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「103号!」ガタイの良い男が怒鳴った。
「テスターだ、なんだ?114号」まるで気にもせずにテスターはりんごを空中に投げて遊んでいた。
「俺はエポートだ。先日の襲撃はなんだ?あの体たらくでよくTech-Oversを名乗れたものだ」
「止めなよエポート」女が割って入った。「テスターの働きは十分だった。私ら一人でも学校を潰せるくらいの力はある、それが分かった」
エポートは部屋にあるワープゲートの前に立った。
「テスターは落とせなかった、そうだろ?なら俺が証明してやる」
一階の男子トイレ。二人の男子が手を洗っていた。
「やっぱマチコちゃんは尻だって」
「いや足がさぁ」
背後にはローブを着た巨大な男が立っていた。身長は二メートル近くある。フードを下ろした男はガスマスクをしていた。巨大な男が振りかぶる時の風で異変に気づいた二人は振り返った。男のパンチで二人は廊下へと吹き飛ばされた。
「っつ・・・」
男はゆっくりとトイレから出た。
「ほう、さすが魔法学校の三年、やるじゃねぇか」
二人は魔力の盾で衝撃を吸収していた。しかし即席であるために無傷とはいかなかった。一人は後頭部を強打し気絶、もう一人も逃げだせる様子は無かった。廊下を歩く何人かがその姿を見て怯えていた。
「先生を呼んできてくれ!」
その言葉に反応した生徒の何人かが走りだした。エポートは片腕をマシンガンに変え、狙いを走った生徒たちに定めた。弾丸が発射されるも空中の盾で全弾防がれた。
「ほう」
「こいつにも・・他の奴らにも手はださせない・・!」
窓ガラスの割れる音で校庭にいた者達や二階の生徒も異変に気が付いた。三年生の男がマシンガンで顔を殴られ、窓ガラスをぶち抜いていた。細かい破片による傷はあるが大きな出血はしていないようだった。その姿を見た教員達は怒りの目で大男を見た。
「貴様・・何者だ!生徒を放せ!」
「俺の名はエポート、日本校を壊滅させに来た」
エポートはマシンガンで校舎を穴だらけにした。
「ケッケッケ!良い気分だ!最高だね!」
両手をマシンガンに変えた男に教師陣は防戦一方だった。射撃がとまり、盾の脇からエポートの姿を覗き込むと、エポートの腕がグレネードランチャーに変わっていた。魔力は使い手を中心とし、一方に向けて発射されるものだ。しかしグレネードランチャーは一方から出されるも、炸裂後の威力は計り知れない。片手のマシンガンで制圧射撃を行いながら、もう片方のグレネードランチャーで確実に被害を与えていく。その戦い方に翻弄されて教師陣は苦戦を強いられていた。
「つまらん」
男は窓ガラスを蹴破り外に出た。そこで怯えることしか出来なかった二階三階の生徒たちはエポートを目撃した。
(手に宿る魔力・・Tech-Oversか・・?)
これまで戦いに加わっていなかった生徒たちはあまりにも恐怖に鈍感だった。エポートはガスマスクの裏でにやりと笑うと、グレネードランチャーで二階を襲撃した。
「うわああああ」
生徒達の悲鳴にエポートは歓喜した。そして両手の武器を消し、今度はロケットランチャーを三階に向けて構えた。同様に三階も襲撃した。
この事態の原因は魔法使いという役職そのものにあった。魔法使いとは本来知能の低い魔族を相手にするのが本職であり、対人戦のためのものではない。それらが確立していない彼らはこの二回の襲撃に対応しきれないでいた。
安田先生と加藤先生がボロボロになりながら前に出た。
「私達が奴を食い止めます。生徒達が心配だ、他の先生方はそちらを当たってください」
「しかし・・」
「安心してください、私はラグビー部で大男の相手は慣れてます!ね、安田先生?」
「・・そうですね」
(ほう、そういうことなら)
エポートはポケットから小さな種を取り出した。それを投げると種から魔族が現れた。数十体のフットと、ドラグレスが三体だった。
(こんな時こそ俺たち生徒が・・)
佐野は立ち上がった。
「みんな!先生方は魔族に手を焼くことになる!こんな時こそ俺たちが自立し、助け合わなければならない!協力してくれ!」
クラスメイトは立ち上がった。脱出して安全に校舎を離れた。
衛紅は電話をかけた。
「父さん!今魔法学校がTech-Oversらしき男に襲われてるんだ!」