設定[剣聖物語ー月が導く光と影ー] ※ネタバレ注意※ 『2019/12/11 更新』
設定集です。読みやすいように書き直したんですけど、読みにくかったらすいません。
1万文字は流石に疲れます。これで短編書ける気がする。
剣聖物語 –月が導く光と影―
◇プロローグ◇
『僕は伝説に名を残す男になるんだ!』
『僕は・・・・まだわからないや。でもいつか夢を追いかける男になりたい』
小さな森にある村。同じ日の夜、優しい月明かりが祝福するような夜に生まれた二人の少年は、それぞれ将来の夢を語り合っていた。
一人はおとぎ話の英雄に憧れ、強くなろうとしていた。もう一人の少年は明確なモノは見えずとも、確かな夢を抱いていた。
二人はいつも一緒に過ごしていた。嬉しい時も、悲しい時も、喧嘩したって決して離れることはなかった。
あの日を迎えるまでは・・・・・・
二人の少年が青年へと成長を遂げたとき、それぞれが追い求める夢の為に剣を取る。それはやがて、世界中を巻き込む大きな事件へと発展していく。
伝説は、世界を救うのか、それとも滅ぼすのか・・・・・・
◇キャラクター紹介(幼年期)◇
ヴァン(初期設定)8歳
・いつか夢を追いかける男になりたいと願う主人公。人と関わることが何よりも好きで、お願い事に弱い。ただ心は強く、どんな困難であろうとも前に進む強さがある。
レイ(初期設定)8歳
・おとぎ話の大ファンで、自分もいつかおとぎ話の英雄のようになりたいと願うもう一人の主人公。夢を叶えるためならばどんな困難であろうともやり遂げる決意がある。
フリル 6歳
・主人公が街で出会った騎士になることが夢の少女。同年代に剣で負けたことがなく、強そうに見えた主人公にも勝負を挑んでくる。
ワーク 7歳
・フリルの幼馴染。お転婆で危なっかしいフリルの事を放っておけない性格。父親が街の騎士団長であることを誇りに思っている。
シャング 11歳
・街の騎士学校に通う騎士の卵。いつか町を守る騎士団長になりたいと日々鍛錬を重ねている。
リーラ 12歳
・王都の騎士学校から交換留学生として町にきた騎士の卵。実力は王都騎士学校でもトップクラスである。
ガガードラ 45歳
・とある武術に精通する人物。主人公の剣に可能性を見出すと、武術を紹介してくれる。本人曰く45歳である。
◇ゲームの始め方◇
本作品にはオートセーブ機能が搭載されています。しかし一部エリアでは適応されませんのでこまめにセーブポイントでセーブを行ってください。
【はじめから】
ゲームを最初から始めます。
【つづきから】
セーブ地点から再開します。
【ゲーム設定】
ゲーム中の各種設定を行います。プレイ中でもメインメニューから変更可能です。
【エクストラ】
ゲーム中のイベントをもう一度味わうことができます。
◇ゲームの進め方◇
【主人公選択】
二人の主人公から一人を選択しゲームを開始します。名前の変更はここでのみ可能です。ゲーム中は変更できません。
【クロニクルシステム】
・エクスデウスがその技術の全てを注ぎ込み完成させたVR史上初の時間加速システムを搭載。現実での1時間はここでの3時間に相当します。
・ゲーム中、自分の行動全てが、イベントや物語の進み方・そして結末に影響を及ぼします。また、NPCとの話にも全て自分で受け答えしなければなりません。
※アシストモード※
ONにしておくと、会話や行動において、いくつかの解答例が表示されるようになります。
【成長システム】
・本作品は敵を倒すのではなく、戦いの経験と、鍛錬で得た力と感覚で、成長していくシステムを搭載しております。その為レベル表示などは存在していません。
フルダイブVRRPGだからこそ出来る、自分が経験を積むことで強くなる感覚・そして成長していく体の感覚を是非ご堪能ください。
【戦闘システム】
・一部を除き、決まった攻撃・防御モーションはありません。自分に最も合う戦闘スタイルを自分自身の手で見つけてください。
・また、時間と共に戦況と情勢は変化していきます。リアルタイムで変化する状況に合わせて戦い方を変えていきましょう。
【流派】
・ゲーム中、物語に大きく関係する流派の弟子となることが出来るイベントが存在しております。自分が惚れ込んだ流派の弟子となり、剣聖物語の世界で生きてください。
―――月光流
・弱き剣士が生み出した、優しくあり強くもある流派。あらゆる衝撃を自在に使いこなし戦う。己を守るために戦うのか、己が誰かを守るために戦うのか。それは自分次第である。
【仲間と従者】
・一緒に戦ってくれる味方のことです。戦闘中に死亡したり、イベントで死んでしまった場合は蘇りません。共に戦う場合は、味方の状況にも気を配るようにしましょう。
【セーブとロード】
・村や町に入るとオートセーブが行われます。また、メニューウィンドウからセーブすることも可能です。また、街の外でもセーブポイントにてセーブすることが可能です。
【その他】
・この他にもゲーム中様々な追加要素が存在しております。詳しくはご自分の目で確かめてください。
2XXX年、オンライン説明書・追記
――――――以下、ネタバレ注意――――
【リアルハードモード】
・剣聖物語を愛してくれた人に捧げる極限を超えるモード。成長システムでの成長が自分の身体能力に反映されることがない。
VR機器から脳波を読み取り、身体能力をゲーム内で全て再現した状態。成長するにはプレイヤー自身が成長し、感覚と身体を鍛えるしかない。また、全てのアシスト機能が無効となっているため、痛みや疲労なども、現実と同じように感じる。
【各ルート】
・剣聖物語では選択した主人公によって物語の目的が違います。大筋は異なる進行になるかもしれませんが、たどり着く場所はほとんど同じです。下記にはエクスゼウス社員が進んだルートを記載します。プレイヤー皆様の進んだ道とは違うかもしれませんが、参考にしていただけると幸いです。
【剣聖ルート『夢を探す剣』】
・村が滅び・町に大きな被害を引き起こしたあの事件から数年。19歳になったヴァンは、廃墟となった村に一人住んでいた。そんな彼の元へ、今日も一人の少女が訪ねてくる。それは美しく成長した騎士を目指していたフリルだった。
彼女はヴァンに『もう一度、騎士を目指さないか?』と何度も誘いをかけていた。だがヴァンはそれを断り続けている。誘いを断り、その後、彼女は彼の家で食事を取る。それが彼らの日常になっていた。
『今度私は王都に行きます。そこで騎士になります』
幼い頃からの夢を叶えるために努力を続けてきたフリル。彼女が王都へと旅立つ。この日はそれを伝えるためにこの土地へとやってきた。『一緒に・・・・来てくれませんか?不安なんです』
数年前の事件で両親と幼なじみであるワークを同時に失った悲しみから、今度こそ大切な人を守りたいと願う彼女は、今後のヴァンとの関係が変わることを恐れながらも、その決意を口にした。
いつもどおり断るが、その長い説得の末、ヴァンが折れる形で彼女と共に王都へと向かった。今のままではダメだと、ヴァン自身も解っていたのだ。
王都で始まる新しい生活。変わろうと必死に行動するヴァン。そんなある日、一人の男とヴァンは出会う。彼は『○○流』の継承者と呼ばれる存在で、自分のあとに続く者を探しているという。ヴァンを見たとき、ヴァンこそが自分の技を継承する人物だと確信したという。
『今はまだ弱い。だがその心は強く、今も燃え上がろうとしている』
男の言葉に感化されるように、自身が変わるための何かを得るために行動していたヴァンは男の元で修行を開始する。
自分を変えるために日々の修行に励む中、再会したかつての友人に、新しく出会った人々、そして事件以来会うことすら叶わなかった幼馴染レイとの再会。
時に戦い、時に共闘しながら、彼らとの絆を深めていくヴァン。そしてレイの口から聞かされた恐るべき計画。自分の名を知らしめるため、そして歴史に名を残すために世界中を滅ぼしかねない恐るべき計画に参加しているというレイ。
ヴァンはその計画を止めるために、夢に取り憑かれたレイを取り戻すために戦うと決意を新たにした。
だがその戦いも無駄となり、世界を破滅させる計画が実行に移された。人々は先の未来に絶望し、希望を失っていく。
けどヴァンは戦い続けた。強大な敵との戦いと強敵との死闘。そしてレイと何度も戦いを重ねながらヴァンは強くなっていく。どれだけ人々に無駄だと言われても、狂人になってしまったと言われ、人々が彼から離れて言っても、ボロボロになっても、彼は戦うことを止めなかった。
ヴァンの戦いは、やがて人々に勇気と希望を与えていく。
崩壊した前線の立て直し、救出を待ち望んでいた人々の救助。そして恐怖の権化と呼ばれた怪物や敵との戦い、そして勝利していくことで、人々は彼に希望を見出していった。
『彼一人に戦わせてはいけない』『彼と共に未来を』『今度は自分たちが彼を守る』『二度と失わないために』
ヴァンの勇気が、ヴァンという希望の光が世界中を照らすとき、世界は闇に反旗を翻す。そしてヴァンと仲間たちはついに、世界を絶望に包む計画の真の意味を知る。
それはおとぎ話で存在した邪神の復活。邪神の力で世界を新たに作り替えてしまう計画だった。その為に今を生きる全ての命を生け贄に捧げる。それが彼らの計画だった。そしてその計画の中核となるのはレイだった。
計画の全貌を知り、阻止するためにはレイを殺さなければならないと知ったヴァン。今まで彼を止めるために戦ってきたヴァンにとっては、残酷すぎるものだった。
その悲しみから剣を手放してしまいそうになるヴァン。だが、今は自分が希望なのだと理解し、カラ元気ながらも戦い続ける。そんな彼を支えたのは仲間たちだった。
かつて死を覚悟したことがあった。大切な何かを諦めるしかないと絶望したことがあった。そんな彼らを救ったヴァンならば、きっと大丈夫。『ヴァンの為に、ヴァンを今度は自分たちが救うのだ』と仲間たちは彼を支え続けた。
彼が戦えずとも責める事はせず、彼が立ち上がるのを待ち続けた。そして、彼が出来ないなら、『彼に助けてもらった自分たちが、ヴァンの代わりに戦い続ける』と、宣言した。
ついに始まる世界の命運を懸けた戦い。敵の強さは圧倒的で、次々と倒れていく仲間たち。その命が消えてしまう。そんな時、ヴァンの脳裏に蘇ったのはあの日の事。
村が焼け、目の前で両親が残した最後の言葉。『大切なものを・・・守れる人になって』。
戦いの中、ヴァンの心には、失ったものと同じくらい、大切になっていた仲間たちがいたのだ。心が息を吹き返した。もう二度と失わない。必ず守る。彼らの夢を、願いを、その全てを守ってみせる。
そして大切な幼馴染だからこそ、自分がやらなければいけない。大切な幼馴染だからこそ、これ以上罪を重ねさせるわけには行かない、自分が決着をつけると、覚悟が心に宿る。
復活したヴァンは仲間の窮地を救い、共に戦う人々を、再び希望の光で包み込んだ。苦しい戦いを続けながらも、勝利を掴みとり、ついにレイとの再会を果たす。
『夢を見つけたよ。俺は夢を守る男になりたい。その為にレイを止める』
『俺の夢は変わらない。世界中に俺の名を残す。その為にヴァンを殺す』
二つの夢がぶつかり合う。自分の夢を守るために、譲れないモノのために。夢を叶えるために。ヴァンとレイの戦いはついに最後となる。
お互いの仲間たちが血を散らし、譲れない夢の為に戦う。愛すべき人の為に戦った。
幾度も交差する二人の剣が、ヴァンとレイの剣が、全力を持って交差するとき、最後に立っていたのはヴァンだった。
『お前の夢も、俺が守るよ。だからもう休め、レイ』
『俺の夢はお前が叶えろ。お前になら託してもいい』
中核となっていたレイが死んだことで、計画は崩壊し、世界は救われた。
そしてヴァンは、レイが最後に残した言葉を現実の物にした。『世界を救った剣聖ヴァン』そして『世界を滅ぼさんとした男レイ』二人の名前はこの先もずっと語り継がれていった。
――――◇――――
【魔剣聖ルート『夢を現実へ』】
・己の名を残すため、世界中に轟かせるために計画に参加したレイ。それが自分の住む村を滅ぼし、友人を殺した連中だとしても、レイは構わなかった。計画などどうでもいい。ただ自分の夢を叶えるためならどんな事だってする。村を焼かれ、両親を失ったレイに残っていたのはそれだけだった。
計画の中で最も強い力を持つ者が邪神の力を引き受けると知ったレイは、強くなるために力を求めた。敵であろうと、味方であろうと関係ない。力の為ならレイはなんだってした。
例え罵られようとも、理不尽な暴力を受けようとも、死にそうになっても、レイは諦めなかった。そんな彼を見て、一部の者が彼に希望を見出した。レイこそ計画の中核を担うに相応しい男であると。
その中にはかつて騎士を目指しながらも、その腐食に絶望し、世界を作り変えるために計画に参加したフリルの姿もあった。彼女もレイこそが新しい世界に必要な力の持ち主だと信じ、彼を支えるために、彼の従者として共に戦った。
その中で再会したのは幼馴染であるヴァン。死んだと思っていたヴァンが生きていたことを知り、嬉しく思うレイ。
ヴァンの戦いを見て、己よりも強いと感じ取ったレイはヴァンとの戦いに挑み、そして敗北した。だがそれを憂うことはなかった。むしろ超えるべき者が明確になったと歓喜した。
強くなるために、夢を叶えるために戦い続けるレイ。時にはヴァンと協力して敵と戦うこともあった。そして戦いながら自身と同じように、ヴァンも強くなっていることが嬉しかった。超えるべき壁が大きいほど、レイは燃え上がった。
死闘を超えて、強さを身につけたレイは計画の参加者たちからの賛成と推薦を受けて計画の中核である邪神の力を受けるものとなった。
レイこそ新しいなる世界を生み出す男だと信じ、共に戦った者たちは大いに喜び、そして最後まで彼と共にあると誓った。
計画の最終段階へと移行する直前。ヴァンに会ったレイはその計画の全貌をヴァンに話した。
『俺は夢を叶える。止めたければ俺を殺してみろ』
レイとヴァンの考えが違うと知っているからこそ、言える言葉であった。自分が間違っているとヴァンは判断するだろう。決意が決まったヴァンならば必ず全ての困難を乗り越えて自分の下にたどり着く。
確信していたからこそ言えた言葉だった。
そして今まで自分について来てくれた仲間たちにそれを話し、『ここから先、俺のために戦えば死ぬ。生きたければ自分のために戦え』それはレイの優しさだった。ヴァンに立ち向かえば死ぬ。いや、死んでヴァンの強さの糧となると確信しているから、自分の為にここまで着いてきた彼らにしてやれる最後の言葉だった。
だがそれを聞いても、誰一人レイの下から離れるものはいなかった。
『全てはレイの為に』
『夢を見せてくれた貴方様のために』
『貴方の夢が私の夢だから』
酔狂なことを言う彼らだが、決意は揺るがない。夢の為に命をかけて、この計画に参加した彼らだったからこそ、レイが時折見せてくれた優しさが嬉しかった。自分たちの命を大切に思ってくれたレイ。
彼のためにこの命が使えるなら悪くない。彼らはそう思う。ついに始まる計画の最終段階。
レイは邪神の力を受け止めるために選ばれた場所でその力と戦い続けた。夢を持つ仲間たちと共に、夢を現実にするために最後の試練を乗り越えるべく抗い続けた。
そしてその力を自分の物にしたとき、目の前にはヴァンがいた。
『夢を見つけたよ。俺は夢を守る男になりたい。その為にレイを止める』
『俺の夢は変わらない。世界中に俺の名を残す。その為にヴァンを殺す』
ついに自分の夢を見つけたといったヴァン。それを嬉しく思うレイ。だからこそ譲れない。夢を叶えるために、レイ達とヴァン達は最後の戦いを迎える。
互いが互いの守るべきものの為に、愛すべき人の為に、夢の為に戦い続けた。最後の攻防。ヴァンとレイの剣が交差したあと、立っていたのはレイだった。
『お前がいたからここまで強くなれた。ヴァン、お前の夢は俺が奪う』
『なら絶対に叶えて見せろ。お前の夢を。出来なかったら化けて出てやる』
世界中にいる人々の希望であったヴァンが死んだことで計画は最後の瞬間を迎える。邪神の力を使い、世界を滅ぼし、作り替えたレイ。
だが、その先にあったのは邪神の完全復活による世界の蹂躙と歴史すら残らない暗黒の闇であった。
『夢を叶えろ』
幼馴染の最後の願いすら叶えられず、自身の夢を打ち壊されたレイは怒り狂い、その剣を邪神へと向ける。
果たしてその先に待っているのは一体なんなのだろうか・・・・
――――◇――――
【ふたりが交わる共通ルート『復興都市アガイオスの悲劇』】
《剣聖ルート》
国からの依頼で復興都市アガイオスを訪れたヴァン一行。なんでもアガイオスに視察に向かった一団から連絡が途絶したらしい。アガイオスに到着したことは間違いないので一体何があったのかを調査するのが目的だった。
アガイオスは四方を城壁で囲まれた防衛都市としての側面もあり、中に入るまで様子は伺えない。一行は直様アガイオスへと向かった。
道中見たことのない人型のモンスターと遭遇したが特に難なく撃破していく。このモンスターたちは奇妙な事に、自分以外の同族が見えていないかのように行動していた。
残った死体があろうとも、倒れている同族がいようとも踏みつけヴァン達の元へと向かってくる。奇妙なモンスターに襲われながらも無事にアガイオスへ到着した一行。アガイオス内部は特に目立った異様はなく、中にいた人々は何も変わらず元気な様子だった。
ヴァンたちは王都からやってきた一団に関しての聞き込みを開始した。話によると、やってきた一団は確かに滞在していたという。しかし三日もしないうちに街からいなくなっていたと住民は言う。
さらに聞き込みを続けると、最近変わった宗教団体が街にいるという。何か知っていると考えたヴァンたちはその宗教集団がいるという街の集会所へと足を運んだ。
そこでは神父の格好をした男と、構成員と思われる人々が祈りを捧げていた。さらに街の人々相手に無償の診療所のようなこともしていた。彼らは旅をしながら病に苦しむ人々を救い、祈りを捧げることの大切さを人々に説いているのだという。
ヴァンたちはこの街にやってきた視察団に関して何かを知らないか聞くと、なんでも怪我をしていたので治療をしたくらいでそれ以外に関わりはないという。彼らも視察団がどこへ行ったのか心配していた。
そんな中、診療をしていた一人の女性がヴァンの腕に怪我があることに気づき、無償で治療をしてくれるという。ヴァンは好意に甘えて女性からの治療を受けた。治療も消毒をして傷薬を塗り、包帯を巻くだけの特に変わったことはない普通のものだった。
一同は視察団が街を離れた際、何かの事件、もしくはモンスターに襲撃された可能性を考えて、道中遭遇した奇妙なモンスターの調査を開始した。そしてそのモンスターたちが町外れの森から出現していることを突き止めた。一行はモンスターの正体を突き止めるべく森へと向かう・・・
《魔剣聖ルート》
レイが属する同じ願いを持つ者たちは、それぞれが失ったもの、そしてやり直したい時代を取り戻す為に、世界を無に帰し再誕させる神『ドゥルゲード』を復活させるために大陸中で活動を続けていた。
レイの願いは世界に名を残す英雄になること。ゼロになった世界で彼は名を刻むことを目指していた。どんな形であろうとも、死んでしまった、いや、殺された両親と約束したその夢だけが彼を奮い立たせる唯一の原動力だった。
神を蘇らせるために奔走する中で、計画の賛同者たちは『ドゥルゲード』の力を欲望のまま使い自分たちが神に成り代わろうとする狂信者がいることを突き止める。
そんな事を許せば願いが叶わない。夢が叶わないと考えたレイ始めとする賛同者たちは狂信者の抹殺を開始する。
各地を回り、狂信者たちを次々と葬っていく。その中で死の間際、意味深な事を言って死んでいった者がいた。
『既に生贄は誕生した。我らが神になる道は既に完成している』
信者の言葉を信じるならばどこかで異常が起きていると考えた彼らは調査を開始した。たどり着いたのは『復興都市アガイオス』周辺で人だけを食う新種のモンスターがいるという情報だった。
モンスターの出現場所こそ彼ら狂信者の根城だと考えた賛同者たちはレイを筆頭に彼らを全滅させることにした。
レイ自身も狂信者達のやり方が気に入らなかったこともあり、彼らを『邪教徒』として殺すことにためらいはなかった。
一行はアガイオス郊外に位置する森へと足を進めた。そこで・・・
《共通ルート》
森の入口で二つの一団は再会した。以前の遭遇ではちょっとしたいざこざがあり、お互いの刃を交わしていたのだが、今回はそんな物騒なことが起こることはなかった。
この森には危険なモンスターが居るから帰るように促すヴァン達だが、そのモンスターの親玉に用事があると譲らないレイたち。一行はお互いの目的が同じことを知ると、共闘することを互いに提案。
共闘することになった彼らはお互いに何度も共闘している間柄でもある。コンビネーションは勿論のこと、フォローに関してもいい具合に噛み合っていく。
森を進んでいくと、やはり現れるこちら以外見えていないように、同族であっても蹴り飛ばし、踏み潰し殺してしまうモンスターに遭遇していく。
進めば進むほどモンスターの強さもあがり、互いの仲間たちを守りながら進んでいく。そして奥地へとたどり着いたとき、そこにいたのは胸部までしかない巨人だった。
巨人は先程まで彼らが倒していたモンスターを捕食していた。それだけじゃない。どこからか連れてこられた人々をも巨大な顎で噛み砕き捕食していた。
巨人を殺すと決めたヴァンたちは即座に戦闘を開始。レイ達は巨人を生み出したであろう元凶をあぶり出すために、巨人の背にある洞窟へと向かう。だが、半身の巨人が邪魔をしてきたため、ヴァンたちと共に巨人を殺す為に戦うことに。
共闘する二人の活躍もあり、戦いは有利に進んでいく。しかし、突如レイの腕に突き刺さる矢が状況を変えた。
レイ達が向かおうとしていた洞窟の奥から出てきたのは、ヴァンたちがアガイオスで出会った教団の神父だった。彼こそレイたち計画の賛同者が重要殺害者に決めていたこの事件の首謀者だった。
神父は邪悪な笑みを浮かべて自分たちが神になるための計画を語りだした。人を喰らうモンスターを人から生み出し育てることで『ドゥルゲード』を宿す器を生み出し、宿った器を喰らうことで自らが神へと昇華するという狂ったものだった。その最中、視察団が自分たちの事を探り出したため、生み出したモンスターの餌にしたのだという。
そして人をモンスターにするための薬は既に処方されているという。そう。ヴァンが街で塗ってもらった傷薬、そして今レイを襲った矢に塗布されていたものこそ、モンスターへと変える劇薬だったのだ。
神父は意気揚々と、その薬が活性化する粉末をばら撒いた。それが体内に入り込むと、先に侵入した薬が本来の効力を発揮して、人を喰らう人型のモンスターへと変化してしまう。
逃げようとした二人だが、一瞬の隙をつかれて巨人に捕縛された。そのまま中に浮く粉末を吸い込んだ二人は体が熱くなるのを感じていく。血管が浮かび上がり沸騰でもするように赤く煙を上げていく二人の体。
二人を救うために仲間たちが動き出し、なんとか巨人の手から二人を助け出すことには成功したが、巨人はまだ健在、さらに邪悪に笑う神父は二人がモンスターになり、人を喰らうことを確信する。
しかし奇跡が起こる。二人の体に起きていた異常現象が突如として停止した。神父含めて一行は一体何が起きているのか全くわからなかった。しかし奇跡はそれだけにとどまらない。二人の体は以前よりも動くようになり驚異的な回復を見せたのだ。
回復した二人は巨人を、そして神父を討つべく戦闘を開始、仲間たちの援護もあり見事巨人を撃破、神父も四肢を切り裂きつつも生け捕りに成功した。
これで事件は終わりだと思う一同だが、神父の口から恐るべき事実が告げられた。それはアガイオスに住む人間は既に先ほどの粉末を吸い込めばモンスターに共編すること、そして信者たちはそのモンスターになった人々を喰らうことで、今倒した巨人になれるというのだ。
そんなことになれば大陸中が大混乱になるのは避けられない。同時にレイたちの計画は無に帰る。レイたちはアガイオスを滅ぼすことを決意した。勿論止めようとするヴァンたちだが、既に余談を許さない状況でもあった。
信者たちが、神父がこうなった事を知れば、独自に動き出してしまう可能性がある。そうなってしまえばもう収集が付けられなくなる。無実の人を殺すことをしなければ大陸中の人が大量に死んでしまうかもしれない。選択はできない。
だが同時に、悪魔の劇薬は彼らをも蝕む可能性があった。そうなってしまえば本末転倒である。だが、奇跡はここにあった。
ヴァンと、レイ。未来に名を残す二人はその薬が効かない。世界を救えるのは二人だけだった。ヴァンの仲間であるリーラは、特殊なアイテムを使い父である国王に今の話を包み隠さずに報告した。
国王は国民を守るためにアガイオスを滅ぼすことを決意。そしてそれを薬の影響がなかった二人に依頼。そべての責任は自分が負うと約束した。
元々そのつもりだったレイはその依頼を受ける。だがヴァンは答えを渋る。だがレイの言葉が彼を突き動かした。
『動かないなら好きにしろ。だがなヴァン。ここで動かないと俺もお前もまた大事なものを失う。失うくらいなら全部奪うほうがマシだ』
自分達が住んでいた村を、家族を失っている中、レイは既に前に進んでいた。それがただし道ではないとしても。ヴァンは自分の仲間たちを見渡した。自分にとって大切な人達。そしてこれまで出会った各地にいる大切な友人たち。
彼らを失う恐怖を想像したとき、人を殺す事を覚悟したヴァンは立ち上がった。
そこから起こったことは虐殺という以外に言葉がなかった。レイは一切の慈悲もなく人々を切っていく。ヴァンは悲しみを飲み込んで、涙をこらえて必死に殺していく。
罵詈雑言が飛び交う中、それでも自分の大切なものを失う恐怖で自分を奮い立たせて人を殺していく。住民も、狂信者も、旅行客も皆皆殺していく。二人の剣士は街にいる全ての生命体を殺すまでその刃を止めることはなかった。
殺していく中でモンスターへと凶変していく住民も現れ始めた。その事実だけが、ヴァンの
三日後。町に残っている生命体は二人だけだった。全身返り血で染まり、足元も壁にも血と肉片となった人だったものしか残っていなかった。
彼ら二人の耳に残るのは断末魔の叫びや恐怖に染まった悲鳴。モンスターとなった友人知人に食われていく人々の声ばかりだった。
中には自分の運命を察して『ごめんなさい』と言葉を告げた人もいた。目的のためなら既になんだろうと殺す覚悟を決めていたレイは平然としていたが、ヴァンはそうはいかなかった。
二人の仲間たちと、王都からやってきた兵士たちが二人の下へとやってきた。街中鉄の匂いで染まる中、街を焼き、人々を供養すると言う。
街を離れて、燃え上がる街を見ながら、ヴァンは大粒の涙を流して謝罪の言葉を口にする。まだ若い彼にこの重圧を押し付けたことに、彼の仲間たちも、王都よりきた兵士たちも一体どう言葉をかければいいのかわからなかった。
『お前には覚悟が足りないなヴァン』
その姿を見て、呆れるように、同時に悲しむように言葉を投げかけたのはレイだった。そしてレイは自分の、そして自分たちの目的を初めて口にした・・・
それはヴァンをさらに地獄へと叩き落とす衝撃の事実であった・・・
――――◇――――
【真剣聖ルート『月が導く光と影』】
ヴァンは不思議な夢を見た。それも一度ではない。何度も夢を見ている。
それはレイが夢の為に世界を滅ぼし、そして死んでいくまでの夢。
それは自分がレイと再会し、夢を見つけ、その夢の為にレイを殺すまでの夢。
それまでの道をヴァンはこの数日間ずっと見ていた。夢であるはずなのに、妙にリアルで不思議だった。そして今日はレイから計画の全貌を聞いてから数日が経過していたのだった。
二つの夢を見たことで、二つの結末のどちらかがこの先起こるだろうとヴァンは思う。でも、自分はどちらも選びたくなかった。
夢の中のレイは自分に夢を託すと言って腕の中で死んでいった。
夢の中の自分は夢を必ず叶えろと言って彼に看取られて死んだ。
夢さえ見なければそうなっていただろう。夢さえ見なければ夢と同じように道を進むことができたんだろう。けど、それを見てしまったヴァンにとって、それは無理だった。
確かに夢のお陰で戦う理由は見つけられるだろう。事実今のヴァンは夢を見る前よりも心が穏やかで、もう覚悟が決まっている。
夢であったとしても、幻であったとしても自分が戦う理由としては十分だったから。けどその先は絶対に認めたくない。自分が死ぬのも、レイが死ぬのも見たくない。
そしてそれがヴァンの新しい夢になった。もしもあの光景がどちらか必ず起こるのであれば自分はそれを覆す。運命だろうと、宿命だろうと関係ない。
ヴァンは守ると決めた。全ての夢を。幼馴染を、大切な自分の仲間たち、レイを大切に思う仲間たち。その全てを救うと決めた。
夢物語だろうとも、空想と言われても関係ない。やると決めた。あの時と同じだ。
誰に言われても進むことをやめなかったあの時と同じようにやればいい。人々の希望とか、そんな為じゃない。自分がやりたいと願う事のために。全部まとめて最高の結末にするために。
ヴァンは早速行動を開始した。叶えたい夢の為に、誰かの為じゃない。自分自身の願いのために。
その姿を見たヴァンの仲間たちはカラ元気ではない、本当に元気になったヴァンの事を嬉しく思った。そして彼にいろんな話を聞いた。
ヴァンも彼らには全て話した。夢で見たこと、そして自分の新しい夢の話を。笑われても構わない。離れてしまうかもしれない。でも、それでも、自分は決めたと強く、話をした。
確かに夢物語だと仲間たちは言った。だがそれを笑うことはしなかった。自分たちが夢物語だと思っていた事を現実にしてくれた人を知っている。そんな人が語ってくれた夢。
それを叶えるために彼らは戦うと彼に告げた。
ヴァン達は襲い来る驚異と戦いながら必死に邪神に関する事を調べた。計画に参加している人を、ヴァンの夢で聞いた話を頼りに探し出し、彼らの事を調べた。
レイの夢を見たことで、ヴァン達は計画を止めるだけの情報を得ていたが、それ以上を知るために奔走し続けた。そしてある一つの真実にたどり着いた。
それは計画に集った者たちにはそれぞれ身を裂かれるような悲しい出来事が襲いかかっていたこと。そしてそれを回避して、もう一度やり直したいと願っていたこと。
それら全ての悲劇が、彼らを集めるためだけに、たった2人の男の手によって引き起こされていたこと。
その男をヴァンは知っている。いいやヴァンだけじゃない。ヴァンの仲間たちも、レイも、そしてレイの仲間たちも、世界中の皆知っているのだ。
今自分たちが住む国、アーデラント王国の国王ドルファ。隣の帝国、フロンディア帝国の現皇帝アンディランド。
世界を滅ぼす計画が開始されてすぐに民を、国を守るために即座に動き出した二人の王は軍隊を、騎士団を動かした。
皆彼ら二人の王は守るために軍隊を動かしたのだと信じきっていた。疑う理由なんてなかった。だがヴァンたちがたどり着いた真実はその根幹を覆すものだった。
ただ殺すために軍隊を動かしたのだ。敵も味方も全て殺し、邪神復活のための生贄を確保するために。そんな事のために大勢の命を危険にさらしたのだ。
許せるわけがない。だけど、相手が悪すぎる。二人共互いの国で国民からかなりの信頼を得ている。たかが一人二人が騒いだところで簡単には変わらない。
そしてレイにこの話をしても、レイは変わらないだろう。そもそも夢の為に動いている男だ。一度決めたら曲がらない。こういう時はその性格が本当にややこしい。
ヴァンはどうしたらいいのかわからなくなった。相手が悪すぎる。けどこうしている間にも邪神復活のステージは進んでいる。もうレイを殺すしか方法がないのか。
そんな考えがヴァンに浮かび、仲間たちも途方にくれたそんな時だった。
『貴方がいる。誰だろうと貴方がいれば父だろうと敵じゃない』
『その通り。親友の私が言うのだ。そして私の親友であり盟友である君の言葉だ。皆聞いてくれる』
息詰まるヴァンの元にやってきたのは二つの国に住む王子と王女。それだけじゃない。二人の王と共に戦うと馳せ参じた各国の王とその関係者、亜人種と呼ばれる種族の国の王と戦士たち。
種族は違えども、皆がある一つの共通点を持っている。
『見てみろ。これが今日まで君が紡いできた絆だ。君が起こした奇跡に救われてきた今を生きる者たちだ』
どんな形であれ、彼らはヴァンが起こした奇跡で救われた者たち。ヴァンが戦いそして紡いできた絆の証。その全てが今、ヴァンの元へと集っていた。
『王国も帝国も気に入らない。でも貴方がいるならば我らが来る理由になった。そして貴方が二つの国を・・・いいえ、あなたが守りたいと思う者の為に戦うなら、それが我らの戦う理由になる』
人に迫害された歴史を持つ亜人種。今でも人が憎いと思う者もいるのだ。だがそんな彼らがヴァンの為になら戦うと言っているのだ。
『ありがとう』
ヴァンは涙を流し彼らと共に戦うことを決めた。そして守ると。全部守り抜いて、全員で笑うんだと、宣言した。
ついに計画は最終段階へと移行し、世界中で戦いが始まる。前に見た光景。だが違うのはヴァンの心には多くの強い意志があること。彼らの意思が今のヴァンに力をくれる。
だから怖くない。だから戦える。だからこの夢の為に前に進める。ヴァンは夢以上の快進撃を遂げ、夢を同じように幼馴染であるレイと出会う。
『レイ。お前には言っても聞かないだろうからとりあえず殴ってから話す』
『訳のわからん事を、俺は俺の夢を叶えるために戦う。その為におまえを殺す』
再び衝突するヴァンたちとレイたち。夢では仲間たちは全員死んでしまい、決着をつけるのはヴァンとレイの二人だけだった。だけど、現実は違う。
『その力はどこから来る』
『お前と一緒だよレイ。夢を叶えるために俺にも力が必要だった』
レイは強い。レイの仲間たちも強い。ならどうすればいい。簡単だった。それ以上に強くなればいい。皆が必死に強くなろうとした。ヴァンも、仲間たちも、みんな夢を叶えるために、約束を果たすために。
『俺の勝ちだ』
『俺の負けか』
邪神の力を宿したレイと仲間たちを下し、ヴァンは自分が知った全ての情報をレイ達に話す。レイは関係なさそうに聞いていたが、レイの仲間たちはそうはいかなかった。泣き崩れるもの、怒るもの、どうしたらいいのかわからなくなるもの。
そしてレイも、ヴァンが見た夢の話をすると、夢のように怒りを顕にして叫んだ。その場にいた全員が、真実を確認するために二人の王がいる王国の城へと向かう。
次々と合流する仲間たち。
城に着くと待っていたのは先程までレイたち計画の参加者が操っていた怪物と、怪物に飲み込まれ狂ってしまった城にいた騎士や貴族たちの姿。
これではっきりした。下手人は二人の王であると。ヴァンとレイは仲間たちと共に城を駆け上がる。敵を倒し、たどり着いた王たちはおぞましい笑みを浮かべていた。
そして語られる事の真相。
王たち二人は元々一つの存在。封印されたと言われていた邪神ドゥルゲードの欠片だという。彼らは己の本体を復活させるために長い年月をかけて計画し、誑かした愚か者たちを使い自分を復活させようとしていたのだ。
王になったのもその方が計画を実行しやすいと思ったから。そしてあの場でヴァンが死んでも、レイが死んでも、少し時間が変わるだけで復活していたと彼らは言った。
つまり全て彼らの手の上で踊っているはずだった。
ヴァンが夢さえ見なければ、彼らの計画は成功し、復活できたはずなのにと笑いながら話しだす。
『『忌々しい月夜に生まれた子供たち。キサマらを我が身復活の糧とする』』
本体復活のためについに本当の姿を現した邪神の欠片。その力は強大で、一人でも、仲間と一緒でも勝てるとは全く思えないほどに凄まじいものである。
その力の前に集まった仲間たちが次々と倒れていく、ヴァンとレイもその力の前に倒れ、動けなくなった。
この場に集う全てのモノたちから命の力を吸い上げて、邪神の欠片はどこかへと飛び立っていく。
せっかくここまで来たのに勝てないのか。自分たちの夢はかなわないのか。誰もが戦う力を奪われ動けずにいた。
『まだだ・・・・まだ戦える!』
『俺の夢は・・・まだ終わらない!』
一番ダメージが大きく、立つことすらできないはずヴァンとレイが立ち上がる。まだ終わらない。終わらせない。夢を叶えるために。
彼らの強い思いが奇跡を起こした。
月の光が二人を照らし、二人の身体を癒したのだ。そして月は光が届く全ての者にその力を授けた。
それはおとぎ話にもあった話だった。
『邪神が世界を闇で包むとき、英雄が立ち上がり邪神を討つ。月の女神の加護をその身に受けて生まれた子供。光が闇を切り、影が悪を断つ』
ヴァンとレイ。月夜に生まれた二人はまさにおとぎ話の英雄だった。
光の加護を受けた二人は仲間たちと共に邪神のもとへと向かう。邪神が向かった先、それは幼かったヴァンとレイの二人が住んでいた森があった場所だった。
邪神の欠片を見つけた二人は即座に斬ろうとした。だけど一足遅かった。欠片は既にその力を本体へと移し、残っていたのは空になった本当の持ち主である二人の王。
そして力が移された邪神はついに復活を果たす。意識を失った王を仲間たちに託し、二人の英雄は邪神との最終決戦に挑む。
欠片以上に強い力を持つ邪神ドゥルゲード。だが月の加護を受けた二人はそれ以上に強かった。一人ずつでは邪神が苦戦することはなかっただろう。だが二人のコンビネーションは邪神を圧倒するほどの連携を見せていた。そしてそれを援護する仲間たち同士の相性も凄まじかった。
ずっと彼らは一緒だったのだ。立場は違えど夢を持つ者を支えてきた者たち。そして同じ場所で育ち、ずっと一緒だったヴァンとレイ。互いに戦いを繰り返していた。お互いの動きなんて手に取るようにわかる。
言葉を交わさずとも彼らの連携は、長年ずっと一緒に闘ってきたチームのような動きだった。
邪神も、ヴァン達も体力の限界が近づく中、ついに幼馴染二人の剣が邪神の心臓を切り裂いた。心臓を失い倒れる邪神。
しかし消える様子がない。そう。邪神は消滅させることができない。おとぎ話ではそう書いてあった。だから邪神を封印したのだ。英雄の命を使い、蘇らないように世界の奥底へと封印した。おとぎ話にはそう書いてあった。
ヴァンとレイ、どちらか一人の命を使わなかれば邪神は封印できない。最後の最後で皆が絶望する酷いものだった。
ヴァンとレイは月から光を受けたとき、薄々それを理解していた。大好きなおとぎ話だ。内容は全部覚えている。そしてそれをする覚悟も既に決まっていたのだ。
『ヴァン』
『レイ』
二人は名前を呼び合うと、お互いの仲間たちにどんな結果になっても恨むなと言い残し、邪神の身体を掴み上げた。すると月が再び光だし、二人と邪神をその地中深くへと送り込んだ。
追いかけようとする仲間たち。だが光に触れる瞬間。光は消えてしまった。
月の光に導かれてたどり着いたのは邪神封印のために作られた神殿。復活の際にバラバラに砕かれてしまったようだが、神殿は加護を受けた二人の体に反応すると、勝手に動き出し、元の形に戻った。
そして邪神の身体を神殿から伸びてくる光が縛り上げその奥へと運んでいった。神殿の入口が閉じ、扉には十字架のような窪みがあった。
『ヴァン。俺に勝って見せろ。さもないとまた邪神が甦る』
『お前に勝つよレイ。お前が生きた証は俺が伝える』
ここに来るまでの道中。レイはヴァンに全てを話していた。おそらく自分の中にも邪神の欠片が埋め込まれているということ。戦いの中でも、欠片が鼓動して乗っ取ろうとしていたこと。
けど今までそれに耐えてきたレイ。最後はヴァンと戦い、決着をつけたいと願ったのだ。
全てを救うと決めてここまで来たヴァン。だがそれはもう叶えられない。そして幼馴染が叶えたい最後の願い。叶えないと一生後悔するとヴァンは言った。
幼い頃からやっていた勝負事。今のところレイの勝ち越しだが、それも一勝分。これでヴァンが勝てば引き分け、レイが勝つか引き分けるかでレイの勝ち。
二人は剣を取り、正真正銘最後の勝負が始まった。互いに疲弊しているが、それを感じさせないほどの動きと技のキレ。一歩も譲らない戦い。
剣が火花を散らし、触れた刃が赤い血を流す。そして残りの全てを使い衝突した二人は、共に力なく地面に倒れた。
そして数十秒後、ゆっくりと立ち上がる一つの影。そして神殿の光が照らしたのは倒れ込んでいたレイの姿。
『俺の勝ちで・・・・引き分けだ。またなレイ。あの世で待ってろレイ』
『そうだな・・・・・引き分けだ。地獄で待っている。ヴァン』
レイは光に導かれ、扉の十字架へと登った。レイの中にある欠片が鼓動し必死にもがき出すが、レイが自分の体ごと欠片を引きちぎり、ヴァンの方へと投げ捨てた。ヴァンはそれを切り裂き、切り裂かれた欠片は神殿の光を受けて消滅した。
『ヴァン。お前の夢はなんだ?』
『俺の夢も、お前の夢も、皆の夢を全部守る。そんな男に俺はなる』
『そうか、なら必ず夢を叶えろ。俺との約束だ』
ヴァンは静かに頷いた。それをみたレイは十字架へと体を預け、昔見せていた笑顔ををヴァンに向けながら神殿を封印した。
こうして、世界の、命運を懸けた一つの物語が幕をとした。
邪神復活のために、邪神自身が計画したものはひとりの男により綻び、二人の英雄によって再び封印された。
帰還したヴァンと、その手に握られていたレイの剣。世界中が注目する中で行われた世界平和の祭典にて、二人の英雄には『剣聖』の名が送られた。
全てを救うために、皆の夢と、自分の夢のために戦い続けた『剣聖』ヴァン
夢を叶えるために戦い続け、その命を賭して邪神を封印した『魔剣聖』レイ
レイは夢を叶え、後の世界に名を残し、ヴァンもみんなで笑うと決めた願いを叶えた。世界を救った二人の英雄『剣聖』。その物語はここで一度幕を閉じるのであった。
【アフターストーリー『そして彼は世界を巡る』】
・リアルハードモードにて、真剣聖ルートをクリアした人に贈る更なる物語。
大切な幼馴染であるレイが命をかけて封印した『邪神』。あの戦いから早くも二年。世界は復興への道へ進み、人々は帰ってきた平和を噛み締めながら生きていた。
『剣聖』であり『流派五代目継承者』として世界中に名を轟かせたヴァンは、レイの事を世界中に知ってもらいたい。
どうか忘れないで欲しいと願い、世界中にレイとの思い出を伝えるために旅をしていた。
久しぶりに会う仲間たち、そして新しく出会った好敵手であり、頼もしい仲間たちとの出会い。
旅の最中、小さな事件に触れ、新しき闇とヴァンが出会うとき、世界は再び戦いの業火に包まれる。
世界を救い、人々を救った『剣聖』は、再び剣を取る。最後にレイと約束した夢を守る男として、そして自分が守りたい全てを守るために。
一応これに沿って書いてるので矛盾が起きないようには気をつけてます。怪しいかもしれませんけど・・・
クソゲーとか言わないでくださいね。私が悲しくなります。むしろ泣きます。




