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87:抜刀術

説明だけでかなりの時間を取られた模様。


一度見ただけでモーショントレースを完璧に済ませた変態企業。とある社員が笑顔(意味深)になったという噂あり。


関係ないですが、たまにボボボーボ・ボーボボが見たくなる衝動に襲われます。



結局、説明と技の披露を合わせて三時間かかった。



新スキル『UtS:継承者(五代目)』と、そのスキル詳細から明らかになった『UtS:剣聖流派』こと俺の使う超越流派の存在。



ヘルプを開くとバッチリ追加されてたので逃げられなかった。すごく大変だったけど、嬉しく思う俺もいるわけだ。



存在が明らかになった以上、俺と同じようなことができる奴が今後現れる。そいつと戦った時には、きっと俺はまた強くなれる。そう思えばワクワクが止まらないんだ。



それに剣聖物語の幼馴染『レイ』と同じくらい、いや、それ以上の奴と戦える。そう考えるだけですごく楽しみだ。



ただ問題は、そんな相手を生み出すには今のところ俺が鍛え上げるしかないということだ。それはそれで面白そうなのだが、そればかりになるのも面白くない。そのへんは運営も考えてくれると思うから気長に待とう。



「お疲れだねアール。はいこれ」



「サンキュ。ほぼ気疲れだけどな」



リークが手渡してくれたりんごジュースを受け取り、乾いた喉へ流し込む。やっぱり疲れた時は甘いものに限る。



「これでアールの作戦はほとんど完了したようなものだよね」



「だな」



何はともあれ、これで俺がまだエーテリアを拠点にしていることは、ほぼ全プレイヤーに伝わったはずだ。そしてルークが俺の弟子であることも広まる。あとは俺に毒を盛らせた輩どもを釣り上げるだけだ。



俺に直接来るか、ルークを通して来るかはわからないけどな。



ルークが名前も知っていれば早かったんだが、名前までは聞かなかったし、覚えていなかったそうだ。



とにかく、二回目三回目の毒殺を許すつもりはない。毒に関してはリークに任せておけばいい。この前のサブシナリオで貰った報酬だが、それを加工できる職人がいないのだ。正確には見つけられていないが正しい。



なので、毒の大本を断つ。ついでに恨みを晴らす。勝負の邪魔をしたのだけは絶対に許さん。



「それじゃぁ私行くね」



「おう、悪いけど頼むな」



「アールの為だから、それに私も今やりたいことあるから気にしないで」



リークはそう言って街から出て行った。今度ちゃんとお礼しないといけないな。



「バカ師匠!!買い物終わったから早く行こう!」



『この我に荷物持ちをさせるとはな。この小僧・・・・』



「いいだろ別に!鮫一匹バクバク食べたじゃないか!!」



買収されて荷物持ちにされたギルファーを引き連れてルークが買い物から戻ってきた。



「お使いご苦労さんルーク。それじゃ行こうか」








「199・・・・200!!」



「それまで。一旦休憩だ」



いつもの岩場に来た俺たち二人と一匹。ギルファーはいつも通り寝ている。俺はその隣に座りルークの稽古中。



本日二回目にも拘わらず、ルークの動きはかなり形になってきた。自分と同じくらいの刀だからあと四日くらいは出来ないと思っていたから、想像以上の吸収率だ。しかも少し息が上がっているだけで、そこまで乱れていない。



「バカ師匠。次は何回やるの?」



「同じ回数だ。100回やって一分休憩、200やって二分休憩のワンセット。これをスリーセットだ。とりあえず少し休んどけ」



「うん」



俺の正面に来て座り込むルーク。顔つきも前より男に近づいたな。この調子なら思っていた以上に早く技に入れるかも知れない。



「ねぇバカ師匠、もう一回聞きたいんだけど本当に僕が師匠の敵倒していいの?」



「もちろん。忍者はお前が倒せ。俺の標的は侍だけだ。それ以外はおまけだからな。誰が倒したって文句はない。だから忍者はお前が倒せ。しつこいようだけどな」



「・・・・勝てると思う?」



「勝てない戦いをさせるほど俺は鬼じゃねーよ」



実際カウンターを叩き込めば勝てる。二方向衝撃を持つ突進だが、一つを避けて二発目を復活込のカウンターを叩き込めば多分ルークでも勝てる。問題はあいつのHPがどれだけあるか、防御力がどれだけあるか。これに尽きる。



おそらくだが、基本ステータスはゴブリンと同じだろう。ただ一部分のみが特化した個体。それが今回のゴブリン達の正体だと俺は見ている。



侍が抜刀の速さがあると言う所から、おそらく素早さに極振り状態のゴブリン。



忍者は多分だけど命中率の極振りだろう。投げられたクナイの軌道が全て俺の喉に向かってきた事、そして風を防ごうとしてギンに襲いかかった時もよけられない軌道で小太刀が振るわれていたからそう思う。



となると残りは攻撃力・防御力・魔力・幸運・あとはHPってところだろう。



憶測でしかないから実際どうなのかはわからないけど。



「うん・・・バカ師匠が言うなら多分勝てるよね・・・・・・うわっ!?」



「自信持てよルーク。勝てるように鍛え上げてやるから」



「うん」



「それじゃぁ休憩終わりだ。景気付けに目隠し素振り砂かけ100回やろうか。10回毎に前振りなくかけるから避けろよ?」



「何げに難しくするなバカ!!!」



二時間で100回やりきったルークであった。






数日後、俺、ルーク、マー坊、ギン、ギルファーは海岸に来ている。



「ふっ!」



砂浜を無数の刃がえぐり上げ、砂が舞い上がる。そして地中に隠れていたオーシャンシザーを切り裂きその命を奪う。



鏡雀。本来は腰だめから高速で放つ抜刀術。今やっているのは体全体を使い刀を抜いて敵を切り裂く俺の鏡雀。



抜刀後の攻撃と納刀の速度を求めるという意味では本来の鏡雀には及ばないが、抜刀速度のみを求めるならばこれも結構速い。更にどんな体勢からも抜刀できるので、覚えておくとかなり便利だ。



実を言うと最初に教えてもらう鏡雀は鞘を動かさないのだ。



前に話したが鏡雀は腰から鞘と刀を一緒に前にだし、鞘が半分ほど出たら引き戻す、刀はそのまま敵に向かって放ち切り裂く。戻すときは再び鞘を前に出しながら刀を収める。



実はこれも俺が見つけた鏡雀の形だったりする。



実際(現実)の抜刀動画を見て、実在する人の抜刀を見たときに、これだと思い取り入れたのだ。



そのせいでちゃんと使えるようになるまで大変だったけど。今やっているのはそれが出来るようになるまでに俺がやっていた鏡雀の練習だ。



それをルークにもわかりやすいようにある程度ゆっくりと見せている。



「こんな感じだ。今日から実戦訓練だ。ルーク。できるな?」



「出来ないって言ってもやらせるくせに」



「当然。それじゃルークの目標は20匹、ギンは50匹だ。全部今の動きで倒せ。マー坊はそこで抜刀練習だ。始めるぞ」



「「「うん/おう/うむ」」」



ここは丁度海岸を全部見られる場所だ。エリアさえ動かなければちゃんと視える。リークとレイレイは別行動だ。なんでも毒に関することで動きがあったらしい。



結局レイレイにも応援を頼んだみたいで二人仲良く・・・・してるかな?



「しっかしアール。お前もとんでもないことやってるよな・・・21」



「自覚はあるよ。でもルークもやるって言ったんだ。最後までやりきるよ。あと体の軸が振れたからプラス30回な」



「うっ・・・・了解・・・・・24・・・・」



ギンはなかなか順調だ。少しぎこちないけど及第点だな。ルークはなかなか手こずっている。抜いた状態で戦えば苦戦はしないだろうけど、抜刀術で倒すとなるとやっぱり手こずるか。



「ルーク!落ち着いてやれ。焦らなくていい!!練習と同じようにやってみろ!!」



「わかってるバーカぁっととぉ!?!?」



よそ見した瞬間に攻撃をうけそうになったルーク。体を倒してギリギリで攻撃は回避したが、追撃をよけられそうにない。やむ得ずオーシャンシザーを蹴り飛ばして難を逃れたが残念。



「ルーク減点で追加5匹」



「声かけてきたのはバカ師匠のくせにぃ!!!!」



とか言いながら今度は綺麗に抜刀して真っ二つに切り裂いて納刀している。本人も驚いてるけど、力の加減と切った部分が噛み合えばあれくらいはできるようになる。



まだ無理でもいつかは今のを狙って出来るようにしていくつもりだ。



「お前は弟子も怪物にするつもりかよ」



「余裕あるなマー坊。追加100回いってみようか」



「ダァァァ!!?しまった!?いつもの癖でつい!?」



口は災いの元ってな。ほら頑張れよ。



「やっぱりプラス200回で」



「鬼じゃねーか!?」



「お前ならできるだろ?」



五時間かけてマー坊はやりきった。その隣では早々に終わり、同じく抜刀に精を出すギンと、ギンに遅れること二時間後に、合計32匹倒したルークが一緒になってやっていた。




今日のまとめ

1、何かの作戦実行中

2、ルークついに素振り修行から卒業

3、口は災いの元である。


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