感想をくれる皆様ありがとうございます!いつも楽しく感想読んでます。色々詰めが甘い所とか、説明不足の点を皆さんからの感想で知り、追記したり返答して改稿したりしてますので、本当に助かってます。
あと、思いの外ルークの評判が良くて嬉しいです!個人的にも書いていて好きなキャラですので、これからも出番たくさんあります!
では本編へどうぞ!
街中が騒がしくなってきた。
判明した六体のうちの一匹、忍者ゴブリンの存在をレイレイが流したことで、今いるプレイヤーたちがローラー作戦のように周囲のゴブリンを探し始めたのだ。
それに続くように、または入れ替わりながらプレイヤーが行き来している。ついでにギルドで討伐依頼も受けていこうとするわけでギルドは現在大繁盛だ。その一角に俺たちはいた。
長テーブルを囲むのは俺とルーク、リークにレイレイ、マー坊とギン。俺の足元にギルファーのフルメンバーである。
ルークとの師弟関係を本人が認めたので、俺の今後の目的と、ルークについてを改めて全員に話したのだ。
もう二度三度目なのでルークも表面上は怯えることなく、注文したシーサイドフルーツケーキ1ホールを俺の隣でもぐもぐ食べていた。でもテーブルで隠した左手は俺の服をギュッと握っていたけど。
「さて、こうなるとうかうかしてたら先に獲物を取られちまう訳だ」
「それはそうですけどバカ師匠。それがわかっていてどうして情報流すんですか?バカだからですか?」
「お前・・・・最近もう自重しなくなったよな?」
「バカ師匠の弟子なので」
ついこの前までバカ馬鹿とは言っていたがここまでは言わなかったのに。これが反抗期なのか。反抗期で苦しむ親の気持ちがなんとなくわかった気がする。
それはともかく。
「忘れてるかもしれないから言うけど、今回のイベントの敗北条件を覚えているか?」
「・・・・・・・・」
ワンテンポ置いて顔を背けたルーク。覚えてないらしい。
「どこかの町がゴブリン達に落とされることだよね」
「リーク正解。ゴブリンに町を落とされることだ。普通のゲームならイベントで失敗なんて普通ないが、エクスゼウスなら街が滅びることすらもシナリオに組み込んでいても可笑しくない」
主人公に世界を滅ぼして夢を叶えろって言ってくる所だ。条件を満たせば簡単に滅ぼすくらいのことはしても不思議じゃない。逆を言えば、条件さえ満たさなければ町を守れるわけだ。
「街が滅びることと目的である忍者をルークに倒させることを天秤にかけた結果だ。人の命かけてまでやることでもないからな」
「ブーブー」
理解は出来るけど、納得はいかないようで、口を尖らせるルーク。こればかりは仕方がない。人命をかけてまで目標を達成するつもりはないのだ。魔剣聖ロールでやってるならともかく、剣聖ロールでやってるんだ。当然である。
「でもそうなると競争率上がるんじゃないか?この辺で出るなら初心者はもちろん、上の連中だって簡単にくる。特に14代目とお前がいるなら教えを請いにくる奴だっているし、獲物掠め取りに来る奴だっていないとはいいきれねーぞ?」
「もちろんわかってる。わかった上で情報を流したんだ。そして断言できるからな」
「何を?」
「忍者は多分初見じゃ倒せない。情報がある上でもな」
桜奏呼吸による気配の遮断。隠し玉である『魔進瓶ドラゴニックエリシオン』の存在。分かっていても簡単に攻略できるものとは思えない。
戦いの鍵を握るのは天匠流。イベント詳細にも書かれているようにそれは間違いない。少なくともレベル2に挙げた上で、高速の動きにも対応出来ると言う能力を持った上で対策を練る必要がある。
気配については風さえあれば場所はわかるのでどうでもいい。何度も言うが攻略の問題は隠し玉である『ドラゴニックエリシオン』なのだ。
防御力無視の攻撃、しかも忍者は二段構えの攻撃のため、復活レベル1では意味がない。レベル2以上でも、一撃くらい、そのまま二回三回と受ければ負ける。
更に突進であるため喰らえば吹き飛ぶので、体勢を立て直す必要がある。その隙だけであの忍者はこちらのHPを刈り取れる。
俺が何とかなったのはギンとギルファーがいたからだろう。いなければ、あのままもう一撃もらい泉送りにされた可能性だってある。
なので普通にやっている奴等は初見ソロではまず勝てない。だが多すぎれば奴の影打ちでの獲物を増やすだけ、少なくとも攻撃と防御を確実にこなせる2人以上のパーティーが一番いいと思う。
普通の奴が倒すとしたらだ。
「だからルーク。お前でも多分一撃は確実に受けると思う。でも勝てない訳じゃない」
「・・・・嫌な予感・・・・」
「ちょっと予定変更だ。お前に技を教える。三日かけて仕上げるからそのつもりでな?」
当てやすい奥義を一つ。ルークに叩き込む。速度は出ずとも使えるように位はなるはずだ。
「お前らどうする?基礎でいいならまた一緒に見てやることはできるけど」
「私は参加する。”探しもの”も大体目処がついたから」
「アタシは微妙かな。ゴブリンがまた動き出したならちょっと調べてみたいし」
「俺はパス。他の街でゴブリンの掃討戦が結構発生してるみたいだからその応援に呼ばれてんだ。悪いな」
「妾は参加じゃが毎日は無理じゃの。他の者らの修行もあるし、終わり次第途中参加じゃよ」
こうして、それぞれの方針が決定したので、俺たちも他のプレイヤーと同様に動き出した。
『これで13』
「がっ・・・・」
とある森の中。あるパーティーが一体のゴブリンと遭遇した。紫色の忍者装束に身を包んだゴブリン。他のゴブリン種とは違い言葉を話し、気配が消える奇妙な個体。
あるプレイヤーとの戦闘にて初めて存在が明かされたそのゴブリンの名は『忍者ゴブリン』
イベントでの目玉ボス『ゴブリン七将』のうちの一人である。
情報を知ったこのパーティーは自分たちが七将を誰よりも先に倒し名を上げようとしたプレイヤーたちである。その平均レベルは57。レベル的には上位陣へ片足を進め始めたくらいである。
プレイヤー8人、盗賊1名、密偵1名、魔術師2名、剣豪1名に戦士2名、狩人1名。
狩人の従者は相手の動きを鈍らせる攻撃ができる蜘蛛型のモンスター二匹、素早い動きと高いHPを持つ虎型のモンスターが一体、パーティー全員を支援する妖精型モンスターの計4体。そして密偵の従者にはとある街で仲間になった高い魔力を持つエルフのNPCが一人。
従者を含めて、総勢13にもなるパーティーはゴブリン探しの中、運良く目当てだったゴブリン七将の一人、忍者ゴブリンと遭遇したのである。
見つけたのならあとは倒すだけ。『侍ゴブリン』と言う規格外の存在は知っていたので彼らは油断せず、確実に倒すために作戦を考えて、この戦いに挑んだ。しかし、作戦はわずか数秒で破綻することとなった。
作戦は後衛職のプレイヤーと従者で相手の動きを阻害し、自由を奪った上で確実に、後衛支援職をしっかりと守りつつ、残り全員で攻めていくと言うかなり堅実な作戦で戦うはずだった。
だがどうだ。戦闘が始まった瞬間。忍者ゴブリンは姿と気配を消した。スキルによる気配探索にも魔法広範囲攻撃によるあぶり出しにも反応することなく、忍者ゴブリンは最初に狩人の従者全て葬り去った。
次に気配に敏感であり、尚且つ風魔法を使えると見たエルフの首にクナイを何本も刺し込み、数多くの穴を開けて、息の根を止めた。
その後は簡単だ。近接攻撃手段を持たない魔法職を殺り、気配に関するスキルを持つ密偵と盗賊の心臓に深々と小太刀で数回刺して『AS:復活』の効果も虚しく消滅。
残った前衛職はなぶり殺されるようにゆっくりとダメージを重ねていきやがて敗北。残っていたのはHPと防御力が高かった狩人のみ。しかし、抵抗叶わず戦闘時間約12分。
それが全滅するまでにかかった時間だった。
『弱すぎる』
ゴブリンは落胆していた。時代人の強さに。最初に戦った男はもっと強かった。
暴走した同胞たちを連れ戻そうとゴブリンが向かった先には、ほぼ一人でゴブリンを全て倒した男がいた。見た感じ、強さはそうでもないだろう。だが強い。
力ではない。ステータス上の強さならばゴブリンの方が強いだろう。そして今屠った相手の方が強いだろう。
だが、あの男はそんな物などただのまやかしだと言うような強さを持っていた。同胞である侍の言葉は正しかったのだと彼は身を持って理解したのだ。あの時死を覚悟した。だがそれ以上にそれほどに強く面白い相手である。
忍者ゴブリンの心が躍った相手だった。故にあの時の決着のつき方に納得が行かなかった。だから今日まで強そうな相手を見定めて”狩り”を続けてきた。しかし、来るのは弱いものばかり、しかも同じような奴らばかり。
目立つように動いても来るのはもはや見慣れた面々。この数時間程は初めて見たパーティーが多かったが、ゴブリンを納得させるだけの強さは持っていなかった。
『答えは出た』
忍者ゴブリンと呼ばれている個体はこの場から動くことを決めた。彼が率いる軍隊を連れて、ここから一週間は掛かるかも知れない。
だが、あの戦いの為に初めて会ったあの海岸へと向かうことを決めた。
どうせ彼らは軍を率いていても、最終的には己が思うままに動く。それにどこの街を落としても結果は変わらない。
ならば自分の縄張りよりも、強者がいる場所へ。
自分ですら気づかない戦いの味を知ってしまった忍者ゴブリンは、己の欲望、闘争本能の赴くままに侵攻を開始した。
目指すはエーテリア。そして己が恋焦がれるように戦いを求む相手がいる海岸へと。
星の歴史を決める戦いが一つ、始まろうとしていた。
ついに動き出した忍者ゴブリン。獲物は一人。
子鬼は闘争の味を知ってしまいもはや我慢することができないのである。つまり、そういうことです。
そして次回、遂にアールが行動を開始する




