フランソワーズ・アルヌール. Françoise Arnoul あるいはパリの女猫 1950年代のフランス女優 改訂版
2018.6.29追記
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フランソワーズ・アルヌールと聞いて
さて
いったい今、何人の人が、、ああ、あの、
とろんとした瞳と
なんか、けだるいような、物腰、
そして、コケットリーなそぶり、
アンニュイな感じの、それでいてコケットなフランスの1950年代の女優。
と、言えるだろうか?
それどころか最近では
「サイボーグ009の美少女アンドロイド?ですか?」
っていう反応ですよね?
石ノ森章太郎氏が、この女優から、ちなんで命名されたとか?
こっちの
フランス女優のフランソワーズ・アルヌールのほうが、本家ですよ。
さて
このころのフランスには、同時代に
ブリジット・バルドーという大スターがいたので
この、かわいいパリの女猫はあまり
大ブレイクということにはなりませんでしたが
私などは
明るすぎる?
おてんばな?
どんどん脱いじゃう
バルドーには
むしろ辟易気味で
このむしろ、
おとなしい?
柔らかい?
女猫のような?
アルヌールのほうが好きでしたね。
アルヌールという女優は
グラマーでもないし
イケイケでもないし
ゴージャスでもない、
ごく普通のどこにでいそうな庶民風な女性なんですが
ちょっと影があって
思わせぶりで
雌猫みたいなコケットリーがある。
俺が支えてやらないとこの女はだめになってしまう?
そんな気にさせる女なのです。
私とアルヌールの映画での、出会いは確かテレビの洋画劇場の「テレビ名画座」だったと思う。
私がまだ純真だった?少年時に初めてこの人の映画を見たときは衝撃だった
それは
〇「肉体の怒り」1954年という映画だ。
この映画では、アルヌールはダム工事現場の賄い婦をしてるのだが
実は彼女はニンフォマニアで、男を見ると
我慢できないといういかにも際物映画で
決して名作でも何でもないのだが。
何しろ少年の私には衝撃だったことは確かだった。結局病気だとわかり治療で色情狂が治ってめでたし?というスジなのだが、
何しろまだ純朴だった田舎の少年(私ですよ)にとってはあまりにも衝撃的な作品でした。
まあ
今、おもえば1954年の映画ですから
今、現代のようなエログロ映画の過激さと比べれば、実に、
どうということないホンワリした、穏やかな?、健全な?映画なのだが
当時の田舎少年には
純朴な田舎少年にとっては
当時はすごい衝撃でしたね。
これでフランソワーズ・アルヌールという女優を鮮烈に覚えましたね、
次にであったのが
〇「禁断の木の実」
といういかにもそれらしい?映画です。これも確かテレビ名画座で見ました。
中年医師の、、あの馬面のフェルナンデルを
小娘のアルナールがお色気で翻弄するという
お話で、
まあことほど左様に
フランソワーズ・アルヌールはこうした色物映画の
花だったのだ。
ところで、、
フェルナンデル、、なんて言ったって、、知りませんよね
馬面が売りの当時のコメディアンですよ。
このように
お色気映画?のそえもの?だったアルヌールが
それがやがて演技派女優に転身したのが
ジャンギャバンと共演した
〇『ヘッドライト』
だった。
アンリベルヌイユ監督1955年
これは名作です。
これは中年のしがないトラック運転手ジャン・ギャバンと
アルヌール演ずるドライブインの女店員クロティルドとの
はかなくもうら悲しい不倫映画である。
ギャバンは50歳になろうという中年トラック運転手、
時々立ち寄るうらびれたドライブインの女給クロチルドに何時しか、惹かれて
しまう。クロチルドのほうも、優しくって渋いギャバンに、まんざらでもない。
ギャバンは家に帰れば悪妻と不肖の子供たちに無視されっぱなしという
今でもよくあるような冷たい風景の家庭がある。
そんな境遇から抜け出そうとクロ(愛称)との恋に賭けようとするのだが、、、
初老の冴えない男と小娘の恋、しかし、あえなくそれは現実の前に崩壊してしまう。
そんな物悲しいラブストーリーをけなげに演じていたっけ。
二人は閉塞した生活から脱出しようとするが
結局、クロティルドは違法な堕胎屋の手術の失敗で、、
流産してそれがもとで死んでしまう。
ギャバンは結局、、再び元のむなしい生活に戻るしかないというお話だった。
このクロティルド役がはまっていて
場末の平凡な女店員のうらぶれたような哀感が実によく出ていましたね。
哀愁漂う影のあるコケットな女猫
ジョゼフコスマの哀愁漂う名曲もいいですね。
最近ギャオの無料配信でこの映画がありまして久しぶりに見て感動と郷愁を覚えましたね。
ほかにはこんな映画もあります。
「上級生の寝室」 1953年
意味深?なタイトルですね?
女子寄宿舎学校を舞台に女学生が殺されれるという事件モノですね。
、このなんとも思わせぶりな題名は、少年の心をくすぐるに十分だった。
とある全寮制女子学園で一人の女性徒が殺される、やってきた警察官に、
フランソワーズアルヌール演ずる女生徒が恋心を抱き、協力をもうしでる。
調べていくうちに殺された女性徒は資産家の娘で、大財産を持っていたことが分かる。
ジャン・マレーが警官です。
この人ジャン・コクトーの映画の常連ですね。
『寝台の秘密」 1954
これまた意味深なタイトルですね?
寝台にまつわるオムニバスお色気映画ですね。
といってもご心配なく、1954年の映画ですから
そんないまどきの映画のような、過激なシーンなどは出るはずもありませんよ。
ごくごく、穏便な映画です。
『幸福への招待」1956
都会風なライトなラブコメディ。こういうのってアルヌールは似合わない?
やっぱりうらびれた感じの女性役が最高ですね?
「女猫」1958
第二次大戦中の女スパイを演じます。
ドイツ軍相手に暗躍するアルヌールのけだるいコケットが
たんのうできますね?これって結構はまり役です。
「フレンチカンカン」1954
ご存知フレンチカンカンの舞台裏映画、ジャン・ルノワール監督
古き良きパリですね。ベルエポック全開です。
こんなパリはもう今はどこにもありません。
などが彼女の代表作でしょうか。
ああ
それにしても、
フランソワーズアルヌール、とは
私が少年時代に出会った
大人の
哀愁漂うパリジェンヌ
それは
フランス女優らしい
しっとりしたお色気と
ココット(アールヌーボー期の娼婦)のような魅惑
それが
フランソワーズ・アルヌールという女優の魅力なのだ。